映画
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是枝裕和監督がカンヌ映画祭で切実な訴え…日本映画界の「危機的状況」を示すデータ
「日本の映画界全体が危機感を持つべき。もう何年か、このままいくと手遅れになると個人的には思っています」――5月28日(日本時間29日)にフランスで行われたカンヌ映画祭の授賞式で、日本を代表する映画監督のひとり、是枝裕和監督(59)がそ...
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背中で語るトム・クルーズ…「トップガン」最新作は世代を超えるか
ネット社会になり、世代間の溝が広がっている現代社会。私も含め、「あの頃はこんなだった」と言いがちでウンチクを披露したがる年配者は、“映画を早送りで見る若者”にはウザがられるに違いないのです。だって調べればある程度のことはネットで分か...
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「流浪の月」22年上半期屈指の出来ばえ!広瀬すず、松坂桃李、横浜流星の“卓抜ポイント”
今年上半期、屈指の出来ばえを持つ作品と思う。「怒り」以来、6年ぶりの本格的な新作となる李相日監督の「流浪(るろう)の月」だ。 撮影は「パラサイト 半地下の家族」のホン・ギョンピョが担当した。この新たなコンビから、いったいどん...
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倍賞千恵子主演「PLAN 75」が描く超高齢社会 この世に“いらない人間”は存在するのか
老いるというのは、人のお荷物になってしまうということなのでしょうか? 少子高齢化が深刻化する日本において、やがて年を重ねた時、「どのように人生を終えるのが良いか?」というのは、難しい問題です。 このようなテーマを扱った作品と...
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【ウクライナのひまわり畑】ソフィア・ローレンの感動名画にもいくつもの闇
新学期が始まって1カ月。このコラムでも何度か書いたが、ここ数年、大学のゼミでは映画を素材にして「物語」の構造と「感動」の関係を探る、という授業をやっている。手順としては、どんな素材を取り上げたいかを受講生にアンケートし、そのラインナ...
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ウクライナ人プロデューサーが映画「チェルノブイリ1986」に込めた“プーチン批判”
ウクライナへの侵攻初日に制圧されて以来、3月末までロシア軍の支配下にあったチョルノービリ(チェルノブイリ)原発。歴史的舞台として再び注目される中、36年前の爆発事故を描いたロシア映画「チェルノブイリ1986」(20年)が日本公開とな...
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公開40周年「E.T.」「少林寺」いま再びの名画の意義…昔から変わらぬ普遍的メッセージ
2022年、公開40周年を迎える映画たちが再び注目を集めています。 一本は、ハリウッドでもジェット・リーという名で活躍し、シルヴェスター・スタローン主演・監督作『エクスペンダブルズ』(2010年)やディズニー映画『ムーラン』...
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GW興行注目の2本「ファンタビ」「名探偵コナン」は過去の栄光を“上書き”する出色の出来映え
やはり、強力シリーズものは強い。このゴールデンウィーク興行に向けて、2本の新作が他作品を圧して大ヒットしている。公開順に、「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」(4月8日~、以下「ファンタビ」)と「名探偵コナン ハロウ...
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濱口竜介監督が証明する健全なワークショップの必要性、監督が俳優に教えるモノとは?
第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督。しかも4部門(作品賞・監督賞・脚色賞・国際長編映画賞)ノミネートのうち、作品賞と脚色賞に名を連ねたのは日本映画初という快挙を果たしました。 それを記念して濱口監督の初...
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Snow Man主演映画「おそ松さん」興収早々10億円超えのヒットの要因を深堀りする
「映画 おそ松さん」が4月3日、公開10日目にして興収10億円を超えた。ヒットと言っていい。赤塚不二夫さん原作の「おそ松くん」に登場する六つ子たちのその後の姿を描いたテレビアニメの「おそ松さん」が始まったのが2015年。そのアニメを基...
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「ドライブ・マイ・カー」大快挙も…アカデミー賞に見る日本の映画製作の課題
3月28日(日本時間)、2022年(第94回)アカデミー賞授賞式が行われ、『ドリームプラン』で主演男優賞を受賞したウィル・スミスが妻であるジェイダ・ピンケット・スミスの外見を揶揄し屈辱的なジョークを言ったプレゼンターのコメディアン、...
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ギャラもケタ違い!西島秀俊「ドライブ・マイ・カー」オスカー躍進で海外進出するorしない、どっち?
〈クール〉から〈可愛い〉へと印象を変えつつあるようだ。主演の連ドラ「真犯人フラグ」(日本テレビ系)の放送が終了したばかりの西島秀俊(50)の話。最終回直前には日テレの情報番組に出演し、番宣にも余念がなかった。 「近ごろは番宣に出...
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「バットマン」新作で振り返るナゾの興行史 正義vs悪だけでは計れない
バットマン映画の新作である「THE BATMANーザ・バットマンー」が公開中だ。バットマンは、日本人には馴染み深いが、国内ではある一定した興行を展開するケースが多く、これがなかなか興味をそそる。実写版はだいたい興収8億円から10億円...
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大混戦!米アカデミー賞主演女優賞は最年少のクリステン・スチュワート推し
3月28日(日本時間)に授賞式が迫ってきた米アカデミー賞。いったいどの映画が受賞なるか、と期待が深まる中、今年、混戦を極めるのが主演女優と言われています。 しかも興味深いのは、主演女優賞に輝いた5人の出演作がいずれも作品賞や...
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コロナ禍で奮闘する「下高井戸シネマ」が多くの観客から支持されるワケ
コロナ禍の映画業界は今も多くの映画館が苦境に陥っている。都内を見渡しても、シネコン、ミニシアター、名画座などそれぞれに事情が違うとはいえ、厳しいことに変わりない。 そのような状況下で奮闘している映画館もある。新宿が始発駅の京...
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榊英雄監督に女性への性加害報道、最新作公開中止に…法的責任について弁護士の見解は?
俳優の榊英雄氏(51)が2013年~17年にかけて複数の女優に対して性行為を強要していた──とする9日付の文春オンライン報道を受け、榊氏が監督を務め、25日に予定されていた映画「蜜月」の公開中止が公表された。 製作委は公式ペ...
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そのジェンダー観、ホントに合ってる?「ガンパウダー・ミルクシェイク」が描く“女性解放”!
「女性らしさ」「男性らしさ」とはなんなのか? それは異性から好感を持たれる為の服装や対応などで記されることが多くあります。たとえば、女の子の物はピンクで男の子の物は青と区別されがちで、自然と「固定概念」を子どもにも植え付けてし...
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早くもアカデミー賞効果!「ドライブ・マイ・カー」と「おくりびと」の“違い”を紐解く
今年の米国アカデミー賞が例年にない注目を集めている。日本映画の「ドライブ・マイ・カー」(監督・濱口竜介)が、作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門でノミネートされているからだ。 このうち作品賞、脚色賞のノミネートは日...
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映画「ウエスト・サイド・ストーリー」が突き付ける“移民問題”という現代的テーマ
スティーブン・スピルバーグ監督初の本格ミュージカル映画「ウエスト・サイド・ストーリー」(公開中)の評判が上々だ。1957年初演のブロードウェー・ミュージカルを「ウエスト・サイド物語」(61年)に続く2度目の映画化。前作は歴史的な名作...
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「ドライブ・マイ・カー」米アカデミー賞ノミネートの“決め手”は…
先日、第94回米アカデミー賞ノミネートが発表されました。授賞式は日本時間の3月28日(月)。日本人の多くが、国際長編映画賞以外にも脚色賞、監督賞、作品賞でノミネートされた『ドライブ・マイ・カー』に注目しています。そもそもカンヌ国際映...
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「大怪獣のあとしまつ」は東映と松竹の共同配給、クレジット表記に滲む舞台裏
2月4日から公開された「大怪獣のあとしまつ」は、まぎれもない「問題作」である。問題作というと、政治、社会問題に切り込んだ社会派作品に捉えがちだが、もちろん、本作はそうではない。 これまでの映画の常識とは違った中身を打ち出した...
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Kōki,初主演ホラー「牛首村」はG区分、子供から大人まで全年齢OKなワケ
大ヒットを記録した『リング』が生み出された1998年以降、Jホラー(ジャパニーズ・ホラー)というジャンルが確立され、『リング』や『呪怨』(ビデオ版2000年、劇場版2003年)『仄暗い水の底から』(2002年)『女優霊』(1996年...
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クリント・イーストウッドは“令和の寅さん”か 映画「クライ・マッチョ」でモテモテ老人役
クリント・イーストウッド監督50周年記念作品「クライ・マッチョ」が先週公開され、話題となっている。1971年に「恐怖のメロディ」で初メガホンを取ってから今回が監督40作目。毎回、「これが最後か」と見る世間の予想を裏切り、91歳にして...
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「コーダ あいのうた」は映画館のスクリーンで見るべき作品だ
映画やドラマなどを見たあとの反応として、「号泣する」という言葉をときどき目にする。本当に「号泣」なのかと思ってしまうが、ある映画を見て、まごうことなき「号泣」体験をした。1月21日から公開された「コーダ あいのうた」(米=仏=加合作...
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志尊淳初監督作品も! 山田孝之さんら「MIRRORLIAR FILMS」が取っ払った“垣根”とは
「垣根なんてそもそもないんですよ」 そう山田孝之さんは『MIRRORLIAR FILMS Season2』完成披露試写会の控え室で私に言いました。そんな山田さんがプロデューサーとして、俳優仲間の阿部進之介さん、and pict...
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映画「ドライブ・マイ・カー」で注目 妻が若い男と浮気…なぜスルーできるのか?
妻を失った男の喪失と希望をつづったこの作品。人気映画「ドライブ・マイ・カー」(村上春樹原作)の公式サイトのイントロには、そんな解説が書かれている。重いテーマの下地になっている要素の一つが、妻の浮気だ。さて、妻の異変に気づいたら……。...
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コント赤信号・小宮孝泰インタビュー「年老いたって夢を抱くのは自由」
人間、何歳になっても夢を見ていたいが、年を取れば見たくない現実も見えてくる。「もし理想の女性を前にした時、自分の男性機能が失われていたら?」――そんな老境の赤裸々な葛藤をコミカルに描いた映画「桃源郷的娘」が1月21日より公開となる。...
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無念すぎる「岩波ホール」の閉館…偉大なる歴史と功績を振り返る
残念というより、無念である。老舗ミニシアターの都内・岩波ホールが、7月29日をもって閉館することが決まった。 オープンしたのは1968年の2月。54年の長きにわたる歴史に幕を下ろす。同館から届いたリリースには、「新型コロナの...
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日本人が「スパイダーマン」に惹かれるワケ 最新作出演のB.カンバーバッチ“浴衣ノリノリ”秘話も
2022年の幕開けは賑やかに華やかに、といきたいところに誰もが待ちわびていた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が1月7日から公開。この若き主人公スパイダーマンの映画も、マーベル・コミックのスーパーヒーロー映画を軸としたマーベル...
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加賀まりこ主演「梅切らぬバカ」が大健闘!“名タイトル”に込められたメッセージ
ミニシアターを中心とした今年の映画興行は、邦画、洋画ともにヒットが少なかった。クオリティーが高い作品が多いのに興行に結びつかないことが増えている。大問題である。コロナ禍でかねてから映画館に足を運んでいたミドルユーザー、ライトユーザー...