野岩鉄道「やがぴぃカー」(新藤原~会津高原尾瀬口)トンネルを抜けるたびに「気候の違い」まで味わえる
車窓からの眺めは格別
これからの季節、営業課長の室井徳男さんが薦めるのは、山を彩る紅葉だ。
「赤や黄色、緑が交ざる鮮やかな景色が、目の前に飛び込んできては、流れていきます。私は会津出身で紅葉は見慣れていますが、この車窓からの眺めはやっぱり格別です。川治温泉駅と川治湯元駅を結ぶ橋梁からの景色も見どころですよ」
紅葉の旬は年によって前後するが、例年10月末から11月半ばごろ。
「全線の約6割がトンネルで、これが不意に現れる景色をいっそう引き立てるのですが、それだけじゃありません。たとえば紅葉シーズン終盤に会津側から乗ると、トンネルを抜けて山をひとつ越すたび、色付いた木々が増えていく。その変化を感じられるのも面白いはずです」(同)
秋が紅葉なら、冬は雪景色だ。冬は会津方面へ向かうほど雪深くなる。わずか30.7キロ、乗車時間は40分に満たない中で、土地ごとの気候の違いまで感じられるのは、この路線ならではの醍醐味だ。
車窓の景色はもちろん、実は車両そのものにも大きな価値がある。ベースとなった「6050型」は、かつて東武鉄道などでも活躍したが、いまも現役で走るのは全国で野岩鉄道の2編成4両だけ。各鉄道会社がお役御免を言い渡す中、野岩鉄道は改修して走らせ続ける道を選んだ。
「開業当初から走り続け、多くのお客さまに親しまれてきた車両です。これからも走らせたいという思いでクラウドファンディングを実施し、社内で議論を重ねながら改修しました。経年劣化は避けられませんが、できるだけ長く走らせていきたいと思っています」(同)
年季の入った車体に新たな旅人を乗せ、やがぴぃカーはきょうも野山を駆け抜けていく──。
●運行日…基本的に隔日運行。ホームページに掲載していないため、乗車を希望する場合は要問い合わせ
●料金…全車自由席。野岩鉄道線内の全区間(新藤原~会津高原尾瀬口)の片道運賃は大人1090円、小児550円
●問い合わせ…℡0288-77-2355(野岩鉄道営業課)


















