阪神・星野仙一監督を襲った優勝の重圧と「即死の恐怖」…3度倒れても休養を拒否した指揮官の矜持
積極的なミスはとがめなかったものの、やるべきことをやらなかったときは容赦ない。試合中にはベンチでよく、椅子を蹴り上げた。座っていた選手がその衝撃で宙に浮いたほど。実際に暴力をふるったという話は聞かなかったとはいえ、選手が星野監督を怖がっていたのは事実だ。手を抜くと何をされるか分からないという緊張感が、ぬるま湯につかっていた選手の意識を変えた。
ユニホームを着ると起こるストレス性高血圧。心臓疾患と闘いながら指揮を執った。動悸やめまい、吐き気に悩まされながらも選手の士気を鼓舞し続けた。
2年目はその症状がさらに悪化。私が記憶しているだけで3回は倒れた。遠征先で試合が終わって、ホテルの専用のエレベーターに乗ったとたん、その場に座り込んでしまったこともある。「心房細動を起こすと即死の可能性もある」と医師に警告された。
7月、マジックナンバーが点灯すると、私は島野ヘッドコーチに任せて少し休養したらどうかと提案した。星野監督はしかし、頑としてクビを縦に振らなかった。
「そんなこと、できるわけがありません。勝負事は何が起こるか分からない。(休養して)万が一、優勝を逃したら、私はもう関西にいられなくなってしまう」


















