「過ちの雨が止む」 アレン・エスケンス著 務台夏子訳
ジョー・タルボットを主人公とするシリーズの第2作である。前作の「償いの雪が降る」を未読の人は、では無理かなと思うかもしれないので、全然大丈夫だと最初に書いておく。前作が大学生編で、今回が社会人編と考えていただければいい。その前作で何があったのかは、これを読めばだいたいわかるようになっている。
AP通信の記者となったジョーはいきなりスキャンダルを報じた元議員に訴えられるなどして社会人の洗礼を浴びるが、それどころではないことも勃発。自分と同じ名前の男の死が報じられたのだ。ジョーは幼いころから父親を知らずに育ってきた。知っているのは、名前が自分と同じであるということのみ。ということはこの男が自分の父親なのか。「ろくでもないくそ野郎」だと母親キャシーは言っていたが、その母親とも最近は交流はないのでそれ以上聞くことはできない。
そこで、現地に調べに行くことになる。ジョー・トーク・タルボットの死には不審な点があり、警察はそれを調べているらしい。トークの妻ジーニー(故人)の父が莫大な財産を残し、それをトークが相続したので、もしもジョーがトークの息子であるならその財産を相続することになる。風雲急を告げるのである。
ジョーをはじめとするさまざまな人物のドラマもいいけれど、事件の真相が徐々に明らかになる構成が刺激的だ。
(東京創元社 1386円)