「君を育てる」 草野仁の礎をつくった元NHK羽佐間アナ

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 次に羽佐間さんに会ったのは、それから2年後。私は鹿児島の後、入局3年目で今度は福岡放送局に異動になったのですが、私より1カ月遅れて上司として東京から異動してきたのが羽佐間さんでした。そこで初日に羽佐間さんから呼び出され、こう切り出されたんです。

「俺がなぜ福岡に来たか分かるか」
 私が「分かりません」と言うと、羽佐間さんはこう言いました。

「俺は専門職として東京でやってれば、それでもよかったんだ。それが福岡に来たのは、実は君を育てるためなんだよ」

 たとえようのない言葉、感動を通り越して奮い立ったのを今でも記憶しています。この辺はアナウンサーという職業の特殊性をお話ししないと一般の方には分かりにくいかも知れません。東京で実況を担当しているようなスターアナは別に後輩を育てる必要はないんです。むしろ、後輩が育ってしまったら、自分がスターでいられなくなる可能性がある。だから、アナウンサーで「後輩を育てよう」なんて思う人は皆無に近かったと思います。


 ところが、羽佐間さんの考えは正反対。

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