週間読書日記
-

谷口功一(東京都立大学法学部教授)
12月×日 NHKの朝ドラ「ばけばけ」が面白い。主演の高石あかりは以前から注目していた女優だが、映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ(阪元裕吾監督)でも光っている。女性が圧倒的な暴力を振るう系のコミカ…
-

増田晶文(小説家)
11月×日 彼女の双眸が開き、テレビニュースに釘付けとなった。 「あれは熊だよ、熊」 せっかく教えてやったのに知らんぷり。画面に近づいて匂いをかぎ、耳をピクピク。尻尾を立てるや「ニャッ」…
-

永田琴(映画監督)
9月×日 韓国・釜山国際映画祭に来ている。拙作映画「愚か者の身分」で主演の俳優3人が同時に最優秀俳優賞を受賞した。感無量。思い返せばこの旅は、原作である同名書を読んだ5年前に遡る。戸籍ビジネスで生計を…
-

福島泰樹(歌人・絶叫ミュージシャン)
10月×日 毎月10日、吉祥寺曼荼羅での月例「短歌絶叫コンサート」を終え、深夜帰宅。明朝は一番列車で弘前だ。 10月×日 車中、自著「寺山修司 死と生の履歴書」(彩流社 1980円)に目を通す。…
-

下村敦史(作家)
9月×日 11月に刊行予定の新刊リーガル・サスペンス「暗闇法廷」(双葉社)のゲラに取り組む。 9月×日 光文社の新連載「ネタバレあり ~双紋島の殺人」の改稿と同時進行で、来年刊行予定の「あいつも…
-

谷津矢車(作家)
9月×日 仕事が1つ終わったので、本棚の肥やしになっていた阿川弘之著「あひる飛びなさい」(筑摩書房 946円)を読む。戦後描写の圧倒的リアリティーに打ち震えるとともに、戦争の焼け跡から観光業、飛行機事…
-

石田夏穂(作家)
9月×日 私はノンフィクションばかり読む傾向がある。フィクションより「読みやすい」気がするのだ。 佐々涼子著「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」(集英社 682円)を読むと、こんな仕事をする…
-

奥野修司(作家)
9月×日 もう半世紀も前のことだ。大学を出たのに就職せず、趣味のカメラで生活できればと写真学校に入学した。思うまま写真を撮りながら、それにまつわる物語でも書ければ、なんて妄想でもしたのだろう。ある日、…
-

吉川英梨(作家)
6月×日 「海蝶」シリーズ3作目(11月発売予定、講談社)の取材のため、岩手県陸前高田市にある東日本大震災津波伝承館へ。館内の大型モニターで津波の映像を見ていると、近くに座っていた地元の老人が「えへへ…
-

宮内悠介(作家)
7月×日 妻が某老舗本格中華チェーンに行ったらしく、土産に麻婆豆腐の残りを包んで持ってきた。家では麻婆豆腐担当なのでさっそく食べてみる。まず花椒粉の香りが全然違う。うちのは出来あいの粉なので、ミルを導…
-

山崎ナオコーラ(小説家)
7月×日 夏が、子どもにつき合って過ぎていく。私はフリーランスの小説家でずっと仕事なのだが、うちには小学生と保育園児がいて、つられて夏休み気分になってしまう。「ピタゴラスイッチ」という子ども向け番組が…
-

松下隆一(作家)
7月×日 山本周五郎著「虚空遍歴」(新潮社 上巻693円、下巻781円)を読む。端唄作者の主人公が本格的な浄瑠璃を作りたいと一念発起し、江戸から上方、北陸へと渡り歩くが、創作に対する厳格な姿勢に加えて…
-

西尾潤(作家)
7月×日 相変わらずの兼業作家。家族の介護と犬の世話も加わり、日々時間をぶん回している。先日、一時帰国したテニス界のレジェンド、国枝慎吾さんのヘアメイクを担当。ということで国枝慎吾、稲垣康介著「マイ・…
-

荻原浩(作家)
7月×日 こうの史代著「鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」(青幻舎 3520円)。こうの史代の漫画家生活30周年を機にまとめられた1冊。数々の作品の原画やコンテに詳細な解説…
-

吉川潮(作家、演芸評論家)
6月×日 このところ寄る年波で、めっきり読書量が減った。とは言え、好きな芸人が新刊を出すと読みたくなる。タブレット純は「ムード歌謡漫談」を演じるピン芸人だが、歌手として、晩年の和田弘とマヒナスターズの…
-

志川節子(作家)
6月×日 世界遺産高野山へ、1泊2日の旅。山上盆地に広がる町並み全体が、信仰の地。インバウンドの影響で宿坊の料金が高騰、山から離れたビジネスホテルに泊まる。2日目に奥之院を参拝、生身供を見学する。即身…
-

金井真紀(文筆家・イラストレーター)
6月×日 スリランカ人の友だちがキャッサバのケーキを作ってくれた。キャッサバは中南米、アフリカ、南アジアなど暑い場所でよく栽培されていて、その根っこ(芋)や葉っぱを使って、めくるめく料理のバリエーショ…
-

藤井青銅(作家・脚本家)
5月×日 拙著「ラジオな日々」の復刊をクラウドファンディングで行うと発表。売れない作家が小さな選書書店と組んでのチャレンジだ。 6月×日 山口亮子著「ウンコノミクス」(集英社インターナショナル …
-

七月隆文(作家)
5月×日 専門学校のノベル科で講師を始めた。売れるための企画作りからプロット(話の構成)までを教える予定だ。 後進を育てたいという思いが以前からあった。私自身、師に教えられたおかげで今があると…
-

古内一絵(作家)
5月×日 ずっと積読していた“業界騒然小説”村山由佳著「PRIZE」(文藝春秋 2200円)を恐る恐る読み始める。これは厳しい。作家デビューして14年目になるが、実は私は正賞をとっていない。デビューは…
