藤浪と同席女性3人も陽性…阪神にコロナ感染者が出た必然

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12人中6人が陽性

 “合コンクラスター”である。

 神戸市が29日、新たに新型コロナウイルスに感染したと明らかにした20代から70代の男女5人のうち、20代の女性会社員が阪神投手の藤浪晋太郎(25)ら3選手と会食していたと発表。阪神は27日に、「ワインやコーヒーのにおいを感じない」と嗅覚や味覚の異常を訴えた藤浪、伊藤隼太(30)、長坂拳弥(25)の3選手が球界初の陽性判定を受けたことを公表、藤浪ら3選手を含む計7選手が球団外5人と知人宅で会食していた事実を明らかにしていた。

「この会食を巡っては、出席していた女性2人の感染が確認されたと28日に大阪府が明らかにしている。神戸市在住の20代女性で3人目の陽性者です。一緒にいた阪神3選手と合わせて12人のうち6人の感染が判明した。知人宅での会食はいわば合コンみたいなものだったのでしょう。チーム内では、『合コンクラスターになっちゃった』という声が出ています」(在阪マスコミ関係者)

■名乗り出た藤浪には称賛の声だったが…

 球団が藤浪らの了解を得て、選手の実名と症状が公表されると、球界の一部やメディアからは「選手たちの勇気ある行動」との声が上がり、大リーグ・カブスのダルビッシュも自身のツイッターで「嗅覚がおかしいってことだけで名乗り出た藤浪選手はすごい」とつづり、「情報収集している証拠やし、自分の身体に敏感な証拠。関係者の感染リスクもかなり抑えられたはず」と記したが、冗談じゃない。

 新聞やテレビは連日国内と世界の感染状況を伝え、休校措置で家にいる小学生でも、今や新型ウイルスの恐ろしさはわかっている。大阪でも感染経路をたどれない患者が今も増え続けている。

 にもかかわらず、藤浪を含む阪神の7選手は14日に大阪市内の知人宅で計12人で会食。藤浪らが“合コン”でワイワイやった前日13日には、新型コロナウイルス対策の特別措置法が国会で成立。安倍首相が「緊急事態宣言」を出せば、外出自粛や休校、人が多く集まる娯楽施設の利用制限などの要請や指示ができるようになった。12日には、プロ野球の開幕が4月10日以降になることが発表され、同日にはNPBとJリーグによる3回目の「新型コロナウイルス対策連絡会議」も開催。専門家チームから具体的な予防対策などの提言があったばかりだった。

“合コン”はタニマチが主催か

 多くの球団は2月下旬から3月にかけて外出禁止令を出していた。ところが阪神は、練習試合の遠征では外出制限をしておらず、以後も「不要不急の外出は自粛」にとどめていた。それをいいことに藤浪らはノコノコと知人宅で“合コン”をやってコロナに感染したのだ。事態を甘く見ていた球団も球団なら、危機感のない選手も選手だ。14日の食事会は選手のタニマチが主催したという話もある。いかにも阪神らしい話ではないか。

 阪神元球団社長の野崎勝義氏がこう言う。

「阪神の選手はある意味で恵まれています。新人だろうと二軍の選手だろうと、タイガースの選手というだけでファンやマスコミやタニマチなど周囲から大切にされる。ファームの選手でも、飲みに出掛けて店からカネを取られないことがあるそうです。あしたもまたおいで、と。タニマチのような人たちにしてみれば選手を利用しているのですが、それで選手は自分は一流なんだと勘違いしがちです。阪神はそういう特殊な環境にあるだけに、球団フロントはなおさらしっかりと危機管理をする必要があります。社会人なんだからこれくらいわかるだろうではなしにです。藤浪に対しては遠慮があるのかどうかわかりませんけど、選手は球団の財産なんです。藤浪だけでなく他の選手も含めて、しっかりマネジメントするのがフロントの仕事です。こういう事態が起きたのはフロントが選手をきちんとマネジメントできていない、危機管理ができていないということです」

■「財布を出したことがない」

 現役時代に阪神からトレードされたあるOBは「オフはサイン会やイベントに呼ばれ、一軍で活躍したこともない二軍の若手も小遣い稼ぎに困らないし、タニマチも複数いる。プライベートの会食や飲み会で財布を出したことがないという選手もいた。同じ関西の球団でもオリックスとはえらい違いです。恵まれてはいますが、そんな環境が今回の事件につながったのではないか。厳しいようですが、阪神から球界初の感染者が出たのは運が悪かったのではなく、必然ですよ」と話す。

 2018年1月に亡くなった星野仙一監督時代は、インフルエンザに感染しないよう、選手たちは自主トレやキャンプ中に大勢の人間が集まるパチンコ店や映画館に行くなと厳しく言われていた。それを聞いた報道陣もそれに倣っていたものだ。天国の闘将は、今の阪神をどう見ているだろうか。

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