五木寛之 流されゆく日々
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連載11843回 無精の病は治らない <5>
(昨日のつづき) 治そうと思っても、どうしてもできない事が世の中にはある。 性格、資質、根性といったものもその一つだ。 努力をすれば人は変る、という説もあるが本当だろうか。 そもそも、…
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連載11842回 無精の病は治らない <4>
(昨日のつづき) 左下肢の不具合いは、次第に深刻さを増している。膝だけでなく、太腿や足首、ふくらはぎまでが痛む。 この数年間、ずっと杖を使って歩いてきたために、左右の脚がひどく不均衡になってき…
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連載11841回 無精の病は治らない <3>
(昨日のつづき) 私の無精は、性格ではなく病気である、と前に書いた。 性格なら治しようもあるが、こと病気となると、そう簡単に事は運ばない。 反省はする。そのときは大いに反省するのだが、問題…
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連載11840回 無精の病は治らない <2>
(昨日のつづき) <タテのものをヨコにもしない> というのが無精者の形容詞だが、そのくらいのことは私にもできる。 ヨコのものをタテにするには工夫が必要だが、タテのものをヨコにするのは簡単だ。…
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連載11839回 無精の病は治らない <1>
過日、田原総一朗さんの仕事部屋の写真を見た。本の山に埋もれて、相当な乱雑ぶりだ。 だが、これが整然と本棚に蔵書が並んでいたのでは似合わないだろう。在野のジャーナリストとしての活躍ぶりにふさわしい…
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連載11838回 私の座右の三冊 <5>
(昨日のつづき) それぞれの読者に<座右の1冊>がある。それぞれの時代に<座右の2冊>がある。それぞれの状況のなかで<座右の3冊>がある。 私にとって<座右の本>とは、そういうものだった。 …
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連載11837回 私の座右の三冊 <4>
(昨日のつづき) きょうも雨。 桜の季節には、なぜか風が吹いたり雨が降ったりする。 寒いので、いったん仕舞ったツイードのジャケットをひっぱりだして羽織る。高齢者の特徴の一つは、暑さ寒さの感…
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連載11836回 私の座右の三冊 <3>
(昨日のつづき) 中学、高校時代は乱読だった。 図書館にある本を片っぱしから読んだ。乱読というより、濫読といったほうがいいだろう。 大学生の頃は、周囲に影響されて、友人のすすめる本を持ち歩…
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連載11835回 私の座右の三冊 <2>
(昨日のつづき) <座右の書>といえば、一般には生涯を通じての愛読書だろう。 私の場合は、それがコロコロ変るのだから厄介だ。 時代が変る。年齢が変る。心境が変る。 そのつど私の座右の書は…
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連載11834回 私の座右の三冊 <1>
先日、アンケートの依頼がきた。 「あなたの座右の3冊をあげてください」 という文面だ。 あわてて仕事机の上を眺めてみたが、座右どころか前後、左右に本が山積みになっている。 そもそも、「…
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連載11833回 風はまだ冷たいが <5>
(昨日のつづき) 能登の民謡の話が長くなってしまったが、今度の催しで、もう一つ、忘れられない話題があった。 それは第2部のパネルディスカッションで、西のぼるさんが、心から惜しまれていらした一つ…
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連載11832回 風はまだ冷たいが <4>
(昨日のつづき) 私はこれまで歌謡曲をテーマに、いくつかの物語りを書いてきた。 『艶歌』とか『旅の終りに』など、いろいろある。 そのために歌謡曲派と見られているが、本当は民謡派なのだ。自分が…
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連載11831回 風はまだ冷たいが <3>
(昨日のつづき) <能登島あさがえしの唄> という唄がある。加賀山昭師の採譜・編曲になるものだが、詞だけを紹介すると次のような唄だ。 〽イヤサーヤアー 文のとりやす油のナ 文のとりやり…
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連載11830回 風はまだ冷たいが <2>
(昨日のつづき) 金沢はいい街だが、これといった民謡がないのが、なんとなく物足りないところがあった。 なんといっても加賀百万石の看板をかかげた街である。 昔、よく言われたのは、 「空から…
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連載11829回 風はまだ冷たいが <1>
先日、ひさしぶりに金沢へいってきた。 <能登に寄する唄>というイベントを金沢市でやったのだ。 2003年にテレビ金沢で始めた『新金沢小景』という私が出演するささやかな番組が、今年の3月で100…
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連載11828回 わが闇雲対談前史 <4>
(昨日のつづき) 日刊ゲンダイの熱心な読者である若いサラリーマンから、こんな質問をうけた。 「イツキさんがいま書いている<流されゆく日々>のタイトルなんですがね。<闇雲対談>の<ヤミクモ>っての…
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連載11827回 わが闇雲対談前史 <3>
(前回のつづき) 前回、70年代には何冊もの対談本を出した、と書いたが、こうして数えあげてみると、それどころではない。 70年代には文藝春秋社から『五木寛之作品集』が出て、講談社から作品全集と…
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連載11826回 わが闇雲対談前史 <2>
(昨日のつづき) 思えば当時(1970年代)の対談の仕事は余裕があった。編集部にも金があって、情緒のある場所を選んで会場にした。対談の舞台も趣向の一つ、というわけだ。 羽仁五郎さんは対談のあと…
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連載11825回 わが闇雲対談前史 <1>
最近、いわゆる<対談本>をよく読むようになった。 じっくりと腰をすえて論を展開する本よりも、対談本のほうが活気があっておもしろいのだ。 よくできた対談本だと、芝居を観ているような雰囲気があっ…
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連載11824回 俺たちはどうボケるか <5>
(昨日のつづき) ここまで書けば、もう結論はおわかりだろう。 人はみな老いて、ボケる。どうせボケるなら気分のいいボケかたをしようではないか、というのが、私の<ボケかたのすすめ>だ。 しかし…