仕掛けられた罠にはまってみる最新ミステリー本特集(1)右手の指が切断された死体が
「ミルテの指」丸木文華著
裏切りは不快だが、裏切られてうれしいのがミステリー。読者を惑わす作者の奸計にはまってもがいている時間こそが、ファンにとっては至福の時間なのだ。
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「ミルテの指」丸木文華著
大正の夏、私立探偵の神崎千秋は、画家の矢田清吾の那須の別荘を訪れた。
半年前、このきらびやかな矢田御殿で美術評論家の黒川百合子が殺された。彼女は頭を殴打され、全身をめった刺しにされ、さらに右手の指5本を切断されていた。凶器のナイフは発見されなかった。百合子は伯爵家の生まれで、清吾の恋人だった。あの日は招かれていなかったのに、突然、やって来たのだ。
翌日、清吾が、別れた妻と彼女の前夫との間に生まれた娘の美代子を描いたキャンバスの裏に、「すべて僕の罪だ」と書き残して死んだ。警察は清吾が百合子を殺したと断定した。
事件はそれで終わったはずなのに、清吾の弟子の門馬藤乃が、納得がいかないと千秋に再調査を依頼した。華やかな世界に蠢く欲望と愛憎を描く。 (KADOKAWA 2310円)



















