介護
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(28)実家に残された高齢猫4匹は東京へ連れて帰ることに決めた
だんだん私自身が精神的な疲れを感じるようになっていた中、もうひとつ急いで解決しなければならないことがあった。父がいなくなった無人の実家で、4匹の猫たちが生き延びていたのだ。 父の推定死亡日から発見されるまで約1週間。えさは食...
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親のおむつを選ぶうえで知っておくべきこと…親の気持ちを理解する
高齢の親から「パンツを買ってきてくれ」と頼まれたら、あなたは何を確認するだろう。サイズと好みの形、あとは色柄あたり? とりあえずはければいいよね的な感覚で選ぶことだろう。 では、おむつだったらどうするか。実はこれがとてつもな...
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自宅近くはタクシー利用が困難…配車アプリも使いこなせない
在宅医療を始めるきっかけはさまざまですが、次のようなケースが一般的です。入院中の方であれば、病院の退院支援・相談窓口を通じて、あるいは診療所の医師や看護師からの紹介を受ける。一方、自宅で介護サービスを受けている方であれば、担当のケア...
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(27)介護、家の管理、相次ぐ出資…すべてが私一人の肩に
年が明けてすぐ、実家で父がひっそりと亡くなっているのが見つかった。まさかの出来事だった。私は仕事の手を止めて東京から急ぎ実家に向かい、喪主を務めなければならなくなった。自分の生活がすべて止まった。 母の主治医から、当面父の死...
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精神・高次脳機能障害の治療に言語聴覚士の介入が重要なのはなぜか
高次脳機能障害や精神障害の治療には、言語聴覚士(ST)による介入がとても重要です。心のケア、つまりコミュニケーションによる寄り添いが大切であるためです。 そこで、われわれは「アフォーダンスの理論」を使います。米国の心理学者ジェームズ...
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親のパンツがおむつになる覚悟…大人のおむつについて真剣に考える
人間は生まれて3~4年は排泄を自分でコントロールすることが難しく、おむつのお世話になる。小も大もそのまま出し、汚れれば誰かがきれいに拭いて新しいものに交換する。その誰かとはもちろん親だろう。 初産だと尿や便には戸惑いがあった...
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在宅医療も外国出身の患者が増加…言葉の壁をどう乗り越えるか
近年、在宅医療の現場でも外国出身の患者さんが増えてきました。特に当院では、中国残留孤児やそのご家族が比較的多くいらっしゃいます。戦後80年を迎えた現在では、そうした方々のコミュニティーが存在しており、日本語と中国語の両方を話せる中国...
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(26)意地を張らず、父ともっときちんと話をしていれば
要介護度の通知が届いたら年末年始に帰省し、母が実家に戻って今後必要なケアが受けられるよう準備を進めたいと考えていたが、病院の手続きが遅れ、年内に通知は届かなかった。そして新年。何度電話をしても父が出ないことに不安を覚え、叔母に実家を...
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ホームヘルパーさんにやってもらえること、無理なこと
親が高齢になるほど、その日常生活を気にかける機会が増える。買い物や料理、入浴、掃除など安全にできているのか。何かあった時にサポートしてくれる人はいるのか。 そんな心配を解決するひとつの方法が訪問介護員(ホームヘルパー)の利用...
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80歳女性は胃ろうを経て、初めてとんかつを2切れ食べられた!
在宅医療を始められた患者さんの中には、「食べること」に強いこだわりを持つ方がいらっしゃいます。 今回ご紹介するのは、くも膜下出血の手術と入院を経て、現在はご自宅で療養されている80歳の女性です。息子さんご夫婦と同居されており...
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(25)父はひとりで死んでいた…つながらない電話に胸騒ぎ
その年は寒い冬だった。コロナ禍ではあったが、私は母の要介護度の通知が届いたら、年末年始に帰省して母が実家に戻ってくる算段をつけようと考えていた。その準備を始めれば、何カ月経っても母が退院してこないことに苛立ち、怒ってばかりいる父も納...
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事故が心配…高齢な親の運転技術を安価に見極める方法
高齢ドライバーによる事故が大きく取り上げられるたび、親がいつまで車の運転を続けるのか不安を感じている人は多いはず。静かな田舎でのんびり運転しているとしても、うっかりミスで歩道や反対車線に入ったり、ブレーキとアクセルの踏み間違いで暴走...
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訪問診療という「外部の目」がフレイルを食い止める
在宅医療を受けている高齢の患者さんの中には、大きな病気を患っているわけでもなく、それほど介護が必要なわけでもないものの、どこかしら弱っている、いわゆる「フレイル(虚弱)」状態の方がいます。 フレイルは大きく次の3つに分けられ...
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(24)言い合いになるのが嫌で父への連絡は必要最小限となっていた
いずれ訪れる母の退院に備えて、地域包括支援センターとのやりとりが続いていた。最良の選択肢として看護小規模多機能型居宅介護(看多機)という制度を教えてもらい、実家の近くにその施設があることも知った。 介護度によって利用できるサ...
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「高齢者の運転」どこまで許容する? 同乗して確かめる機会を持つ
東京や大阪などの都心に暮らしている限り、交通インフラで困ることはない。どこに行くにも豊富な選択肢があり、公共交通だけで十分に生活が成り立つ。それは都道府県別の自家用乗用車世帯当たり普及台数を見ても明らかで、全国平均が1.016なのに...
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「処遇改善より選ばれる介護事業者に」…財務省の議論に批判殺到 岸田政権の最優先課題「介護職の賃上げ」はどうなった?
日本の将来の医療や介護、障害福祉、生活保護の在り方などについて審議した財務省の「財政制度等審議会(財政審)」の議論に対し、ネットで批判や悲観的な投稿が拡散している。 財政審の財政制度分科会は23日に「持続可能な社会保障制度の...
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薬の飲み忘れが多かった70代男性…訪問看護師の提案で改善
在宅医療のサポート内容は、患者さんの病気の種類はもちろん、その進行度によっても異なります。具体的には、食事・排泄・移動といった基本的な「日常生活動作」(ADL)、バスや電車での外出、掃除や洗濯、料理、電話応対、さらには金銭管理や服薬...
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(23)何もできなくなった母…どうすれば自宅に戻せるのか
母の介護認定をめぐって、私は地域包括支援センターと何度も連絡を取り合っていた。入院中の母は、薬の調整が進んで精神状態が安定しつつあり、病院側からはそろそろ退院を考えてほしいと伝えられていた。しかし、認定の結果が出るまでは、次の一手を...
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「作業療法士」はリハビリ治療でどんな役割を担っているのか
回復期リハビリ病院で、実際にリハビリ治療を実施するのは医師ではありません。医師はチームを“治療成功”という勝利に導く監督です。直接患者さんとリハビリ訓練を進めていくのは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)など...
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春から始めたい実家の熱中症対策(1)長年使っていない冷房は動作確認を
気象庁の予報によると、今年の夏も全国各地で高い気温になる確率が高いという。「観測史上1位」「これまでに経験したことのない〇〇」など毎年のように異常気象が叫ばれる昨今では、ある程度覚悟を持ってこのニュースを受け止めた人が多いはず。 ...
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他人が家に入るのは嫌…90歳女性に強い抵抗を示されてから4年
地域の病院の先生から、「緊急で診てほしい」とご紹介いただいた患者さんがいらっしゃいました。90歳の女性で、腰椎圧迫骨折の疑いがあり、小学校の先生をしている娘さんと2人で暮らしていました。 娘さんが日中、仕事に出ている間は、ご...
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(22)今後どれくらいの費用が必要になるのか、見当もつかなかった
母が認知症専門医院の閉鎖病棟に移ってからしばらく経った。どう過ごしているのかまったく知る術もなかった。私は地域包括支援センターと連絡を取りながら、介護申請の準備を進めた。ケースワーカーからは、薬の調整も進み精神状態が落ち着いてきたこ...
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最善の介護にはリハビリ治療と認知症治療が一緒にできる環境が必要なのはなぜか
「介護の分野は患者さんに対してどうやってあげればいいかよくわからないんだよ。薬や診察で良くならないので困るよ。どうしてあげたらいいのかね」 かかりつけ医のお医者さんから、こんな相談があります。 また、リハビリテーション...
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どうせなら「公正証書遺言」…事前準備はメールでも進められる
筆者はこれまで何度か自筆の遺言書を目にする機会があった。いずれも書いた本人から「実は……」と内緒で見せてもらったのだ。書いてある内容は「赤の他人に全財産を」とか「次男だけに相続させる」などややこしいものはなく、財産を仲良く分けて欲し...
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特別訪問看護指示書で頻回の訪問…自宅での生活を徹底的にサポート
頭蓋内に脳脊髄液が貯留し、頭蓋内圧が高くなる「水頭症」を患う99歳の女性は、1人暮らしのご自宅で突然意識を失い入院。入院が長引くうちに筋力が落ち、ひどい床ずれ(褥瘡)ができてしまいました。ADL(日常生活動作)も著しく低下し、見かね...
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(21)入院から3カ月…ようやく“会えた”母は表情を失っていた
母が認知症専門医院に入院してから、携帯電話はナースステーションで預かる形になっていた。電話をしても、看護師が気がついてくれなければつながらず、母と直接話すことはほとんどできなかった。 母の入院生活は、身近な人とほとんど接触す...
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「遺言書」は親から子へのメッセージ…種類は3つある
ドラマや映画で相続絡みのシーンによく登場するアイテムといえば遺言書だ。莫大な財産を巡り醜い争いが繰り広げられる中、大どんでん返しが起こるきっかけになるのがお約束だが、一般家庭では遺言者(作成者)の素直な気持ちを表す手紙的な意味合いが...
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病院からの引き継ぎなく、いきなり自宅療養が始まった50代女性は…
自宅療養を始める患者さんの事情はさまざまです。たとえば病院から余命を宣告され、家族と残された時間を過ごすために自宅へ戻る方、地域包括支援センターや自治体に相談し自宅療養を選択する方らがいます。 どのような患者さんであっても、...
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性格が合うケアマネジャーを選ぶためのポイント
介護の話になると必ず登場するケアマネジャー(介護支援専門員)という存在。介護認定で要支援や要介護になった人たちが必要なサービスを受けられるよう、ケアプランの作成や行政・サービス事業者との連絡調整を行う専門職だ。 つまり、介護...
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認知症で舌がん…対話困難な患者とどう信頼関係を構築していくか
在宅医療では対話が重要ですが、中には会話がうまく成り立たない患者さんもいます。 その理由はさまざまです。病気によって発話機能が損なわれ、一般的な会話が難しくなることもあれば、患者さんの性格による場合もあります。特に高齢になる...