大高宏雄
著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

「俳優・大杉漣」はなぜ多くの人から愛されたのか?

公開日: 更新日:

 大杉漣さんの訃報には驚いた。突然の逝去だったこともあるが、マスコミはじめネットやSNSなどでも膨大な量の追悼の言葉があふれていたことにさらに驚いた。とくに目を見張ったのが、世代を超えた一般の方々の大きな反応だった。

 大杉さんは、俳優ら業界に携わる者たちに限らず、広く多くの人々から本当に愛されていたのだと思う。なぜか。その理由を考えてみた。

 苦労を重ね今日に至る俳優の地位を築いたこと、〈300の顔をもつ〉ともいわれる芸風の広さ、何より誠実な人柄。いろいろあるが、特筆すべきは、彼の演技の質のことだ。さまざまな役柄を演じるなかで、見る者に強い親近感を抱かせることが多い。

 近年、高倉健さんら銀幕のスターと呼ばれる名優たちの訃報に触れることが続いているが、大杉さんはスター街道まっしぐらではなく、たたき上げのいぶし銀の俳優だ。どちらも同じ「銀」なのが興味深い。見る側からすれば、映画スターには〈遠さ〉があるが、大杉さんには〈近さ〉を感じる。それこそが俳優・大杉漣の愛されるゆえんなのだと思う。今はスクリーンやテレビ画面の向こう側にいる俳優と世間の距離も、むかしよりずっと近い。そういう時代の空気も彼の人気を後押ししたように思う。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  5. 5
    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

  1. 6
    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

  2. 7
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  3. 8
    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

  4. 9
    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

  5. 10
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽