井筒和幸
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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

脳の劣化防止 そろそろアナログ時間を取り戻すことが必要

公開日: 更新日:

 今年、全国のほとんどの小中学校に1人1台パソコンが配られたようだが、授業で長い時間使っていると学力が低下してしまう調査報告があるとか。読解力も数学も点数が下がっているというわけだ。パソコンは情報や知識をすぐに取得できるが、その場限りの浅い理解に役立っても、それ以上にものごとを深く考えるまでいかなくて、記憶も曖昧に終わってしまうらしい。確かにうなずけることだが。

 パソコンを使って、人やモノやコトを調べる時、我らもその場限りでいい加減だ。先日も「中国共産党はもう100年経つのか、ロシア革命後すぐだったか」と気づくや、確認したくなった。で、机の前に置いてある高校用の「新講日本史」(三省堂)や「詳説世界史研究」(山川出版社)をしっかり手に取って目次を繰って読めば、しっかり脳の中に入れられたはずなのに、つい、邪魔くさくてパソコンで「中国100周年」と適当にキーを打ち、「中国共産党」と出して、えっ? 党員数は1億人近くで世界一、今はインドのナントカ党に追い抜かれたとか余計なことまで読んだだけ(いや、見ていただけ)で、辛亥革命後の反政府反日の五四運動から始まり、100年前の7月に中華民国の上海の同志宅に集まった毛沢東らが党をつくった話の方は半分忘れていて、これを書く時もまたクリックし直してしまった。3日前の夕飯のおかずは覚えているのにだ。子供の授業もキーボードでサイト検索だけじゃ学力などつかないはずだ。文字は紙に手で書き、語句は本で読んで意味を分かるし、さらに文脈を深く思考できるようにしないと勉強にはならない。そろそろアナログ時間を取り戻すことが必要だ。日刊ゲンダイもスマホ脳でなく、新聞で読んでほしいな。

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