城下尊之
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城下尊之芸能ジャーナリスト

1956年1月23日、福岡県北九州市生まれ。立教大学法学部卒。元サンケイスポーツ記者。82年、「モーニングジャンボ 奥様8時半です」(TBS)の芸能デスクとなり、芸能リポーターに転身。現在は「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)、「朝生ワイド す・またん」(読売テレビ)、「バイキング」(フジテレビ)に出演中。

EXILEの黒木啓司は潔いが…小室哲哉と木下優樹菜の「引退」とは何だったのか

公開日: 更新日:

 先週、EXILEのダンスパフォーマンスを担当していた黒木啓司(42)が、“体力の限界”を理由に全国ドームツアーを最後に10月末で芸能界を引退すると発表した。

 EXILEというグループは、よくある「歌って踊れるミュージカル俳優」を目指すという人たちとは全然違っていて、歌う人は歌の、ダンサーはダンスの、それぞれのパフォーマンスをスキルアップして輝きをみせていく集団だ。

 黒木の場合、42歳という年齢と体力的な問題で今回の引退を決めたという。芸能界の表舞台から外れても、例えば振付師であったり、ライブのプロデュース業といった関係のある仕事に就くことは多いが、スパッと潔い感じがする。

 そもそも、芸能界における引退という言葉が近年、軽くなっている感があった。小室哲哉は自身の不倫問題の会見中に引退すると発言し(介護や難病が理由)、批判や追及を吹っ飛ばした。ところが、今抱えている仕事が終わり次第、引退するはずが、ズルズルと仕事は続き、最近になって直筆文書で本格復帰を明らかにした。本当に引退だったのかどうかも怪しい気がする。木下優樹菜はタピオカ店恫喝問題で事務所が休業を発表した直後、芸能界引退を明言した。しかし、わずか数カ月でユーチューブで活動を再開。あくまで一般人としての活動だとしているが、写真集を発売して記者会見までするという、ワケのわからない行動をとっているようにも見える。

軽くなりつつある「引退」の言葉

 僕は「引退」というのは凄く重い言葉だと思う。古い例を出して申し訳ないが、“あの山口百恵さん”は三浦友和と結婚してから表に出てくることはない。僕は結婚直後に百恵さんが都内の歯科医院に通っているという情報を得て、カメラチームを連れて10日ほど張り込んだことがあった。ようやく彼女の姿をとらえて取材を試みたが、「困ります」という返事しかもらえなかった。近年でいえば、安室奈美恵さんが2018年秋に引退してからほとんど現在の情報がない。見事に引退を完遂しているように思える。

 こうしてみると、性加害報道の木下ほうかの「無期限休業」がかえって誠実に思えるぐらい、引退という言葉は軽くなった。世間の人も引退を重い言葉ととらえているからこそ、小室が引退を口にした際に「そこまで潔い決断をしたのなら……」と同情が一時的に増えたのだと思う。

 冒頭の黒木に戻ると、昨年末に結婚した夫人が現役モデルで5つの会社を経営する実業家であることから、生活に余裕があっての引退ではないかと見る向きもある。それもスッパリいけた理由のひとつだろう。 

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