「1980年代」を描いた邦画ブーム到来 この時代は自分の生き方を貫くキャラクターの宝庫
永島暎子は各映画賞の助演女優賞を総なめにした
また10月30日に水田伸生監督、柳楽優弥主演によるリメーク作品「RYUJI 竜二」の公開に合わせ、川島透監督、金子正次主演、オリジナル「竜二」が4Kスキャン2Kリマスター版で、同23日から全国で順次公開される。原点の「竜二」は80年代の新宿・歌舞伎町界隈でちょっとは知られたヤクザの竜二が、妻と幼い娘のために堅気になる決意をして酒屋で働き始めるが、過去のしがらみから元の生活に戻っていく姿を描くもの。主演・企画・原作・脚本の金子正次は末期がんに侵されながら自主製作。83年の公開中に33歳で逝去。ヤクザを単なるアウトローではなく、家族を思って葛藤する小市民として捉え大ヒット。金子は日本アカデミー賞やブルーリボン賞などで新人賞を受賞し、妻を演じた永島暎子は各映画賞の助演女優賞を総なめにした。
リメーク版は84年から90年の歌舞伎町、役名やストーリー展開は同じだが、漂ってくる時代観が少し違う。水田監督は再創造するつもりで現場に臨んだと言っているが、2つの作品を見比べるのも一興だろう。
「ファーストボイス」では女性たちが男社会に対して「私たちは黙っていない」と声を上げ、忌野清志郎は自分には世界を平和にしたいという夢があると人々に強く語りかける。組織ではなく個人の幸せを求めて揺れる、ヤクザを描いた「竜二」も含めて、80年代の人やキャラクターは、周りを気にせず、自分の生き方を貫こうと格闘した。そこが世間の反応や批判に気をとられる現代人には魅力的に映るのだろう。こういう80年代を捉え直す動きは、今後も続くかもしれない。
(金澤誠/映画ライター)
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