週間読書日記
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吉川英梨(作家)
6月×日 「海蝶」シリーズ3作目(11月発売予定、講談社)の取材のため、岩手県陸前高田市にある東日本大震災津波伝承館へ。館内の大型モニターで津波の映像を見ていると、近くに座っていた地元の老人が「えへへ…
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宮内悠介(作家)
7月×日 妻が某老舗本格中華チェーンに行ったらしく、土産に麻婆豆腐の残りを包んで持ってきた。家では麻婆豆腐担当なのでさっそく食べてみる。まず花椒粉の香りが全然違う。うちのは出来あいの粉なので、ミルを導…
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山崎ナオコーラ(小説家)
7月×日 夏が、子どもにつき合って過ぎていく。私はフリーランスの小説家でずっと仕事なのだが、うちには小学生と保育園児がいて、つられて夏休み気分になってしまう。「ピタゴラスイッチ」という子ども向け番組が…
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松下隆一(作家)
7月×日 山本周五郎著「虚空遍歴」(新潮社 上巻693円、下巻781円)を読む。端唄作者の主人公が本格的な浄瑠璃を作りたいと一念発起し、江戸から上方、北陸へと渡り歩くが、創作に対する厳格な姿勢に加えて…
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西尾潤(作家)
7月×日 相変わらずの兼業作家。家族の介護と犬の世話も加わり、日々時間をぶん回している。先日、一時帰国したテニス界のレジェンド、国枝慎吾さんのヘアメイクを担当。ということで国枝慎吾、稲垣康介著「マイ・…
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荻原浩(作家)
7月×日 こうの史代著「鳥がとび、ウサギもはねて、花ゆれて、走ってこけて、長い道のり」(青幻舎 3520円)。こうの史代の漫画家生活30周年を機にまとめられた1冊。数々の作品の原画やコンテに詳細な解説…
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吉川潮(作家、演芸評論家)
6月×日 このところ寄る年波で、めっきり読書量が減った。とは言え、好きな芸人が新刊を出すと読みたくなる。タブレット純は「ムード歌謡漫談」を演じるピン芸人だが、歌手として、晩年の和田弘とマヒナスターズの…
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志川節子(作家)
6月×日 世界遺産高野山へ、1泊2日の旅。山上盆地に広がる町並み全体が、信仰の地。インバウンドの影響で宿坊の料金が高騰、山から離れたビジネスホテルに泊まる。2日目に奥之院を参拝、生身供を見学する。即身…
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金井真紀(文筆家・イラストレーター)
6月×日 スリランカ人の友だちがキャッサバのケーキを作ってくれた。キャッサバは中南米、アフリカ、南アジアなど暑い場所でよく栽培されていて、その根っこ(芋)や葉っぱを使って、めくるめく料理のバリエーショ…
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藤井青銅(作家・脚本家)
5月×日 拙著「ラジオな日々」の復刊をクラウドファンディングで行うと発表。売れない作家が小さな選書書店と組んでのチャレンジだ。 6月×日 山口亮子著「ウンコノミクス」(集英社インターナショナル …
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七月隆文(作家)
5月×日 専門学校のノベル科で講師を始めた。売れるための企画作りからプロット(話の構成)までを教える予定だ。 後進を育てたいという思いが以前からあった。私自身、師に教えられたおかげで今があると…
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古内一絵(作家)
5月×日 ずっと積読していた“業界騒然小説”村山由佳著「PRIZE」(文藝春秋 2200円)を恐る恐る読み始める。これは厳しい。作家デビューして14年目になるが、実は私は正賞をとっていない。デビューは…
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朝倉かすみ(作家)
5月×日 リラ冷えの札幌、気温12度。薄ら寒いが我慢している。「ストーブを点けたら負け」という謎の勝負がこの時期の北海道にはある。 5月×日 たまらずストーブ点火。寒いと幸せな気持ちになれない。…
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
5月×日 花房観音著「生きてりゃいいさ 河島英五伝」(西日本出版社 1650円)を読む。 長身・長髪、男のたくましさ、哀しさを朗々と歌い上げた河島英五が48歳で亡くなって24年がたつ。 …
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いしいしんじ(作家)
5月×日 連載「きょくあじさしとくさのこ姫」書く。舞台は12世紀の京都。北極から南極まで渡る鳥が、盲目の姫君のもとへ、全世界のニュースをせっせと届ける。ぼく自身その現場に立ちあうかのように「インカを歩…
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竹内薫(サイエンス作家)
5月×日 年を取ってくると、読む本の種類が限定されてくる。どうしても、自分の得意分野や趣味に近い本が多くなる。GWの休みが続くので、自宅でまったりしながら読書。鈴木貫太郎著「マイナス×マイナスはなぜプ…
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花房観音(作家)
4月×日 ときどき、SNSをやめようと考えることがある。毎日のように、正義の仮面をかぶった人の悪意を目にするからだ。「言葉の暴力」が、自分の心も蝕んでしまいそうだ。 けれど私のようなパッとしな…
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嶺里俊介(作家)
3月×日 光文三賞授賞式。日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作「午前零時の評議室」(光文社 2090円)は、裁判員裁判をテーマにした社会派作品。 一般人である裁判員は、ややもすると感情に流されて…
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黒木亮(作家)
3月×日 取材を兼ね、マダガスカルのそばに浮かぶ島国、モーリシャスを訪れる。夏の雨季で気温は30度超。アフリカの国だが、住民の3分の2はインド系で、4分の1はクレオール(現地生まれの欧米人およびその混…
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高嶋哲夫(作家)
3月×日 今年の冬は、温かくなったり、寒くなったり。観測史上最大の積雪という言葉も何度か聞いた。これも地球温暖化による異常気象か。 3月に入り、ここ何年も温めていた題材の本を2冊、何とか仕上げ…