菅野復帰2戦目も3回もたず 巨人逆転V阻へ東京五輪が障害に

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「本来のデキからは程遠い。心配です」

 巨人の元バッテリーコーチ秦真司氏がこう指摘したのは、巨人のエース菅野智之(31)である。

 右肘痛から復帰2戦目となった13日のロッテ戦で、初回1死から連続四球を与えると、角中に適時二塁打を浴びて先制を許した。続くレアードの犠飛で2点目を失い、三回にも荻野にソロ、レアードに犠飛を打たれて4失点。ここで降板を告げられた。51日ぶりの勝利はならず、3回途中4安打4失点でKO。4敗目(2勝)となった。

■「投球フォームに躍動感なし」

 初回に最速149キロをマークしたものの、直球の球速はほとんどが140キロ台前半。好調時なら150キロを超えてくるだけに、「やるべきことをしっかりやって、また次にいくしかない」とコメント。エースが3回を投げ切れなかったのは、2019年9月4日以来の屈辱。巨人は18年以来3年ぶりの交流戦負け越しが決まった。この日はZOZOマリン特有の強風(最大9メートル)が吹いていた。宮本投手チーフコーチは「幕張のウインドに負けた。それに最初にペースを乱された」と擁護したが、前出の秦氏がこう指摘する。

「いつもなら対応しているはず。理由は風ではないでしょう。投球フォームに躍動感がなかった。本来は踏み出す左足が跳ね上がり、投げた後に右腕が右肩方向に戻ってくるのに、前回同様、おとなしいものだった。要するに、腕の振りが弱いから球速も出ない。思うような直球が投げられないからと、変化球に頼り過ぎ。生命線のスライダーの曲がりも小さかった。前回から改善されるどころか、悪化している感もある。まだ右肘に痛みが残っているのか、あるいは痛かった時の怖さが残っていて、無意識のうちに制御してしまっているのか。巨人の大黒柱。今の状態ではなかなかチームの士気も上がってこないでしょう」

北京五輪後には阪神新井が腰椎骨折

 さらに不幸なのは、7月23日に開幕するビッグイベントが完全復活への障壁になりそうだということ。今月中に発表される侍ジャパン最終メンバーの24人に入っているとみられる東京五輪である。

 特に投手はソフトバンク千賀が不在。楽天田中もこれまで2勝4敗とピリッとしない。国際経験が豊富な菅野には、エースとしての期待がかかる。ロサンゼルス五輪の金メダル経験を持つ前出の秦氏は「右肘の不安が拭い去れない中、無理をすれば取り返しがつかなくなる可能性はあります。6カ国しか出場しないとはいえ、五輪はWBCとは違う独特な重圧がかかる。ましてや今回は地国開催。だから無理をしてでも出たいのでしょうが、心身にかかる負担は大きなものがある。本音を言えば、今年は無理をしないで慎重に調整をして欲しいのですが……」と警鐘を鳴らす。

■08年の阪神は巨人に歴史的大逆転負け

 確かに08年の北京五輪後にも“事件”が起きていた。日本代表の4番を務めた阪神の新井貴浩が腰椎を疲労骨折していたことが判明。日本代表の星野監督が「私の責任。阪神と阪神ファンに申し訳ない」と謝罪する事態に発展した。新井は阪神でも不動の3番打者として今季のような快進撃を引っ張っていたが、レギュラーシーズン中の復帰が絶望となると、チームは急失速。巨人に最大13ゲームをひっくり返される歴史的な大逆転負けを食らっている。

 原監督は交流戦最終日のこの日、「今日は甲子園の決勝戦のような気持ちで全員で戦おう」とナインに号令をかけていたが、「先発投手がゲームをつくれなかった。4点というのが私の中でデッドラインだと思ったから、あの時点で交代した」と菅野をチクリとやった。

 首位・阪神が勝ったため、ゲーム差は今季最大の「7」に開き、3連勝のヤクルトにも並ばれた。菅野は阪神追走のキーマン。このまま状態が上向かなければ、代表辞退の可能性もあり得ない話ではなさそうである。

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