栗山監督の熱量が侍Jのアダに? WBC制覇へ「アレも欲しい、コレも欲しい」が生む波紋

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 3月のWBCで日本代表の指揮を執る栗山英樹監督(61)は、とにかく熱い人だ。

 日本ハム監督時代は捨て試合をつくるなどもってのほか、ファンに失礼というスタンス。144試合、すべて勝ちにいった。メンバー12人を発表した6日の記者会見では、選手選考の基準に関して「第一義は侍の魂を持っているかどうか」と言った。

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「すべての分野で、ある程度のレベルで戦わなければ、外国のチームには勝てない」とシーズン中も、シーズンオフも米国まで出向いて大谷翔平(28=エンゼルス)やダルビッシュ有(36=パドレス)や鈴木誠也(28=カブス)を口説いた。初のメジャー挑戦となる千賀滉大(29=メッツ)や吉田正尚(29=レッドソックス)とも面談。日系2世のヌートバー外野手(25=カージナルス)まで呼ぶつもりだ。

「ある程度」どころかオールスター級のメンバーをそろえて世界一を取りたいという栗山監督の熱量はしかし、何より日本人大リーガーにとって大きなダメージとなる可能性がある。主力として期待される彼らには、心身ともに大きな負担がかかるからだ。

■イチローや松坂は“後遺症”悩まされ…

 日本が連覇した2009年の第2回大会は、投打の主力が“後遺症”に悩まされた。イチローは極度の不振から大会中に胃炎を患い、マリナーズ合流後、胃潰瘍に。胃から出血して開幕から故障者リスト入りした。

 2大会連続でMVPを獲得した松坂大輔も、09年は開幕後の4月と6月に故障者リスト入り。右肩の疲労が原因で、シーズンは4勝6敗、防御率5.76。この年を境に2ケタ勝利が途切れた。

 大谷の今季年俸が約40億円なら、ダルは約26億円。仮に彼らが故障でもしようものなら、侍ジャパンや栗山監督は責任を取れるのだろうか。まして2人は今年で契約が切れるし、今季は勝負の年。よしんば彼らが出場に積極的だろうと、起用には慎重を期してしかるべきだし、慎重に使ったとしても多大なプレッシャーからイチローや松坂のように心身に大きなダメージを負う可能性は否定できないのだ。

■メジャー球団にとっては日本が勝とうが負けようが…

「先日の会見で栗山監督が大谷の起用に関して明言できなかったのは、すでにエンゼルスから横ヤリが入っているからでしょう。ミナシアンGMは『彼(大谷)が望むように』と二刀流を容認するコメントを出していますが、腹の中は別。今季の年俸を払っているのはエンゼルスだし、身売りの際の目玉商品の大谷にケガでもされたらそれこそ大打撃ですからね。エンゼルスにとって、日本が勝とうが負けようがまったく関係ないわけで、大谷の起用には細かく口を出してきますよ。吉田の出場を容認したレッドソックスにしても同じ。メンバーとしてまだ発表されていないだけに、ひょっとしたら土壇場で出場辞退という可能性まであるかもしれません」(放送関係者)

 吉田が実際に出場するかどうかはともかく、栗山監督が吉田の招集を明言したことで、すでに侍ジャパンに亀裂、軋轢が生じているという。

 栗山監督は当初、「正尚のために呼んだらいけない」と話すなど、吉田の招集には慎重だった。先行発表された12人のメンバーには、吉田と同じ左翼が定位置の近藤健介(29=ソフトバンク)が入った。日本ハム監督時代の教え子である日本屈指の安打製造機を左翼のレギュラー格として起用するつもりでいたからだ。

「栗山監督は吉田がメジャー挑戦することが決まった時点でいったん招集を諦めていた。吉田に限らず、日本人選手の移籍初年度はまず、日米間の野球の違い、異国での生活といった環境に適応することが重要。開幕前の大事な時期に開催されるWBCの出場は難しいと考えていたからです。しかし吉田がそのリスクを背負ってでもWBCに出たいと、ひとまずレッドソックスの許可を取り付けたことで、栗山監督が思わず食い付いた格好です」(球界OB)

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