木曜日は夜ふかし本
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「死神」田中慎弥著
「死神」田中慎弥著 中学2年のとき、本気で死への衝動に駆られた主人公の「私」は、「死神」に出会った。実はその兆候はそれ以前からあった。校舎のベランダ、遮断機の下りた踏切、赤信号の横断歩道、紐、…
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「争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から」山極寿一著
「争いばかりの人間たちへ ゴリラの国から」山極寿一著 ゴリラはこれまで100年以上も、暴力的で好戦的な動物とみなされてきた。しかし、40年余りアフリカに通ってゴリラの暮らしを体験した著者は、彼…
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「青姫」朝井まかて著
「青姫」朝井まかて著 甲斐国巨摩郡高柳村の名主・安住又兵衛の弟である杜宇は、とある武家と悶着を起こしたせいで、村から逃げ出す羽目に陥り、いつのまにか見知らぬ土地へと迷い込んだ。 そこは…
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「ここでは言葉が死を招く」嶋中潤著
「ここでは言葉が死を招く」嶋中潤著 函館市にある医療刑務所分院に勤める医師・金子由衣は、収容されている受刑者を診ている。最近は高齢者ばかりか外国人受刑者を診ることも増え、コミュニケーションの取…
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「迷惑な終活」内館牧子著
「迷惑な終活」内館牧子著 主人公の原英太は75歳。後期高齢者に入るとあって、妻の礼子はエンディングノートやら遺言状やらの終活を始めろとうるさいが、なぜ生きているうちから死の準備をしなきゃいけな…
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「ウバステ」真梨幸子著
「ウバステ」真梨幸子著 還暦を迎えた売れない作家・駒田世津子は逗子の実家で1人暮らし。20年前、世津子の小説「ウバステ」がテレビドラマ化された縁で、今も元テレビ局プロデューサーの小野坂哲子、シ…
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「ことばの番人」髙橋秀実著
「ことばの番人」髙橋秀実著 ネット全盛の時代、誤字脱字まみれで事実関係も危うい言葉が世に氾濫している。なぜ、そんなものばかりが目に付くのかといえば、そこには客観的視点を持つ他者が存在せず、書き…
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「龍ノ眼」麻宮好著
「龍ノ眼」麻宮好著 隠密同心の長澤多門は、まるで翡翠のような美しい砥石の出どころを探るため小日向藩石場村へ赴いた。御公儀直轄の砥窪で採掘され闇取引されているのではないか、と奉行所が懸念したため…
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「タブー・トラック」羽田圭介著
「タブー・トラック」羽田圭介著 俳優の橘響梧が、ノンアルコールビールのCM撮影をしているシーンから物語は始まる。どこからも批判を受けない表現を求められるなか、仕事終わりに彼がこっそり立ち寄るの…
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「マザー」乃南アサ著
「マザー」乃南アサ著 結婚して婿養子に入った岬樹は、4年ぶりに故郷に降り立った。新型コロナの間に立て続けに祖父母と父が亡くなり、1人になってしまった母を心配し訪ねることにしたのだ。実家に向かい…
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「遺言」森永卓郎、岸博幸著
「遺言」森永卓郎、岸博幸著 共に霞が関での宮仕えを経て経済評論家や学者として活躍、さらに60歳を過ぎてがんを患い余命宣告を受けた2人が、「財務省」「防衛政策」「小泉構造改革」など8つのテーマで…
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「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳
「動物城2333」荷午、王小和著、阿部禾律下訳、島田荘司訳 時は、西暦2333年。動物が進化の末に人間から独立して作った動物王国の首都「動物城」に、人間側の代表である女性大使が和平交渉にやって…
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「癲狂院日乗」車谷長吉著
「癲狂院日乗」車谷長吉著 平成10年4月14日から翌11年4月13日までの1年間をつづった最後の私小説家の日記である。 著者は平成8年に「赤目四十八瀧心中未遂」を書きあげた。6年の歳月…
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「安全に狂う方法」赤坂真理著
「安全に狂う方法」赤坂真理著 酒やギャンブルなど一定の行為にハマる状態を一般に依存症と呼ぶ。症状さえ消えれば回復だと思われがちだが、その要因となった緊張感や不安などの生きにくさが解消されない限…
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「TUBE」ソン・ウォンピョン著、矢島暁子訳
「TUBE」ソン・ウォンピョン著、矢島暁子訳 ソウルに住む、平凡な中年男キム・ソンゴン・アンドレアは事業に失敗し、意を決して向かった漢江へ身投げするが、それも失敗。不本意にもこの世に押し戻され…
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「緋あざみ舞う」志川節子著
「緋あざみ舞う」志川節子著 向島の船宿「かりがね」を営むお路とお律は、評判の美人姉妹。表の商売が繁盛する一方で、彼女たちには江戸を騒がす「緋薊」という名の盗賊の裏の顔もあった。 盗みに…
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「鳥と港」佐原ひかり著
「鳥と港」佐原ひかり著 大学院卒の春指みなとは25歳。入社したものの、日報のまとめや意識改革に関わる上面の言葉をまとめ続ける業務に意味を見いだせず、9カ月で退職。1カ月後、みなとは立ち寄った公…
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「熊神」川村湊著
「熊神」川村湊著 熊と人との関わりを示唆する物語は世界各地に残っている。熊に襲われた貴婦人が熊の子を産むリトアニアの伝承や、熊女が人と交わって後に王となる子を産む朝鮮の話などがその例だ。日本で…
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「武器としての土着思考」青木真兵著
「武器としての土着思考」青木真兵著 人口1600人の奈良県東吉野村に移住し、私設図書館ルチャ・リブロを運営している著者。そのきっかけは都市生活において覚えた「危機感」だったという。資本の原理が…
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「笑う森」荻原浩著
「笑う森」荻原浩著 ある日、小樹海と呼ばれる「神森」のトレッキングコースに母親と来ていた5歳の男児・真人が行方不明になった。発達障害のある真人はひとつのことに集中しがちで、そのとき夢中になって…