大豊昌央
著者のコラム一覧
大豊昌央元大相撲力士

本名は鈴木栄二。1955年3月29日、新潟県北魚沼郡堀之内町(現魚沼市)出身。73年に時津風部屋に入門し、同年11月場所で初土俵。81年1月場所に新十両に昇進し、82年5月場所で新入幕。83年1月場所は新三役として小結を務める。87年1月場所後に引退し、時津風部屋の部屋付き親方となり、2002年に独立。20年に蒼国来に部屋を継承させ、相撲協会を退職。主な弟子は蒼国来、若隆景、若元春ら。最高位は小結。

蒼国来は第一印象では目に留まらなかった 体育館でたったひとり相撲指導を受けた

公開日: 更新日:

 中国内モンゴル自治区まで弟子をスカウトに行った2003年4月。「これは」と思う子に軒並み断られた私が宿泊するホテルに、地元テレビ局の人が1人の少年を連れてきました。

 それがエンクー・トプシン、後の蒼国来であることは前回述べましたが、最初の印象は「筋肉質だが細い。果たして太れるのか?」というものでした。レスリングの選手で、それでも日本で相撲をやりたいと言う。

 昼間、大学に視察に行った時には私の目には留まりませんでしたが、それを正直に言うのもかわいそうです。そこで、

「まだ大学の方には行ってないんだよ。明日、行くつもりなんだ」

 とごまかし、翌日の朝7時半くらいに再び大学の体育館に行きました。

 そこで蒼国来の動き、体力などをチェックすることに。股割りやすり足などをやらせてみました。他の学生たちも「何かやってるぞ」と気付いたのか、いつしか私の後ろは黒山の人だかり。彼らを前に、蒼国来は黙々と相撲の指導を受けていたわけです。

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