「ここまで来られたのはアイツのおかげ」星野仙一監督の“情”が裏目に出た2003年日本シリーズ
2003年優勝 長嶋清幸(当時・外野守備走塁コーチ)
「さあ、明日から日本シリーズだ」という前日のこと。福岡のホテルで「全員集合」がかかった。招集したのは星野(仙一)監督だ。
「今年で辞めることになった。リーグ優勝したわけだし、おまえたちのことはちゃんとしてから辞める」
この日、スポーツ紙が1面で星野監督の勇退を大きく報じた。噂では聞いていたが、頂上決戦前日の辞意表明は衝撃だった。初戦はサヨナラ負けとはいえ、2試合連続黒星は、「今年で辞める」のひとことがチームの戦意に影響したことは否めないだろう。
阪神が3勝2敗で迎えた第6戦。先発に伊良部(シーズン27試合、13勝8敗、防御率3.85)を起用したことが、ファンの間でも物議をかもした。ダイエー打線が「左腕に弱い」というデータは出ていたし、コーチ陣は、中3日だが相手の嫌がるムーアの起用を訴えた。
「それはわかっているが、ここまで来られたのはアイツのおかげだ。投げさせたい」
監督がそこまで言うのなら、コーチも反対はできない。第2戦で4回途中KOの伊良部は、ここでも初回に井口(資仁=現ロッテ監督)に2ランを浴び、三回にも1点を失う。第2戦に続き、序盤でマウンドを降りた。この敗戦で流れが変わり、阪神は連敗。星野監督の情が裏目に出たシリーズだった。


















