週間読書日記
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高嶋哲夫(作家)
3月×日 連日、マスコミは高市政権の動向を報じている。新政権が誕生するたび、僕たちは期待と不安のはざまで揺れる。教育無償化や消費税廃止、減税といった政策は注目を集めるが、いま日本に求められているのは、…
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彩瀬まる(作家)
3月×日 原稿がなかなか進まない。理由はわかっている。国際情勢が不安定だからだ。従来の国際秩序が揺らぎ、別の形に遷移する過渡期にいるように感じる。私はどの小説も、「私たちが住んでいる世界とはこういうも…
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絲山秋子(作家)
1月×日 衆院選の情報をラジオで聴きながら確定申告のための伝票整理をする。私が住む群馬5区は自民党と参政党の2人しか候補が立たない。立派な祭のある町を羨むような気分で全国の注目区や激戦区をチェックして…
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赤神諒(作家)
2月×日 教壇に立って二十余年。法学の講義で学生の関心を惹こうと、渾身のジョークやエピソードを投げても、教室は静まり返っている。打率1割台の貧打に喘ぐ我が身は、小説家としても「隠れた名作」を量産するば…
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岩井三四二(作家)
1月×日 お久しぶりです。この「週間読書日記」は、3年半ぶりの登場です。 さて、中島京子著「長いお別れ」(文藝春秋 726円)は、認知症の物語である。登場するのは中学の元校長先生。 元…
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佐野広実(作家)
1月×日 ご存じと思うが、ミステリーの小説やドラマには一種のパターンがある。「ラストは断崖絶壁」といったものではなく、物語の構造のことだ。例えば「最初のうち犯人かと怪しまれていた人が実はいい人で、いい…
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佐藤一磨(拓殖大学政経学部教授)
12月×日 実家に帰省する新幹線の中で、気になっていた田中世紀著「なぜ男女格差はなくならないのか」(講談社 1012円)を読む。男女格差については色々な本があり、差別化するのが難しいが、どうなのかと思…
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加来耕三(歴史家・作家)
1月×日 おせち料理において、子孫繁栄の願いを込めて食すのは「数の子」=ニシンの卵であるが、寿司や和食のトッピングとしてよく用いられる「とびっ子」は、トビウオの卵である。 トビウオは「𩹉」と書…
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森朗(気象予報士)
12月×日 生まれてこの方、着物など全く意識してこなかったが、縁あって沖縄の離島に伝わる反物を入手したことから、物好きの虫がむくりと頭をもたげた。離島の伝統的な染織は、繊維も染料も島の素材、作るのも島…
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羽鳥好之(作家)
12月×日 来年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の関連本が書店を賑わしている。手にとったのは、福田千鶴著「豊臣家の女たち」(岩波書店 1166円)。著者は注目の近世史学者で、戦国から江戸期の女性史に関して刮…
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中野純(闇案内人)
11月×日 今夜は墨田区主催のワークショップで、路地裏の暗闇を楽しんでもらった。東京の町の闇歩きは問題ないが、山のミッドナイトハイクは参加者が急減した。クマ報道の影響だろう。高級酒をちびちび飲むように…
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谷口功一(東京都立大学法学部教授)
12月×日 NHKの朝ドラ「ばけばけ」が面白い。主演の高石あかりは以前から注目していた女優だが、映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ(阪元裕吾監督)でも光っている。女性が圧倒的な暴力を振るう系のコミカ…
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増田晶文(小説家)
11月×日 彼女の双眸が開き、テレビニュースに釘付けとなった。 「あれは熊だよ、熊」 せっかく教えてやったのに知らんぷり。画面に近づいて匂いをかぎ、耳をピクピク。尻尾を立てるや「ニャッ」…
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永田琴(映画監督)
9月×日 韓国・釜山国際映画祭に来ている。拙作映画「愚か者の身分」で主演の俳優3人が同時に最優秀俳優賞を受賞した。感無量。思い返せばこの旅は、原作である同名書を読んだ5年前に遡る。戸籍ビジネスで生計を…
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福島泰樹(歌人・絶叫ミュージシャン)
10月×日 毎月10日、吉祥寺曼荼羅での月例「短歌絶叫コンサート」を終え、深夜帰宅。明朝は一番列車で弘前だ。 10月×日 車中、自著「寺山修司 死と生の履歴書」(彩流社 1980円)に目を通す。…
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下村敦史(作家)
9月×日 11月に刊行予定の新刊リーガル・サスペンス「暗闇法廷」(双葉社)のゲラに取り組む。 9月×日 光文社の新連載「ネタバレあり ~双紋島の殺人」の改稿と同時進行で、来年刊行予定の「あいつも…
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谷津矢車(作家)
9月×日 仕事が1つ終わったので、本棚の肥やしになっていた阿川弘之著「あひる飛びなさい」(筑摩書房 946円)を読む。戦後描写の圧倒的リアリティーに打ち震えるとともに、戦争の焼け跡から観光業、飛行機事…
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石田夏穂(作家)
9月×日 私はノンフィクションばかり読む傾向がある。フィクションより「読みやすい」気がするのだ。 佐々涼子著「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社 682円)を読むと、こんな仕事をする…
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奥野修司(作家)
9月×日 もう半世紀も前のことだ。大学を出たのに就職せず、趣味のカメラで生活できればと写真学校に入学した。思うまま写真を撮りながら、それにまつわる物語でも書ければ、なんて妄想でもしたのだろう。ある日、…
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吉川英梨(作家)
6月×日 「海蝶」シリーズ3作目(11月発売予定、講談社)の取材のため、岩手県陸前高田市にある東日本大震災津波伝承館へ。館内の大型モニターで津波の映像を見ていると、近くに座っていた地元の老人が「えへへ…
