てれびのスキマ 戸部田誠
著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

AVの助監督経験も…木下ほうかの人間味は遠回りで培われた

公開日: 更新日:

 新喜劇では、ひと月に3タイトルを10日ずつ行う。新しいタイトルの台本は本番の前日に渡され、本読み1回、立ち稽古1回だけで本番を迎える。ひどい時には、主役が開演時間になっても現れず、打ち合わせもなし。それで皆、即興で主役のセリフを分担して、しのいだときもあったという。それでも客からクレームがくるどころか、ちゃんと爆笑を生んだ。

「そういったアドリブの重要さとか、臨機応変さとか、ものすごく鍛錬になりましたね」(洋泉社「アクターズ読本」15年6月26日発売)

 ブレークのきっかけとなった14年のドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(フジテレビ)では、独自性を出すために後輩たちと事前に検証したりもした。けれど、計画通りにいくとは限らない。そんなとき、生かされたのが新喜劇で培った「臨機応変さ」だったという(同前)。

 改めて俳優の夢を追い、新喜劇をやめた後は映像制作会社に入るも、AVの助監督をやることになってしまったり、西岡徳馬の付き人をわずか20日でクビになったり、自身がプロデュースして作った映画で大赤字を出してしまったりと、“遠回り”はした。けれど、その全てが彼の血肉となっている。

 イヤミ俳優としてブレークした今、「『いい人』と思われるようにイメチェンしていきたい」と冒頭の番組で語った。それもまた遠回りだ。けれど、遠回りしてきたからこそ、イヤミのキャラのはざまからにじみ出るいい人間味を醸し出している。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

  2. 2
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  3. 3
    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

  4. 4
    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

  5. 5
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  1. 6
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

  4. 9
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10
    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か

    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か