『レディ・マドンナ』イメージとは程遠いリバプール版「おそうじオバチャン」
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アルバム『パスト・マスターズvol.2』(1988年3月7日発売)⑨
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■『レディ・マドンナ』
今となっては、前々回の『恋を抱きしめよう』(65年)、前回の『ペイパーバック・ライター』(66年)より人気曲という感じだ。
しかし、この2曲のシングルがアメリカのビルボードで1位となったのに対して『レディ・マドンナ』は最高4位どまり。
発売が1968年3月で『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(67年5月)、『マジカル・ミステリー・ツアー』(67年11月)に続くタイミング。
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前年の「大サイケデリック祭り」の後に繰り出された、いかにもポールらしいオールドスタイルのロックンロールに、ファンはがっくりきたのではないか。言い換えれば同年11月発売の『ホワイト・アルバム』の音像を先取りしているとも言えるが。
「マドンナ」と言えば、日本では、寅さんの相手役のべっぴんさんというイメージだが(個人的には81年「浪花の恋の寅次郎」の松坂慶子推し)、歌詞は、リバプールのあまり豊かではない働き者の母親の姿を歌っている。
「木曜の夜はストッキングも穴だらけ」と色気ゼロ。『愛の水中花』(79年)の世界から程遠い。むしろ憂歌団『おそうじオバチャン』(75年)のビートルズ版だ。
余談だが、ビートルズの曲名は有名なので、よく番組名などでパロディーにされる。
かつて大阪MBSラジオに、野村啓司アナが出演する『ノムラでノムラだ』という番組があったが(元ネタはもちろん『オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ』)、同じくMBS『岩本勉のレディオ・マイドナ』の元ネタがこの曲なのだ。「マドンナ」と「毎度な」……無理やりやなぁ!
■『ジ・インナー・ライト』
驚くなかれ、『レディ・マドンナ』のB面ながら、ジョージの曲のシングル初収録作品である。さぁ傑作『サムシング』(69年)まであと1年。
一聴して分かるように、インド音楽からの影響をもろに受けた曲。
しかし歌詞は老子の『道徳経』から来ているというから、インド+中国の完全なる東洋思想ロックである。
よく分からないタイトルも『道徳経』の英訳本にあったフレーズらしい。
「扉から出なくても、地球に何が起きているか、私には分かる」という哲学的な歌詞は、穴だらけのストッキングをはいたオバチャンの歌の対極、「レディオ・マイドナ」の対極だ。
ただメロディーが肯定的に感じる分、『ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー』(67年)あたりよりも私は好きだ。
そして『サムシング』『ヒア・カムズ・ザ・サン』(69年)、メロディーメーカー・ジョージの時代がやって来る。
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