著者のコラム一覧
平井隆司デイリースポーツ元記者

1942年、大阪府出身。旅行会社に就職するも4年で退社、デイリースポーツへ。阪神の担当記者として数々の事件や騒動を取材。デイリースポーツ編集局長やサンテレビ常務など、神戸新聞グループの主要ポストを歴任した。著書に「猛虎襲来」「阪神タイガース『黒歴史』」。

田淵幸一のサヨナラ弾で乱入し、一緒にホームインした男…その妻が後年、甲子園にまいた「白いもの」

公開日: 更新日:

 山上幸祐という人がいた。著名な人物ではない。野球と虎を愛する、実に気性の真っすぐな、曲がったことを嫌う人。その氏が若き頃、とんでもないやんちゃをしでかしたのである。

 1975年、田淵幸一は甲子園球場の巨人戦で2本のサヨナラ本塁打を打った。

 巨人戦である。6万を超える観衆でスタンドが埋まっている。この2本のうち、どちらのホームランだったのかは、今では誰の記憶も薄れてしまっているのだが、6万の観衆がおい、おい、おい、と仰天する場面を目の当たりにした。

 歓喜の中、三塁ベースを回る田淵に脱兎のごとく近づいた男が、あろうことかヒーローにくっついて一緒に走り、一緒にホームインしたのである。

 球場詰の警察官や球場職員が慌てまいことか。男に飛びついて引っ捕まえたが、時すでに遅し。球場は爆笑で割れんばかりの時が流れた。

 男は甲子園署の警官からこんこんと説教を食らい、萎れるふうを見せながら、しかし、鼻歌を歌って興奮も冷めた甲子園を後にした。

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