人工肛門を拒否した末期がん患者が選んだ自分らしい生き方
「人間の尊厳を失う」と言って、人工肛門を拒否した70代の男性の患者さんがいました。すい臓がん末期で、S状結腸が狭窄している状態でした。もちろん人工肛門にしたからといって、人間の尊厳が失われるわけではありません。
医療は目覚ましく進歩し、人工物を体につなぐことで、本来の身体機能を補うことは珍しくなくなりました。こうした処置を受けながら、自宅で在宅医療を続けることも可能です。
ただし、そうした処置を行うには、患者さんやご家族が内容を理解し、納得していることが大切です。そのため、冒頭の患者さんのように「人間の尊厳を失う」と考えたり、「そこまで大がかりなことはしたくない」とためらったりする方も少なくありません。
この患者さんは、すい臓がんの手術後、転移が見つかりました。受けていた化学療法は途中で継続困難に。そこで、がんに対する積極的な治療は行わず、緩和ケアを中心に、患者さん自身のQOL(生活の質)の維持を優先する方針となりました。
そして最終的に、患者さんは人工肛門ではなく、筒状の金網でできたステントを腸の内側に留置し、狭くなった部分を内側から支える方法を選択されました。


















