田淵幸一のサヨナラ弾で乱入し、一緒にホームインした男…その妻が後年、甲子園にまいた「白いもの」
山上幸祐という人がいた。著名な人物ではない。野球と虎を愛する、実に気性の真っすぐな、曲がったことを嫌う人。その氏が若き頃、とんでもないやんちゃをしでかしたのである。
1975年、田淵幸一は甲子園球場の巨人戦で2本のサヨナラ本塁打を打った。
巨人戦である。6万を超える観衆でスタンドが埋まっている。この2本のうち、どちらのホームランだったのかは、今では誰の記憶も薄れてしまっているのだが、6万の観衆がおい、おい、おい、と仰天する場面を目の当たりにした。
歓喜の中、三塁ベースを回る田淵に脱兎のごとく近づいた男が、あろうことかヒーローにくっついて一緒に走り、一緒にホームインしたのである。
球場詰の警察官や球場職員が慌てまいことか。男に飛びついて引っ捕まえたが、時すでに遅し。球場は爆笑で割れんばかりの時が流れた。
男は甲子園署の警官からこんこんと説教を食らい、萎れるふうを見せながら、しかし、鼻歌を歌って興奮も冷めた甲子園を後にした。


















