家族関係や姉の現状を赤裸々につづり反響│「プレゼント」吉本ばなな著
「プレゼント」吉本ばなな著
著者の母は、他人には過剰とも言えるほど「いい人」であったが、子どもに対しては言葉の暴力をふるう人であった。幼児の頃から一晩中でも欠点を言い続けられ、家族の自分以外が楽しんでいることが大嫌い。著者は中学1年で心の中ではっきりと切り捨てたが、姉は切り捨てられず母の奴隷のようになり、姉の魂は死んでしまった。
両親を見送り、共に還暦を過ぎた昨年のこと。著者が姉が一人で暮らす実家を訪れると、ネズミの糞尿の臭いが充満していた。やがて姉はネズミ由来の感染症で蜂窩織炎の状態で入院する。
才能にあふれ、愛猫家で楽しかった思い出もある姉。しかし姉の生活は破綻しており、著者は長年、随分な金銭援助をし、ついには老後に住むための家を売って1200万円を姉に渡したこともあるが、すべて猫の治療費に消えていたという。限界を迎えた著者は、姉の体を救うためには、真実を書いて入ってきたお金を姉に医療費として渡そうと決意する。
本書は著者の姉でエッセイストとして活躍するハルノ宵子氏の状況や家族関係などを赤裸々につづり、大きな反響を呼んだ「note」の書籍化。
愛しているのに距離を置くしかない姉への思い、著者自身の「生き直し」など、苛烈な体験に心が揺さぶられる。 (幻冬舎 1760円)



















