週間読書日記
-
古内一絵(作家)
5月×日 ずっと積読していた“業界騒然小説”村山由佳著「PRIZE」(文藝春秋 2200円)を恐る恐る読み始める。これは厳しい。作家デビューして14年目になるが、実は私は正賞をとっていない。デビューは…
-
朝倉かすみ(作家)
5月×日 リラ冷えの札幌、気温12度。薄ら寒いが我慢している。「ストーブを点けたら負け」という謎の勝負がこの時期の北海道にはある。 5月×日 たまらずストーブ点火。寒いと幸せな気持ちになれない。…
-
本橋信宏(ノンフィクション作家)
5月×日 花房観音著「生きてりゃいいさ 河島英五伝」(西日本出版社 1650円)を読む。 長身・長髪、男のたくましさ、哀しさを朗々と歌い上げた河島英五が48歳で亡くなって24年がたつ。 …
-
いしいしんじ(作家)
5月×日 連載「きょくあじさしとくさのこ姫」書く。舞台は12世紀の京都。北極から南極まで渡る鳥が、盲目の姫君のもとへ、全世界のニュースをせっせと届ける。ぼく自身その現場に立ちあうかのように「インカを歩…
-
竹内薫(サイエンス作家)
5月×日 年を取ってくると、読む本の種類が限定されてくる。どうしても、自分の得意分野や趣味に近い本が多くなる。GWの休みが続くので、自宅でまったりしながら読書。鈴木貫太郎著「マイナス×マイナスはなぜプ…
-
花房観音(作家)
4月×日 ときどき、SNSをやめようと考えることがある。毎日のように、正義の仮面をかぶった人の悪意を目にするからだ。「言葉の暴力」が、自分の心も蝕んでしまいそうだ。 けれど私のようなパッとしな…
-
嶺里俊介(作家)
3月×日 光文三賞授賞式。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作「午前零時の評議室」(光文社 2090円)は、裁判員裁判をテーマにした社会派作品。 一般人である裁判員は、ややもすると感情に流されて…
-
黒木亮(作家)
3月×日 取材を兼ね、マダガスカルのそばに浮かぶ島国、モーリシャスを訪れる。夏の雨季で気温は30度超。アフリカの国だが、住民の3分の2はインド系で、4分の1はクレオール(現地生まれの欧米人およびその混…
-
高嶋哲夫(作家)
3月×日 今年の冬は、温かくなったり、寒くなったり。観測史上最大の積雪という言葉も何度か聞いた。これも地球温暖化による異常気象か。 3月に入り、ここ何年も温めていた題材の本を2冊、何とか仕上げ…
-
有栖川有栖(作家)
3月×日 新聞に連載小説を書いているせいもあり、次々に締切りがやってきて、なかなか本が読めない。日がな1日ずーっと読書をして過ごしたいのに。 「仕事に切れ間ができた。今ならいける」というタイミン…
-
彩瀬まる(作家)
3月×日 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから3年を超える月日が経過した。つい先日、ウクライナのゼレンスキー大統領とアメリカのトランプ大統領の会談が、前代未聞の口論となり決裂した。その報道…
-
蝉谷めぐ実(作家)
2月×日 作家としてデビューして今年で5年目。ありがたいことに連載のお仕事をもらえるようになり、それらを並行して進める毎日だが、ここに歴史時代小説を主戦場に選んだことによる問題が生じている。平安、戦国…
-
葉真中顕(作家)
1月×日 ふらりと立ち寄った古本屋で、同じ著者の同じ小説が3冊並んでいるのを見かけた。それ自体は珍しいことではないが、よく見ると3冊とも刊行している版元が違った。表紙の装丁も同じで版元だけが違う。著作…
-
佐藤一磨(拓殖大学政経学部教授)
1月×日 法事のため新幹線での移動中にトイアンナ著「弱者男性1500万人時代」(扶桑社 1012円)を読む。読み進めると、「弱者男性」とは単にモテない人を指すわけではなく、介護していて自由が利かない人…
-
森朗(気象予報士)
2月×日 仕事上カタカナまみれになることが多い。気象の専門用語ならまだしも、ビジネス用語や情報技術用語になると、ついていけないどころかその場で呆然としてしまう始末。これって日本語で表せないものだろうか…
-
冲方丁(作家)
1月×日 コロナ禍の自粛生活で体重が増えた人が周囲に多い。かくいう私も、ろくに出歩かず、自宅で好きな物を食べ、好きなだけ酒を飲むうち、8キロ以上増えた。一張羅のスーツがきつくて着られなくなり、何年も無…
-
加来耕三(歴史家・作家)
1月×日 三重県伊賀市で、忍者にまつわる講演を行った。 日本人には思い込みの強い人が多く、「忍者」という単語は、戦後に定着したもので、中世に使われた「忍(しの)び」が江戸時代に「忍びの者」とい…
-
羽鳥好之(作家)
1月×日 トランプ米大統領が早々に暴言妄言をまき散らしている。この男の頭の中は一体どうなっているのか、改めて考え込んでしまうのだが、参考になる格好の書があったなあとツン読の山をかき分ける。船橋洋一著「…
-
佐川光晴(作家)
1月×日 年末年始は、古山高麗雄著「フーコン戦記」(小学館 880円)を読んで過ごした。単行本の刊行は1999年。生誕100年に先立つこと2年の2018年に芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」を含む同名…
-
石原壮一郎(コラムニスト)
12月×日 昭和に生まれて昭和に育った昭和人間のみなさん、元気でやってますか。世の中の雰囲気も価値観も大きく変わって、何かとやりづらくて仕方ないですよね。 令和の時代に、昭和人間はどう生きるか…