山田隆道
著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

高校野球の球数制限問題 「戦力均衡」なんかどうでもいい

公開日: 更新日:

 高校野球の球数制限問題が紛糾している。新潟県高野連が今春の県大会で1人の投手の1試合あたりの球数を100球に制限するルールの導入を発表したところ、日本高野連が再考を要求。これによって、同問題は賛否が入り乱れる激しい議論を呼ぶことになった。

 賛成派の意見として主だったものは「青少年への健康被害」だ。これまで、高校野球特有の玉砕賛美的な感動ポルノの風潮にのまれて過剰な球数を投じてきた10代の少年のうち何人もが、その後に肩や肘に深刻な後遺症を負った。もちろん、なんの異常も見られなかった投手もいるのだが、そういう幸いなケースを隠れみのにして、その背後に横たわる多くの故障者に目を向けないのは教育者のやることではない。うがいや手洗いをしなくとも風邪をひかない生徒がいるからといって、うがいや手洗いの不要を指示する学校はないだろう。

 一方、否定派の意見は高校野球人気を支える情緒的なものが多い。要するに、昨年の金足農・吉田輝星のような激投があるから高校野球は感動的なのだ、とする論調だ。

 また、プロ野球OBの里崎智也氏は日刊スポーツの連載コラムにおいて、高校野球の戦力均衡を理由として同問題に否定的な意見を表明した。確かに、球数制限が導入されれば1チームに複数のエース級が必要になるため、選手層が厚い私立の強豪校が有利となり、公立校の躍進はほとんど見られなくなるだろう。戦力格差の広がりは、公立校の勝利へのモチベーション自体を奪う結果につながるかもしれない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

    「ちむどん事実婚」にSNS困惑…黒島結菜は女優として瀬戸際、宮沢氷魚の“惚れっぽい”過去発言も心配

  2. 2
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

  3. 3
    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

    黒島結菜の妊娠&事実婚の前年に先輩・土屋太鳳が示した"お手本" 芸能界“デキ婚ラッシュ”へ

  4. 4
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 5
    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

    事務所の社長を自ら解雇…小林幸子はマスコミから袋叩きに

  1. 6
    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

    巨人の救世主になるか?緊急補強したヘルナンデスは10年以上マイナー塩漬けの苦労人

  2. 7
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8
    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

    フィギュア宇野昌磨 電撃引退の裏に新星マリニンとの実力差…また稼ぎ頭失った連盟は先行き不安

  4. 9
    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

    「金」相場は歴史的な高騰に沸くけれど…次なる投資先に銀・プラチナはアリ?

  5. 10
    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し

    キャンプバブルに浮かれすぎた?「スノーピーク」が99%減益で非上場化も…再編は波高し