介護
-

食べる喜びを失った時、高齢者の生活は大きく変わる
在宅で療養を始めた患者さんに、「良かったことは何ですか」とお聞きすると、「好きな時に好きなものを食べられること」と答える方が少なくありません。食事は、単なる栄養補給ではありません。心身の健康を保つうえで欠かせない大切な営みです。 ...
-

(23)やっと帰ってこれたよ…3カ月半ぶりに自宅に戻った母の呟き
およそ3カ月半ぶりの外出になるおかんは出発時に硬い表情があったものの、お気に入りのパン屋で買い物をするとニコニコ顔に変わっていた。車の中に甘いパンの香りが充満する中、つまみ食いまで始めた。 「あーおいしい。病院のご飯とは大違い...
-

「子育てとばして介護かよ」著者の介護ライターが語る《仕事をやめない、別居嫁介護の極意》
シニア世代になると健康はもちろん、介護のことも気になっていく。特に自分や配偶者が認知症になった場合は、不安がいっそう募るものだ。だが、介護する側の子供世代もさまざまな苦労が待っている。そこで介護における数々の問題をコミカルに描いた「...
-

“医者嫌い”の80代独居男性を救った「生活の立て直し」
季節の変わり目に体調を崩す人は少なくありません。特に免疫力が低下しやすい高齢者では、その傾向がより顕著です。当院にも、「急に動けなくなったので訪問診療に来てほしい」という相談が、季節の変わり目になると寄せられます。 80代で...
-

(22)「先は長くないから好きにさせて」…返す言葉がなかった
「家に帰りたい。長い間留守にしているので心配で心配で」 予想通り、おかんの心の中は家のことでいっぱいだった。 さすがにこれを拒否することはできない。けれど、連れて行ったら「病院に戻らない」と言い出すかもしれない。ショー...
-

「最期は自宅で」を支える仕組みとは…医療保険と介護保険
在宅医療とは、「通院が難しい方を対象に、医師が原則月2回、自宅や施設を訪問して診療を行う医療サービス」のこと。 利用者やそのご家族に「一番良かったことは?」とお聞きすると、多くの方が「柔軟に対応してもらえる点」を挙げます。具...
-

(21)「どうせ死ぬんだから」…もやもやしつつ、やんわり諭すと…
回復期リハビリテーション病棟での生活が1カ月ほど過ぎた。連日のリハビリのおかげでおかんの体力は徐々に戻ってきている。本人もそれは自覚しているようで、面会に行くたび自宅がどのような状態なのか、大切に育ててきた庭の草花を気に掛ける発言が...
-

(20)「自宅に戻るのは厳しい」という医師の言葉に落ち込んだ
回復期リハビリテーション病棟入院から17日目。おかんの回復状態や今後の見通しを聞く日がやってきた。正直なところ、あまりよい話にならないだろうと予想しつつ面談室に入ると、入院前の時と同様、担当の整形外科医と看護師が大量の資料を揃えて待...
-

身寄りのない高齢者をどう支えるか…正解はひとつではない
身寄りがなく1人暮らしをしている高齢者でも、自宅で療養生活を送ることは可能だとこれまで幾度となくお伝えしてきました。今後はそのような方がさらに増え、状況もより多様化していくと感じています。 同じ独居高齢者でも、経済状況、近く...
-

(19)しっかりしている部分とそうでない部分が混在し…
「夜中に突然看護師さんが来たの。ものすごくビックリして眠れなかった」 おかんが声を潜めて話し出した内容は、病棟では当たり前に行われている「夜間巡回」のことだった。それって普通でしょ。前の病院でも同じことしていたでしょ。そう問い...
-

身寄りのない独居高齢者を支える「成年後見制度」という選択肢
身寄りがなく、持ち家で1人暮らしをしていた80歳の男性患者さんのお宅に、私たちのクリニックが訪問することになりました。 きっかけは、自宅で糞尿まみれになり、動けなくなっているところを、地域の方に発見されたことでした。本人は「...
-

(18)母親のパンツ選びは還暦を過ぎた息子じゃ無理
回復期リハビリテーション病棟におかんを入院させて数日後、病院から電話がかかってきた。嫌な予感がしつつ出ると、「お母さまの下着類が少ないようです。近いうちに持ってきていただけませんか」。 なんだ、そんなことか。二つ返事でOKし...
-

痛みと抑うつの中で80歳女性が見つけた「もう一度歩く」目標
左乳房のがんで全摘手術を受け、術後の痛みで歩行困難となった80歳の女性患者さんがいました。うつ病も発症し、内科と精神科の併診という形で当院が関わることになりました。 それまで通っていた街のクリニックには引き続き通院していまし...
-

(17)やっぱりそうなのか…寂しい気持ちで病院を後にした
腰椎圧迫骨折治療のための入院から34日目(発症から50日目)、おかんを回復期リハビリテーション病棟を備えるB病院に転院させる日がやってきた。当日は兄と共に迎えに行き、車で連れて行った。 「早く良くなるためのリハビリをするところ...
-

(16)かたや面談で2160円、かたや無料…行って納得の病院の値段の差
入院14日目。おかんの腰椎圧迫骨折発症から30日が経過したところで「B病院、C病院共に受け入れ可能」と連絡が入った。回復期リハビリ病棟への転院の件だ。どちらも担当スタッフと患者家族が今後の方針などを確認しあう「面談」に来るよう求めら...
-

(15)骨粗しょう症だなんて聞いてないよ! もっと早くわかっていれば…
おかんの入院付き添いは近隣に住む兄に任せ、当日昼には「完了した」との連絡が入った。その中に気になる報告が2つ含まれていた。1つは入院前日の早朝5時ごろ「足が痛い」とおかんが兄に電話していたこと。しかし昼にショートステイに行き尋ねると...
-

最期の時間を支える「選択」と「納得」…在宅医療の基本
最期の時が近づいている、乳がん末期の88歳の女性の患者さんがいらっしゃいました。同居する息子さんが24時間付き添ってこられましたが、より手厚い介護を受けるため、私たちのサービスを受けつつ、ご家族も一緒に過ごせるホスピス施設へ移ること...
-

(14)母が口にした…まさか、まさかのタンス預金
2日後から入院することが決まったおかんが、ひと呼吸おいて話しだした内容は驚くべきものだった。 「家に通帳やお金が置いてあるの。留守にしているとそれが心配で」 「それだったら俺と兄貴で預かっておくよ。どこに置いてあるの」 ...
-

末期がんの88歳女性は突然の昏睡から回復…限られた時間を家族とともに
在宅医療を開始する患者さんの中には、がんを患っている方が少なくありません。その進行の程度もさまざまです。一般的に、がんの進行度を示す指標として「ステージ」が用いられます。 その代表的な判定基準が、「T(原発がんの大きさと浸潤...
-

(13)腰椎圧迫骨折治療のコルセット作りは、思いのほか大変
MRI検査でおかんの腰椎圧迫骨折が確定した日、担当医が提案したのはコルセットの装着だった。治療法としてポピュラーなものらしく、後日しっかり採寸した後、義肢装具士に作ってもらう必要があるという。 そのため5日後に再び予約を取っ...
-

(12)初めての要介護認定調査とMRI…昭和1ケタ女は強かった
回復期リハビリテーション病棟の候補を決めた翌朝は、ショートステイの居室で介護認定の訪問調査が行われた。入居初日に激しい抵抗があったことが頭から離れない息子としては、おかんが調査員に敵意を持たないか心配で仕方ない。 「何とか無事...
-

(1)亡き夫が気持ちよく眠っているようで…
大切な人を亡くした直後、多くの人が強い心身の不調を経験する。眠れない、食欲が落ちる、動悸がする、涙が止まらない──。医療の現場では「急性悲嘆反応」と呼ばれることもある。深い喪失は、それほどまでに心身に影響を及ぼす。 「あのとき...
-

(5)外国人であれ日本人であれ、「労働力」として評価される制度や経営が必要
先月、フジテレビ系列のドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」で、介護職の低い給料が理由で結婚できないという男性(久保さん=仮名)の婚活が紹介された。結婚相談所に登録し複数の女性を紹介されるが、久保さんはどの女性からも振られてし...
-

(4)人手不足でサービス停止続出 “裸一貫”のアジア系人材で穴埋め
地方の人手不足もいよいよ極まってきた。東海地方の某市ではサービスを停止する介護施設が続出している。 介護施設Aはショートステイを廃止した。立派な建物をつくったものの、介護人材が不足し、結局のところ採算が合わなくなってしまった...
-

最期まで自宅で過ごしたい…息子2人が支える老夫婦の覚悟
在宅医療を始めた患者さんのご家族の中には、生活を大きく変化させることを決断する方が少なくありません。 「できる限り自分たちで支えたい」という思いから、転職を決意したり、同居を始めたり、患者さんを近くに呼び寄せたり、あるいはご家...
-

在宅医療を進めるうえで大切にしたい「家族と共に支える覚悟」
患者さん本人の希望を尊重し、その人らしい生活を続けていただきたい──。これは、在宅医療に携わるうえで、私たちが常に大切にしている思いです。 もっとも、その「希望」は、患者さんやご家族の療養に対する考え方や生活スタイルによって...
-

(8)大丈夫と思い込んでいる親を説得するのは、専門家でも難しい
やっとの思いでおかんをショートステイに入居させた日の夜、旧知の管理栄養士から誘われていた「サルコペニア・フレイル」の勉強会に参加した。講師はこの分野では有名な先生で、以前から話を聞いてみたいと思っていたのだ。 ちなみにサルコ...
-

肝硬変と肝細胞がんで予後数カ月…残された時間は家族と自宅で
肝硬変末期の70代の男性患者さんがいました。肝細胞がんも併発しており、私たちが在宅医療として関わり始めた時点で、既に予後は数カ月と判断されていました。残された時間を家族とともに自宅で過ごしたい──。その思いから在宅医療を選択されたの...
-

(7)泣きながら抵抗を続け、罵声を浴びせかけられ…息子はへこんだ
「家に帰して。ここには絶対いたくない!」 ショートステイ初日。手続きを終え部屋に案内された途端、おかんは涙をボロボロ流しながら叫んだ。 嫌な予感は的中だった。ここまで強い拒絶になるとは思っていなかった。どう対処すべきか...
-

(6)肩を震わせ、しゃくりあげるように泣き出した
ショートステイに連れていく日の朝。支度を進めていると、 「……行きたくないよ」 おかんがボソッと呟いた。聞こえないフリをしていると、今度は「行かなきゃいけないの?」ときた。いや、あのね。圧迫骨折の疑いが濃厚でまともに歩...
