『アクロス・ザ・ユニヴァース』「私の世界を…」意味不明なのに心揺さぶるジョンのメッセージ
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アルバム『レット・イット・ビー』(1970年5月8日発売)②
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■『アクロス・ザ・ユニヴァース』
あらゆる意味でアルバムの中で異彩を放っている曲だと言える。
まず、そもそも録音時期が早い。すでに書いた通り、このアルバムは、1969年1月のいわゆる「ゲット・バック・セッション」時の音源が中心となっているが、この曲の録音は、先立つこと約1年、68年の2月に行われている。
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変化の激しい当時のビートルズにとって、この1年はめちゃくちゃ大きい。68年2月といえば、まだ『ホワイト・アルバム』の録音前である。なので『ホワイト~』以降のジョン作品に特有の、あの脱力感のようなものが付着していない。
また、こちらもすでにお伝えしたように、アルバム『パスト・マスターズvol.2』収録の別バージョンが存在するという点でも異色だ。69年にリリースされたWWF(世界自然保護基金)のチャリティーアルバム『ノー・ワンズ・ゴナ・チェンジ・アワ・ワールド』(本曲の歌詞と呼応したタイトル)に寄せられた作品だったのだ。
その69年版と、アルバム『レット・イット・ビー』バージョン(70年版)を比べると、ぶっちゃけ、69年版の方がいいのである。
いちばんの違いは、70年版には、アルバムの仕上げを担当したフィル・スペクターが、甘ったるいオーケストラと女声コーラスを入れてしまい、69年版の素朴な感じが失われてしまったことだ。
さらにキーも、70年版の方が2度(半音2つ)ほど低い。なので、69年版に比べて、何となくダラッと締まりがない感じが漂ってしまう。
と、イチャモンをつけてしまったが、この曲は、やはり歌詞である。
「言葉が、まるで止まない雨のように、紙コップへとあふれ出している」から始まる歌詞世界は、正直、意味はよく分からないものの、単なるナンセンスではなく、ビジュアリー(視覚的)でイマジナティブ(想像的)ないい歌詞であることぐらいは十分に分かる。
そしてサビで繰り返される「何も、私の世界を変えられない」というメッセージは、いかにもジョン・レノン的でいいではないか。
ちなみに、突然出てくる「Jai Guru Deva」という謎フレーズは、サンスクリット語で「神聖なる導師(グル)に栄光あれ」ぐらいの意味。
以上、リリース順でいえばビートルズのラストアルバムにおいて、まだ脱力する前、68年初頭のジョンが爪痕を残す曲である。
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