保阪正康 日本史縦横無尽
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                         ムソリーニは必要以上に神話をつくり、国民に見抜かれて人気を失うムソリーニには真の友人はいなかったとの説がある。確かに多くの知己は持っていた。しかし心を許す友人、知人はいなかったというのだ。実弟のアルナルドだけを信用して、ローマに住むアルナルドにミラノからよく電… 
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                         イタリア国王エマヌエーレ3世に衝撃を与えたムソリーニのローマ進軍ムソリーニは雄弁家であった。イタリアでは政治家も演説の中に哲学的、文化的な一節や一句を挟むことが望まれた。特に歴史的な比喩などが喜ばれた。ムソリーニはそれだけの知性があった。イギリスの思想家、評論家… 
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                         イタリアの独裁者ムソリーニは時代と人の心理を読む術に長けていたイタリアの独裁者ベニト・ムソリーニは、同時期のスターリンやヒトラーとは少々性格の異なる人物であった。奇妙な表現になるのだが、陽気で夢想家の独裁者、暴力を肯定していくが、もともとは暴力礼賛者ではない。… 
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                         ソ連は英米に裏切り者の引き渡しを要求したソ連軍は1944年10月に初めてドイツ領に入った。しかし戦車部隊が次々とドイツ領内に攻め込んだのは1945年1月であった。戦車部隊の中には、ロシア人やウクライナ人の収容所を発見して機銃掃射で攻撃をす… 
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                         東方労働者を「裏切り者」「破壊分子」呼ばわりしたスターリン東方労働者たちはドイツ社会では「ソ連からきた市民奴隷」と呼ばれたというのである。彼らは一様に軍事捕虜よりも過酷な運命に置かれた。ドイツ社会の労働者が前線に送られて戦っている、その埋め合わせのために労… 
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                         ヒトラーによるスラブ民族虐殺で2600万人のソ連国民がナチスに殺されたスターリンとヒトラーの合作ともいうべき虐殺、粛清の悲劇がある。このことをまとめた報告書ともいうべき書がある。ロシアの歴史学者であるパーヴェル・マルコヴィッチ・ポリャーンの「二つの独裁の犠牲者(ヒトラ… 
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                         いつまで人を殺すのかと聞かれたスターリンは「必要なかぎり、いつまでも殺す」と答えたジョン・ガンサーが「ヨーロッパの内幕」でスターリンに触れたのは1935年である。スターリンについての人物論を書いたこの時代はヨーロッパ全体でもまだ「リベラルな文筆家が寛大だった時期」だったと、戦後に… 
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                         頭脳明晰なスターリンは新聞を隅々まで読み、記者の名を覚えたスターリンの性格が粗暴であるか否かは、正確には判断の方法がない。無慈悲な粛清や政敵を殺害することが性格からきているならまさに異常である。しかしその半面で革命の大義のためなら何でもやってのけるというの… 
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                         トロツキーはメキシコに亡命…なぜスターリンに暗殺されたのか?レーニンは1922年5月に一度倒れている。脳梗塞であった。それでも一時的に体力を回復して政務に復帰している。この政務への復帰はスターリンの書記長解任を求めるためのものであった。しかし、レーニンの意気… 
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                         レーニンが批判したスターリンの「粗暴」スターリンの性格を語る時によく引用されるのが、レーニンが語ったという次の言葉である。「スターリンはあまりにも粗暴である。そしてこの欠点は、我々共産主義者の間やその付き合いにおいては十分許容できるもの… 
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                         スターリンとヒトラー、2人の独裁者は互いを恐れながら憎んでいたスターリンとヒトラーの関係を見るとき、やはり1939年8月の独ソ不可侵条約の締結と、それが破られての独ソ戦について考察しておかなければならない。戦間期を見る際に重要なのは国際社会での取り決めや約束事… 
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                         ヒトラーとスターリン 独裁者には残虐な同一性がヒトラーとスターリンは、20世紀が生んだ特異な指導者である。彼らは表面上は国民によって選ばれた。 むろんソ連の社会主義体制は共産党の独裁だから、我々のいう選挙とは異なるのだが、ソ連の人民を代… 
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                         ヒトラーの健康状態は常によくなかったが薬物依存で英雄になった戦争の間、ヒトラーの健康状態は常にいい状態ではなかった。お付きの医師がいて、いつもヒトラーに薬を渡していた。この医師はベルリンの町医者であったが、ナチスの党員になることで大はやりするようになった。テ… 
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                         「日本の文化は化石となり、麻痺する」とヒトラーは罵った現実にヒトラーの時代に入ると、日本人は有色人種として差別の対象になっていた。父親がドイツ人で、母親が日本人という官僚がいた。この官僚は辞めさせられている。特派員だった鈴木東民の書いているところでは、… 
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                         ヒトラーの書物「わが闘争」から削除された日本人への侮蔑感昭和8(1933)年10月にベルリンである事件が起こった。ヒトラーが政権を獲得した年である。日本の少女がドイツの見知らぬ少年に殴られて顔に大ケガをした。事は大きな事件には思えない。しかし駐独大使の永… 
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                         外交官だった東郷茂徳が見抜いたヒトラーの正体ヒトラーが政権を握ったのは昭和8(1933)年である。日本社会では当初、その民族差別などが知られていて、極めて評判が悪かった。日本とドイツが防共協定を結んだのは昭和11年だが、それにイタリアが加わり… 
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                         秩父宮殿下の戦争不拡大論はヒトラー嫌いも理由のひとつだった秩父宮のヒトラーへの反論は、普通の日本の軍人ではおじけづいて口にできないであろう。秩父宮は天皇の弟として、言うべきことは言っておかなければとの思いがあったようだ。 この後、秩父宮は再びロンド… 
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                         他国の指導者を罵倒するヒトラーを秩父宮殿下は鋭くいさめた昭和10年代、日本の軍人、政治家、官僚の間では、ドイツに対する親近感が高まり、ヒトラーにより身近な意識を持つ者が多かった。ドイツと日本の間で防共協定が結ばれるのであったが、その同盟にイタリアが加わっ… 
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                         ヒトラーはなぜ20世紀に登場したのか ドイツ国民は知性と理性より感情の言葉を求めたなぜ20世紀にヒトラーが登場したのだろうか。なぜ、このような20世紀のモラルを全て否定するような指導者が生まれたのだろうか。私見を交えて、この男が歴史に登場した理由について考えてみよう。私はこれまで… 
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                         ドイツ軍の相次ぐ敗戦…ドイツ人は米英などの復讐心に気づいて覚悟した1943年に入ると、ドイツの戦闘能力は一気に落ちていった。理由はいくつかあるにせよ、スターリングラードでの敗戦によって、兵士の間で、そして兵士の家族も、これから「敵」陣営が本格的に反撃してくることを… 

 
                             
                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                     
                     
                     
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
                                 
         
         
         
         
         
         
        