舞台は福島・双葉町 中江裕司監督語る「盆唄」の存在理由

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 東日本大震災と福島第1原発の放射能事故によって全町避難が続いている福島・双葉町。このエリアは「民謡の宝庫」と言われ、数百年前から盆踊りが盛大に行われていた。しかし「3・11」後に「盆唄」は存続の危機を迎えている。その一方、ハワイでは福島からの移民が伝えた盆唄「フクシマオンド」が定着している。沖縄を舞台に数多くの作品を送り出してきた中江裕司監督が、3年の歳月をかけて撮り続けたドキュメンタリー映画「盆唄」の存在理由を中江監督自身の言葉からひもといていく。

 福島や双葉と縁のなかった中江監督は当初、映画の打診を断っていた。

「僕にとって縁のある沖縄をテーマにすることはありますが、わざわざ福島にネタを探しに行くことだけはやりたくなかった。(大震災や原発事故など)分かり切っている悲惨な背景を撮る必然性は感じませんでした。見た人に『人は困難に立ち向かう<たくましさ>を持っている』ことを感じ取って欲しいと思いました」

「双葉町出身で和太鼓作りの名人だった横山久勝さんと出会ってゾッコン惚れ込んでしまい、この作品を撮ろうと思うようになりました。自分が感じていること、言えることを撮ることに意味がある――という確信を横山さんから感じ、僕との間に共犯関係が生まれました。横山さんは双葉町を離れ本宮市にお住まいなんですが、常に『自分の場所はここではない』という違和感を感じている。僕は京都市に生まれて沖縄に住んでいる。基本的に〈ふるさと>がない。僕は何者? 的な感覚があり、横山さんや日系移民の気持ちに、同調できる部分もありました」

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