(51)江戸期創業の旅籠にて
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居酒屋でタンとカシラを塩で焼いてもらい、喉を鳴らして生ビールを飲んだ。50代の半ばになっていたが、毎夜深酒をしていた私にとって月に一度の街道歩きは、気分は晴れるもののかなり疲れる仕事だった。足は痛み、喉は渇く。一区間ごとに東京へ帰り、また翌月に前回歩き終えた地点から再開することを繰り返していたのだが、幸手では、疲れ果てて宿をとった。
旅館あさよろず。創業は文政2年。西暦で言うと1819年。徳川11代将軍の家斉の時代とのこと。江戸時代の風情を残すわけではないが、3階建てのきれいな宿で、部屋へ入ると、嬉しいことに畳の部屋だった。ポケットウイスキーとカップ入りの氷をコンビニで買ってあった。畳に敷いた布団に寝転びながら、カップにウイスキーを注ぎ、ちびちび飲んだ。携行していた文庫本はたしか、イギリスのフロスト警部のシリーズだったと思うが、1日歩いた後だからいくらも読めず、子供のようにあっけなく眠った。
朝7時半に朝食会場に行くと、同宿の人々は早くに食事を済ませたらしい。私はひとりで、お櫃の飯をよそい、ハム、海苔、納豆、カニカマ、漬物をおかずに飯を2杯食べた。ワカメと豆腐の味噌汁もたいそううまかった。
こういう朝飯が、好きなのだ。
















