沢野ひとし「ラ・ラ・ラプソディー in 昭和」
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(89)「ちいさい秋」で蘇る赤いボルボの「湘南波子」との思い出
秋が来ると思わず口ずさむ歌に「ちいさい秋みつけた」がある。作詞サトウハチロー・作曲中田喜直で、1955(昭和30)年にNHKのラジオ番組の「秋」をテーマにした企画で作られた。 多くの人が耳に…
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(88)岩崎宏美「思秋期」はオヤジたちの目頭をうるうるさせる
昭和の歌謡曲の中で「青春の曲」といえば岩崎宏美の「思秋期」を挙げる人が多い。1977(昭和52)年にリリースされた。作詞は阿久悠、作曲は三木たかしと辣腕の2人だ。 街にディスコサウンドが蔓延…
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さだまさし「檸檬」の歌詞はまるで詩であり、私小説のようだ
さだまさしの「檸檬」は1978(昭和53)年にリリースされた。「私花集」のLPに収録された。作詞・作曲はさだまさし本人である。 出だしの「♪或の日~湯島聖堂の~」。この曲を初めて耳にした人は…
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(86)「秋止符」のサビが来るとオヤジたちは輪になって声を合わせた
「秋止符」のギターのイントロが静かに流れてきた。1979(昭和54)年のことだった。作詞はチンペイこと谷村新司、作曲はベーヤンこと堀内孝雄、ドラムはキンちゃんこと矢沢透。それはアリスの3人組であった。…
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(85)渡哲也が切ないムードを醸し出す「くちなしの花」
1973(昭和48)年、渡哲也が「くちなしの花」(作詞・水木かおる/作曲・遠藤実)を発売、ケレン味のない歌い方で大ヒットを飛ばした。当時オイルショックでトイレットペーパーの買いだめ騒動が起き、さらに…
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(84)久保田早紀「異邦人」の中東風のエキゾチッキな旋律に心揺さぶられた
1979(昭和54)年、「異邦人・シルクロードのテーマ」が流れてきたとき、中東風なエキゾチックな旋律に心が揺さぶられた。強烈なイントロがこの曲を決めていた。 まるでシルクロードからイスタンブ…
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(83)ウォークマンで聴きながら思わず声を合わせた「かもめが翔んだ日」
一度聴いたら忘れられない曲がある。それが1978(昭和53)年発売、渡辺真知子の「かもめが翔んだ日」(作詞・伊藤アキラ、作曲・渡辺真知子)。本人が作詞家の伊藤アキラに依頼する時「舞台は横須賀、女の子…
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「ひなげしの花」を歌ったアグネス・チャンには「なんて可憐な少女だろう」と引き寄せられた
1972(昭和47)年は田中角栄首相が訪中して日中国交が回復し、パンダのカンカンとランランが上野動物園に到着した年である。そして香港からは、アグネス・チャンも「ひなげしの花」(作詞・山上路夫/作曲・…
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松田聖子「青い珊瑚礁」は世界中でカバーされている
1980(昭和55)年、松田聖子が2枚目のシングル「青い珊瑚礁」でいきなりトップアイドルに躍り出た。若い娘たちは聖子ちゃんカットを真似して、「♪あー 私の恋は 南の風に乗って走るわ」と歌っていた。 …
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救済チャリティーでの小田和正に、娘は何度も「この日を絶対忘れない」と
1991(平成3)年、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」が街に流れてきた。イントロがとにかくインパクトがあった。エレキギターの高音のカッティングが続き、いきなり「♪何から伝えればいいのか」と直球…
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秋のにおいを感じると小田和正の澄んだ声が聞こえてくる
オフコースの「秋の気配」は1977(昭和52)年の終わりの頃にラジオから流れていた。あれから50年近く月日が経っているのに、夏が過ぎ秋のにおいを感じると、小田和正の澄んだ声がまた聞こえてくる。 …
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(78)守屋浩「僕は泣いちっち」が胸に響いた中学3年の春
東京に憧れる歌謡曲は数知れない。私が中学3年生の初めに、家族は千葉に引っ越しをした。それまで中野区に住んでいたので、東京が懐かしかった。 守屋浩の「僕は泣いちっち」がラジオから流れ、胸に響い…
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ザックを担いで中津川フォークジャンボリーに
日本の野外フェスティバルの発端は、1969(昭和44)年に岐阜県の椛の湖湖畔で行われた中津川フォークジャンボリーである。企画・運営は中津川労音の笠木透(1937~2014)で、69、70、71年と3…
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一発屋だろうと無視していたサザンの「Oh! クラウディア」をじっくり聴いた時、心に沁みた
1970年代の終わりの頃にテレビでサザンオールスターズを初めて見た時、ロックバンドでありながら、短パンにタンクトップという姿に舌打ちをした。さらにボーカルが日本語を巻き舌で、やけに英語っぽく歌ってい…
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言葉がサウンドに流れるように重なっていく「夏のクラクション」
夏になるといつも遠いところから聞こえてくるのが、稲垣潤一の「夏のクラクション」である。作曲・筒美京平、作詞・売野雅勇、編曲・井上鑑。1983(昭和58)年7月に発売された。 特にサビの「♪夏…
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ちあきなおみ「喝采」はひと呼吸、息遣いが見事
昭和歌謡曲の名曲に「喝采」をあげる人が多い。ちあきなおみが1972(昭和47)年にレコーディングした曲である。録音の時は辺りを暗くして、素足でマイクに向かった。そのくらい訳ありのドラマチックな歌詞で…
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憧れの彼女の家にスイカを持って行った夏の日の思い出
ピアノのイントロがまず哀愁を誘う。「♪夏が~過ぎ~風あざみ」「♪誰の~あこがれに~さまよう~」。伸びやかな声が過ぎ去った少年時代を回想させる。 井上陽水の「少年時代」は1990(平成2)年に…
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一面に咲き誇る水芭蕉に心奪われて生まれた「夏の思い出」
17歳の高校生のときに尾瀬沼から至仏山に登った。あれはすでに六十数年前の淡い夏の思い出である。至る所で高山植物が咲き誇っていた。チングルマ、ハクサンイチゲ、シナノキンバイなどが風に揺れていた。 …
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あがた森魚「赤色エレジー」の底知れぬ暗さに引きずり込まれる
2025(令和7)年の街はどこもかしこも不景気で、居酒屋も閑散としている。なんだか黒い湿った布が世の中を覆っているようだ。 こういうときだからこそ、また歌いたい。それがあがた森魚、1972(…
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女を捨てた男の怨念がヒタヒタと迫ってくる「東京ブルース」
東京をタイトルにした歌はたくさんあるが、これほどいつまでも胸に残る曲も少ない。それは1964(昭和39)年発売の「東京ブルース」である。「♪泣いた女が バカなのか」「♪だました男が 悪いのか」。西田…
