「Nキャス」“サプライズ就任”三谷幸喜に期待と不安 ビートたけしのマンネリからは脱却

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 脚本家の三谷幸喜氏(60)が、4月から「新・情報7days ニュースキャスター」(TBS系)の総合司会に就任するとスポニチが報じた。同局の安住紳一郎アナウンサー(48)の出演は継続するという。

 2008年10月から、13年にわたって番組の顔を務めてきたが、3月いっぱいで降板するビートたけし(75)の後任。“60歳の新たな挑戦”として引き受けたと関係者は話しているが、同番組は安定した視聴率を誇る同局の看板報道番組だけに、その重圧はいかばかりか。

 三谷氏は「警部補・古畑任三郎」など、ドラマや映画で喜劇を中心に手がけてきた希代のヒットメーカー。現在も脚本を手掛けたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が放送中だ。

 さる演劇関係者はこう話す。

「三谷幸喜の作品には、戦時中の日本の検閲を批判した『ラヂオの時間』や、ナチスの宣伝相ゲッベルスや国威発揚映画を撮ったレニ・リーフェンシュタールを登場させて、芸術家の戦争責任を問いただした代表作『国民の映画』もあり、ジャーナリスティックでリベラルな視点があります。情報番組の司会者としては悪くないと思います」

あふれるコメディーセンスが玉にキズ?

 その一方、ネックになりそうなのは、類いまれなコメディーのセンスだという。

「劇団『東京サンシャインボーイズ』では、ヒチコックばりに自分の舞台に通行人役などで一瞬だけ出て笑いをさらったり、出たがりの面もありました。笑いのセンスがありすぎて、硬いニュースの司会としては、いくら真面目にやっていても“ふざけて見える”可能性もあります。演劇では舞台の中で笑いを取る役割を“コメディーリリーフ”と呼びますが、三谷はニュース番組のコメディーリリーフの役割を果たしたらちょうどいいかもしれません」(前出の演劇関係者)

 メディア文化評論家の碓井広義氏は、三谷氏の起用についてこう話す。

「なかなか見事なキャスティング。芸人でありながら、文化人でもあるたけしさんの後任を探すのは大変だったと思います。“そうきたか”と思いましたね。たけしさんは番組の顔として、長年、その発言が注目されてきましたが、近年は、その意外性は落ちていた。『たけしならこう言うだろう』という想定内での毒舌にとどまっていました。それはある意味、視聴者の期待に応える“芸”なのですが、厳しく言うなら視聴者とのなれ合い、つまりマンネリでした」

 碓井氏は続ける。

「あくまで自分の視点が中心だったたけしさんに比べ、三谷氏は“こういう見方もあるし、こういう見方もある”とさまざまな視点を提示してくれそうな気がします。ただ、紅白の審査員の挨拶で『審査委員長の三谷幸喜です』と言ったりしていたように、見ている人をとにかく楽しませようとサービス精神旺盛な方なので、ギャグがスベることもありそうですが(笑い)」

 そのあたりは、たけしのどんな発言もうまく受け止め、盛り上げたり軌道修正したりしていた百戦錬磨の安住アナが隣にいるだけに心配無用といったところか。

 ふたりは過去に「ぴったんこカン・カン」での共演もあり、お互いの連絡先を知っているほど親密だというから、たけしとはまた違ったテイストで、息の合った掛け合いが期待できそうだ。

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