沢田研二の音楽1980-1985
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タイトルの「十年」に込められた万感の思い
もう少し、ザ・タイガース「同窓会」への経緯を追っておく。 10年ぶりの集結については、沢田研二自身の意向が、かなり強く反映されていたようなのだ。1985年に発売された沢田研二の自著(玉村豊男…
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京都を起点に全国拡大したGSブームは、「応仁の乱」以上の騒ぎだった
「十年ロマンス」──ザ・タイガースの再結成シングルだ。ただ公式には再結成ではなく「同窓会」とされた。 ザ・タイガースとは、言うまでもなく、沢田研二が属していたバンドであり、グループサウンズ(G…
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歌謡曲としても立派に成立してて理想的やん!
ニューウェーブ、ロックンロール、そして歌謡曲。この3つをまんべんなく押さえ、相乗効果を持って融合し、そして、売れた。 「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」はある意味で「沢田研二の音楽1980-1985」…
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豪華かつ変わった組み合わせの「2面 ジャンジャンロック」がなかなかいい
カップリング曲について、ジャケットには変わった書かれ方をしている──「●2面ジャンジャンロック」。普通「B面」だと思うが「2面」。 と思って、これまで取り上げたシングルのジャケットを見たら「…
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クライアントの要請に柔軟に応える作詞家・三浦徳子の精神性
この曲の作詞家・三浦徳子の功績についても、触れておかなければならない。 プロデューサー・木崎賢治は、島﨑今日子「ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒」(文芸春秋)でこう語っている。 …
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グルービーなバンド「エキゾティクス」を従え最大最強のピースが埋まった
ジャケットの上部には大きく「JULIE&EXOTICS」。注目すべきは、その級数(字の大きさ)だ。 シングルを売るためにはいちばん大切な曲名の「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」より、さらには「沢田研…
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佐野元春提供「BYE BYE HANDY LOVE」での“ゲリロン!”がかっこいいのなんの
もう1回だけ、アルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」について記しておきたい。 まずタイトル。「/」で刻まれたアルファベットの文字列は、書く上で字数を食ってしょうがなかったが、ここにも創造…
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気張らず淡々と高音域の頂上に登り詰めていく ベスト曲は「渚のラブレター」アルバムバージョン
アルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」を代表する曲、いや80年代前半の沢田研二の金字塔となる1曲が、本アルバムに収録されているバージョンの「渚のラブレター」だと私は考える。 シングルバー…
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極めて特異な「せーの!」感とボーカルの艶っぽいミキシング
このアルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」の印象を一言でいえば──「バンド感」。 沢田研二が、若いバンド=エキゾティクスを引き連れて(ただベースの吉田建は沢田研二の1歳だけ下)、ロンドン…
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最前線の「ネオ・ロカビリー」に「ニュー・ロマンティック」をぶっこむ凄み
この時期の沢田研二のデザインワークについて、私は批判する言葉を持っていない。アルバム「S/T/R/I/P/P/E/R」のジャケットに関して、評論家っぽくない言い方を許してもらえれば──「あぁ、ほれぼ…
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沢田研二の内面にあるヨーロピアンな本質が発露したメロディーの魅力
「沢田研二ってヨーロッパな人だなぁ」とつくづく感じることがある。 70年代に、ヨーロッパ各国でシングル、アルバムをリリースしたことの印象も強いのだが、それ以上に、本人の持つムードが、ヨーロピア…
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「全音下げ」編曲オーダーを伊藤銀次が失念…でもキーを下げないでくれて本当に良かった!
シングル「渚のラブレター」についても、レコーディングの詳細は、編曲を担当した伊藤銀次著「伊藤銀次自伝MY LIFE,POP LIFE」(シンコーミュージック・エンタテイメント)に詳しい。内容をかいつ…
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この曲のおかげで私はギターが弾けるようになった
たまには、あの頃の自分の話でも──。1981年は中学3年生。「渚のラブレター」が発売された5月は、校内暴力に息を潜めながら「そろそろ受験勉強せんといかんなぁ」などと思っていた頃だ。 でも、勉…
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「渚のラブレター」はとにかくブルー基調のジャケットが美しい
主演として天草四郎時貞を演じた映画「魔界転生」の撮影などもあり、少しブランクがあいた。 前作「おまえがパラダイス」からほぼ4カ月が経った5月1日の発売。オリコン最高8位、売上枚数23.9万枚…
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1981年は「音楽家・沢田研二」として創作の質を深めていった1年でもある
この年のシングルは、5月の「渚のラブレター」と9月の「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」の2枚。オリジナルアルバムは6月の「S/T/R/I/P/P/E/R」の1枚だけとなる。 シングル4枚、アルバム3…
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1981年とは、70年代に息を潜めていた同世代が時代を席巻し始めた年なのだ
1981年がやって来た。今から43年前は、どんな年だったのか。 この年、もっとも売れたシングルは寺尾聰「ルビーの指環」。もっとも売れたアルバムも寺尾聰「Reflections」。日本レコード…
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「沢田研二×(伊藤銀次+佐野元春)」という過激で無茶な掛け算が“最強値”の解答を叩き出した
このアルバムを痛快なものにしているのは、コンセプトがはっきりしているからだと思う。 まずはタイトルからして「G.S. I LOVE YOU」とはっきり。しつこいながらも補足しておけば、「GS…
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「彼女はデリケート」レコーディング…佐野元春の若き才能が沢田研二に火を点けた
A面の3曲目に収められた佐野元春の作詞・作曲「彼女はデリケート」のレコーディング時のエピソードは格別だ。伊藤銀次は自著「伊藤銀次自伝MY LIFE, POP LIFE」(シンコーミュージック・エンタ…
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新しい才能を世に送り出した先駆かつ最大の成功例
このアルバムで作詞を多く任されたのは、三浦徳子だ。シングルカットされた「おまえがパラダイス」を含め、12曲中7曲と半分以上が彼女の作品によるもの。 1980年の三浦徳子といえば、松田聖子「青…
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ジャケットには英語で重要な文言 60年代のモチーフを使い新たな創造に成功している
いよいよ、アルバム「G.S.I LOVE YOU」に入る。 「いよいよ」と盛り上がっているのは、私が個人的にかなり好きな作品だから。もしかしたら、今回の「1980-85」という期間設定の中で、…