「笑う森」荻原浩著

公開日: 更新日:

「笑う森」荻原浩著

 ある日、小樹海と呼ばれる「神森」のトレッキングコースに母親と来ていた5歳の男児・真人が行方不明になった。発達障害のある真人はひとつのことに集中しがちで、そのとき夢中になっていたのは合体樹と呼ばれる大木だった。シングルマザーの岬は真人に合体樹を見せるために神森まで来たのだが、数秒目を離した隙に真人がいなくなったのだ。

 季節は11月。生存は絶望的かと思われた1週間後、合体樹の洞にいる真人が発見された。多少衰弱していたものの、真人の体重は減っておらず、どのように過ごしていたかを尋ねても「クマさんが助けてくれた」と言うだけ。岬は真人が行方不明になって以降、子どもを顧みない母親というレッテルを貼られて、バッシングにさらされていた。

 真人の叔父で保育士の冬也は、謎の1週間の真人の行動を探りつつ、バッシングしている犯人を見つけようと思い立つ。果たしてその真相とは……。

 1週間、森の中でなぜ5歳の子どもが生き延びられたのか。戻ってきてから真人がなぜか言うようになった口癖や、突然治った偏食などから推理を重ねる冬也の観察眼が興味深い。 (新潮社 2420円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横綱豊昇龍の休場より気がかりな“心の不調”…不眠と食欲減退で体重約10キロ減の不安

  2. 2

    消費税減税打ち切り時の現金支給案に経済界が不満「結局は時間とコストのムダ」

  3. 3

    内閣改造で浮上「自民裏金議員」起用案 永田町でささやかれる入閣候補4人の名前

  4. 4

    庶民は景気悪化に身構えている お気楽なものだ「官邸おこもり」首相動静

  5. 5

    女優・朝岡実嶺さん15年ぶりに舞台出演「亡き夫はどこかで見守っていると思います」

  1. 6

    井伊直政(4)超ブラックな家風 昔から家臣が少ない

  2. 7

    橋本愛の「れなちゃん」呼びが反響…のん“テレビから干された”10年で「あまちゃん女優」脱し独自ブランド確立

  3. 8

    中日・井上監督が目下最下位、6年連続Bクラス濃厚でも来季続投に“自信&意欲マンマン”のワケ

  4. 9

    佐藤輝明「三冠王」なら年俸いくら? メジャー流出阻止へ阪神が用意する破格の条件

  5. 10

    水前寺清子(1)作詞家・星野哲郎への恩と愛称「チータ」誕生の理由