例年にない早さと患者数の多さ 全国で猛威をふるうインフルエンザに立ち向かう!
これからの時期は接触型感染症に要注意
今年も秋を迎え、インフルエンザがはやる季節になって来た。と言いたいところだが、どうやら今年はいささか様相が異なっているらしい。
すでに全国各地でインフルエンザが猛威をふるい、多くの患者が出ているのだ。そこで、どうしてそんなに早くから流行しているのか、かからないためにはどうしたらいいのかを探ってみた。
患者数は例年の10倍
厚生労働省が9月29日に発表した9月14日~20日のインフルエンザ発生状況によると、この1週間における定点医療機関からの報告数は前週から約1.5倍増の3万1428人、定点当たりの報告数は8.48となっている。
今シーズンは昨シーズンよりも1カ月以上も早く流行入りし、8月に今シーズンのインフルエンザ発生状況の発表をスタートして以降、報告数は急激に増加。昨年同時期の定点医療機関からの報告数と比べてみると今回の発表ですでに約10倍になっているというから驚きだ。
だが、実態はそんなものではないらしい。日頃、医療の最前線で患者と向き合っている、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長は言う。
「今年は異常ですね。例年ですとこの時期なら患者さんはせいぜい1日1人か2人なのですが、感覚的に言えば今年は10倍どころではなく20倍30倍という感じですから。これまでインフルエンザにかかったことがない人が罹患(りかん)するケースも目立ち、とにかく患者さんが多いですね」
■天候不順が流行を早めた!?
インフルエンザと言うと、寒くなってから流行するというイメージが強い。しかし、今年はこれだけ早くから流行している。それは、春から夏にかけて雨が多く、湿度と気温の高い日が続いた天候が大きく影響しているのではないかと伊藤院長は推察している。
「今年は春先から暑くて天候が不順でしたので、ほとんどのご家庭では早くからエアコンを利用して室内で過ごすことが多かったと思います。インフルエンザウイルスにとってはまさに最適な環境、生き延びやすい環境になったんですね。そこに子どもたちが学校からウイルスを運んできて、大人たちへと感染が蔓延していったのではないか、私はそう考えています。さらに、大人の場合は通勤電車や職場など、人と接触する機会が多く、感染が広がるきっかけは身近に潜んでいるのです」
■人と人の接触が感染を拡大
猛暑の夏が終わり秋となった今は人が集まるイベントが増え、観光で人の移動が盛んになる時期。さらに、日本にやって来る外国人観光客が1年中で最も多いシーズンでもある。こうなると懸念されるのが人と人の接触機会が増えることによって生まれる、いわゆる「接触型感染症」としてのインフルエンザの拡大だ。
インフルエンザは飛沫感染や接触感染などによって広がるため、今後、人の移動が活発になることで、現在の流行が収束しないまま長期化したり、いったん落ち着いても再び感染が拡大し、二度目のピークを迎えたりする可能性も否定できない。
「これから先、涼しくなって空気が乾燥してくるとインフルエンザが猛威をふるう本来の時期になります。今年はすでに早い段階から感染が広がっているため、一度流行のピークを越えても油断はできません。冬だけでなく年間を通じて感染対策を意識することが大切です」(伊藤院長)
きちんとした生活習慣がインフルエンザを遠ざける
最後に、インフルエンザへの対応をいかにすべきか伊藤院長に聞いた。
弘前大学が20歳以上の住民約1000人を対象に毎年実施している地域健康調査「岩木健康増進プロジェクト健診」では、インフルエンザにかかりやすい人として①血糖が高め②肺炎の既往あり③多忙・睡眠不足④栄養不良⑤アレルギーありの5タイプが挙げられている。これを踏まえ、伊藤院長は日頃から生活習慣を整えることの重要性を指摘する。
まず意識したいのが、毎日の食事や睡眠だ。
伊藤院長によると、全身の免疫力をコントロールしている腸内環境を整えることも大切で、「納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、食物繊維を毎日意識的に食べること。不足しがちなタンパク質は、免疫細胞や抗体の材料になるなど、免疫の土台づくりにも役立つので、手軽に摂りやすい牛乳やヨーグルトはそういった面でもよいでしょう。また、入浴で体を温めることも大切です」
さらに、見落としがちなのが口腔ケアだという。「うがいや手洗い、アルコールでの消毒などはこまめにやる人は多いですが、意外と見過ごされがちなのが口腔内のケア。これを怠ると口腔内に歯周病菌や虫歯菌が増えてインフルエンザウイルスの侵入を防ぎにくくなってしまうので、朝晩の歯磨きをしっかりやることはもちろん、うがいをして口腔内の雑菌を減らすことが大事です」
「インフルエンザは生活習慣が整っていないところに人と触れ合う機会が重なるとより感染が広まったり、人によっては何回も感染することになってしまうのです」
生活をしていく上で人との接触を完全に避けることは難しい。それだけに毎日の生活習慣をきちんとすることを心がけたいものである。


















