井筒和幸
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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

「終戦記念」は未だに取っつきにくい 10代の頃から違和感

公開日: 更新日:

 広島に原爆が投下され、9日にソ連軍が満州国境から侵攻してきて、それで初めて、いよいよポツダム宣言に応じるしかないと決め、10日に天皇制護持だけ降伏条件に、受諾をアメリカに伝えたんだな。連合国ではそれを聞くや、早々と勝利を祝う人々もいたとか。それが「終戦」の一報だったようだ。日本国民はそんな交渉は誰も知らないのだから、哀れなもんだ。

 特攻で飛び立つ兵士もいたし、東北や九州、全国各地で空襲されて大勢が死んだ。政府は連合国に受諾は伝えたものの、軍部に「国体はどうなる? 降伏後も天皇は身柄保証されないとダメだ」と詰められ、連合国の返答も曖昧なので、14日の御前会議で、もう無条件で降伏しますと改めて決め、世界に伝えたのが、「敗戦」までの戦争指導会議のドタバタ劇だ。天皇の朗読を録音してる最中も、伊勢崎市や高崎、熊谷、小田原が空襲され、どこでも死者が出たのだ。誰を恨めばいいのだろうかな。

 南方派遣軍に戦闘停止命令が出たのはもっと後で、8月末まで戦わされたし、大陸じゃソ連軍や中国軍と戦闘が終わらなかったんだから、これも哀れだ。日本が降伏文書に調印するのは9月2日。ここで初めて終戦協定が結ばれたので、日本人はこの調印の日を「降伏記念日」「敗戦記念日」と言っていたのだが……。

 あす、戦没者追悼式や平和集会がどんなふうに行われるのか知らないが、酷暑のウィズコロナでマスクはたまらんよ。早いとこ、最強ワクチンを作って、コロナ勝利、いや、コロナ終戦記念日ができて欲しいもんだな。

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