“中高年のための”新作映画ナビ
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「トランボ」から学ぶ 逆境でサバイブして這い上がる方法
男の真価が問われるのは順境ではなく、逆境だ。大規模な思想弾圧「赤狩り」が行われた冷戦下の米国、「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の主人公ダルトン・トランボは議会での証言を拒んで投獄される。出所…
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老夫婦の最晩年を追った「あなた、その川を渡らないで」
いざ最期のお別れというとき、故人となった親類縁者の顔を見ないまま送る葬式が日本では増えているという。事故や病で壮絶な最期を遂げ、遺族が見せたくないと思ったのかも知れない。生前の面影を損わないようにと…
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ロックは覚悟だ! 「シング・ストリート 未来へのうた」
「だからもっと速く!」と尾崎は叫び、マドンナは「ユー・キャン・ダンス」と手招きしていた。それを聴いて、何をどうすればいいか分からないままグラウンドを走り、バイクを飛ばし、ヘッドホンの音量を上げた。今作…
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正しいか正しくないかの向こう側「疑惑のチャンピオン」
このところ、ふたりの作家がほぼ同じことを口にしている。真山仁は「正しさを疑え」と言い、高橋源一郎は「何でもそれが正しいかで考えるとロジカルになって、物事が単純化する。それだけでいいのか」と言った。 …
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門脇麦主演「二重生活」が描く 禁断のアノ蜜を舐める快感
「世の中狭くなって、つまらん」という中高年の声がある。言論統制とまではいかないまでも、正論や自主規制がはびこり、頭の中まで検閲されているような世知辛さだ。この壁をぶち破りたい。 映画「二重生活…
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シリアの悲惨な現実を知り デタラメ首相&政権に怒り新た
キュンキュンと銃弾が飛び交い、叫び声の轟く市街戦の映像を見て、映画「ブラックホーク・ダウン」を思い出した。ソマリア内戦を米兵の目線でリアルに描いた大作だが、こちらの映画「シリア・モナムール」は本物、…
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笑った後に背筋が凍る問題作「帰ってきたヒトラー」
「笑いがトゲとなって喉に突き刺さる」とパンフレットにあるが、その通りだ。喉に突き刺さったトゲが「おまえの了見はどうなんだ」と問い詰めてくる。リトマス試験紙のように、こちらの本性を浮き彫りにしてしまうと…
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ウディ・アレンが描く つまらない毎日を変える危険な習慣
日々の暮らしのなかで、「つまらない」と感じることが多く、その頻度が「増えている」とアンケートに答えた中年男が7割超もいるらしい。だからだろうか、新たな習慣を身につけたりして、前向きに生きようという啓…
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最先端AIの美女と…映画「エクス・マキナ」は近未来図か
われわれ人間と同等か、それ以上の知能を持つロボットが登場している。そんな人工知能(AI)の最前線から、もう目前の新世界を考えるNHKスペシャルのタイトルは「天使か悪魔か」だったが、同じテーマの本作で…
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台湾映画「若葉のころ」で“小さな恋のメロディ”と再会
「曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きていた。そこには芸術も宗教もあった。いまわれらにはただ労働が、生存があるばかりである」 宮沢賢治は著書「農民芸術概論綱要」のなかで、そう記述…
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映画「或る終焉」が淡々と描く 終末期の人生の奥の奥
これまでの人生を振り返ると、特に幸福ではなかったけれど、不幸だったとも思えない。最も不幸なときでも、それを捨ててしまうことは、楽しかったときを捨てるよりも、つらく思えるのだから。もう幸不幸を言うのを…
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アイスランドの“オタク中年童貞”が希望なき恋に踏み出す
若い男の草食系が年を取れば、ますます増えていくであろう中年童貞。ちょっと奥手だったり、いくつかの失敗を引きずり、結果として、そうなっているのかも知れないが、30代で独身男の4人に1人が童貞で、女も似…
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ハロルドが教える 艱難辛苦の人生に死ぬまで立ち向かう意味
幸せな老後なんて、ない。それまでの功績や努力、計画なんて、あっという間に飛んでしまうのが実人生だ。誰かの故意というのなら、まだうなずけるかもしれない。そうではなく、病気に時世、社会とかといった、もっ…
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映画「孤独のススメ」が考えさせる定年という“生前葬”
内館牧子の新著「終わった人」は定年を迎えるサラリーマンが主人公で、こんなせりふを口にする。 「定年って生前葬だな」 老後を生き抜くのに3000万円もの資産が必要との説のあるご時世。定年…
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ディカプリオを通して“究極の逆境”を疑似体験する臨場感
レオナルド・ディカプリオがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。系統でいえば、「ゼロ・グラビティ」「オール・イズ・ロスト~最後の手紙~」「オデッセイ」と同じ、置き去りにされてしまった者の話である。 …