「黒石(ヘイシ) 新宿鮫Ⅻ」大沢在昌著

公開日: 更新日:

 中国残留孤児2世、3世のメンバーを中心とした地下ネットワーク・金石(ジンシ)。ある日、新宿署生活安全課の鮫島は公安部の矢崎から、金石の8人からなる幹部組織・八石の一人、高川が保護を求めているとの相談を受ける。長年にわたり金石を追ってきた鮫島が高川に会うと、八石の“徐福”が、逆らう者には殺人者“黒石(ヘイシ)”を差し向けると宣言したことに怯えていた。

 そんな中、千葉県袖ケ浦の側溝で頭を潰された遺体が発見される。被害者は徐福と対立していた八石の“左慈”だった。鮫島と矢崎は、埼玉で頭を殴打され死んだ男が、八石の“鉄”の舎弟であることに気づき情報収集をするが、その間にも八石のメンバーが一人ずつ殺されていく。やがて中国残留孤児たちの複雑な人間関係の中に、金石のアイドル的存在だった荒井真利華の名が浮上。真利華はなぜか徐福に心酔していた。

 シリーズ累計800万部を誇る「新宿鮫」の最新作。「絆回廊」から続いた「金石」を巡る事件がついに決着する。鮫島たちが、断片的な情報をもとに徐々に黒石に迫っていく展開がスリリングだ。果たして徐福、黒石とは誰なのか。2人の関係とは一体──。緊迫感に満ちた展開に目が離せない。

(光文社 1980円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

  2. 2
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

  3. 3
    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

  4. 4
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 5
    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

  1. 6
    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

  2. 7
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8
    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

  4. 9
    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

  5. 10
    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し

    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し