「忘れたくて夜中3時まで飲んだ」阪神・福間納が翌日、西武・西岡に仕掛けた“ボール1個分”の雪辱
1985年日本一 福間納(当時・投手)
「1球が勝敗を分ける」
プロ野球界では、当たり前のようにいわれている言葉だ。
日本シリーズのような大舞台となれば、なおさらである。1985年の阪神対西武の日本シリーズは、まさにこの言葉が当てはまる試合内容だった。
阪神の2勝1敗で迎えた第4戦(甲子園)。福間さんは、1-2の八回無死満塁から登板、何とか後続を打ち取り、その裏、同点に追いついた。しかし、九回2死二塁の場面で左キラーで鳴らした西岡にフルカウントから投じたスライダーを左翼ラッキーゾーンに運ばれ、敗戦投手になった。
「ネアカな性格のオレも、あの本塁打はショックやった。その日はデーゲームやったけど、忘れたくて夜中の3時まで浴びるように酒を飲んだ。後から聞いたら西岡は1日2時間、ボクのビデオを見て研究していたそうだ。ウチは10月24日に公式戦が終わって中1日でシリーズに突入。西武はシリーズまで10日間ほど間があいた。一応、阪神もミーティングはやったけど、オレは西武の打者のビデオを見る時間もなかった。西岡は、スライダーを読んでいたと思う」
「完璧な内容だった」リベンジマッチ
西岡の一発で2勝2敗のタイ。流れは西武に傾きかけた。翌日の第5戦。福間さんは再び西岡との対決を迎える。四回、ピンチを招いた先発の池田に代わって登板。1死後、石毛を歩かせて満塁。西武の広岡監督は迷わず金森に代打・西岡を送った。
福間さんはこの西岡との4球を「完璧な内容だった」と言う。
「前の試合で内角のスライダーを打たれた。短期決戦では一度打たれたボールは投げづらい。だから外角勝負しかなかった。2球続けて外角の際どいコースに投げた。2ボール。西岡はピクリともバットを動かさない。3球目、今度は直球を少しストライクゾーンに入れたら、西岡は一塁側にファウルした。タイミングが合ってない。ここで西岡はストレートを待っていないと確信した。よし、西岡の狙い球を利用したろと思った」
4球目、外角にシュートを投じた。西岡が待ってましたとばかりにバットを出す。打球は遊撃・平田の前に転がり、併殺打。ピンチを脱した阪神はこの流れに乗り、5戦目を勝利。続く6戦目も快勝し、球団史上唯一の日本一を達成した。
「オレが投げたのはボールゾーンに逃げるシュート。西岡はシュートでもストライクゾーンで勝負してくると思ったんやろう。わずかボール1個分の差やった。この試合は勝ち投手にもなれた。1敗したけど1勝できた。阪神の歴史で日本一は1度しかない。そのシリーズで1勝できたことは、オレの誇りやね」


















