“鬼の東都”で29勝・仁村徹 頑固で負けず嫌いで、プライドが高かったエピソード
打者としての素質も一級品だった。大学時代から右打ちがうまく、右中間によく長打を放った。
自分のやるべき練習を、自分のペースで淡々とこなす。練習態度もケチのつけようのないキャプテンだった。
ただ、頑固で、負けず嫌い。プライドは高かった。
走者を出しても、進塁を許しても、点を取られなければいいと割り切れる。リーグ戦では、こんなことがあった。
試合の序盤、一塁に走者がいて、次打者は送りバント。確実に打者を殺し、アウトカウントを稼ぐべき状況で、捕手からは「ファースト!」という指示が出た。仁村はしかし、あえて二塁に投げて一塁走者を殺そうとして失敗、オールセーフになった。
イニングの合間、わたしは仁村を近くに呼んで「指示は一塁なのに、なぜ投げない?」と問いただした。すると平然とした表情で「間に合うと思ったので」と答えた。
わたしは改めて「ああいったケースでは確実に一塁で殺せ」と指示。本人も「ハイ!」と元気良く答えてマウンドに行ったのに、似たような状況になるとまたしても二塁に放って走者を殺そうとした。


















