『ゲット・バック』「♪ツッタカ」西川のりお的リズムが冴える心地よいグルーヴ
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アルバム『レット・イット・ビー』(1970年5月8日発売)⑦
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■『ゲット・バック』①
ビートルズ最後(発売が)のアルバムの最後の曲。にしては、このシンプルさは何だよ。
本連載、ここまでコードの話が多かった。しかし最後の最後で、このシンプルなコード進行はどうしたことか。基本「A」と「D」しか使っていないのだ。
演奏に覇気がなくなってきていた後期ビートルズにもかかわらず、ここでの演奏はとにかくグルーヴしているのもうれしい。
↓………ここから続き………
ちなみに、いわゆる「ルーフトップ・コンサート」での演奏シーンが思い出される曲だが、採用されているのは、アルバム版、シングル版ともスタジオ録音である。
グルーヴを決定付けているのが、リンゴのドラムスだ。難しいことなど何一つしていない。小宮勝昭『革新の天才ドラマー リンゴ・スター研究』(シンコーミュージック・エンタテイメント)掲載の楽譜によれば、スネアドラム(小太鼓)を左手で「ツッ」(8分音符)、右手で「タカ」(16分音符2つ)と叩き続けているだけ(リンゴは左利き)。
しかし、これによる「♪ツッタカ・ツッタカ・ツッタカ・ツッタカ」という西川のりお的リズムが、ポールによる、こちらもシンプルな単音ベースと絡み合って、何とも気持ちよく、全体をグルーヴさせているのである。
そして何といっても、ビリー・プレストンによるエレピの間奏だ。一歩間違ったら地味この上ない楽曲を、彼の跳ねるような指遣いが、どれだけ鮮やかに彩っていることか。
リードギターはジョージではなくジョン(リハーサル中、ジョージが離脱したことが影響している)。こちらは逆に、地味・素朴この上ないギターソロだが、その分、ビートルズ好きギター初心者が惹かれまくり、彼らによって弾かれまくることになる。
ジョンの功績はもっとある。アルバム『レット・イット・ビー』は、あちこちでジョンがいらんことを言っているが、この曲の前後のいらんことは冴えまくっている。
イントロの前にジョンが歌うのは、この曲の替え歌「♪いとしのロレッタ・ファート(=屁)は自分を掃除機だと思っていたけど、実はフライパンだったのさ」。何だそれ(笑)。
そして終わった後の一言は、バンドが解散に向かっているのにもかかわらず、こう言っているのだ。冴えてるなぁ──「これでオーディションに受かればいいな」。
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