介護
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身寄りのない独居高齢者を支える「成年後見制度」という選択肢
身寄りがなく、持ち家で1人暮らしをしていた80歳の男性患者さんのお宅に、私たちのクリニックが訪問することになりました。 きっかけは、自宅で糞尿まみれになり、動けなくなっているところを、地域の方に発見されたことでした。本人は「...
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(18)母親のパンツ選びは還暦を過ぎた息子じゃ無理
回復期リハビリテーション病棟におかんを入院させて数日後、病院から電話がかかってきた。嫌な予感がしつつ出ると、「お母さまの下着類が少ないようです。近いうちに持ってきていただけませんか」。 なんだ、そんなことか。二つ返事でOKし...
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痛みと抑うつの中で80歳女性が見つけた「もう一度歩く」目標
左乳房のがんで全摘手術を受け、術後の痛みで歩行困難となった80歳の女性患者さんがいました。うつ病も発症し、内科と精神科の併診という形で当院が関わることになりました。 それまで通っていた街のクリニックには引き続き通院していまし...
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(17)やっぱりそうなのか…寂しい気持ちで病院を後にした
腰椎圧迫骨折治療のための入院から34日目(発症から50日目)、おかんを回復期リハビリテーション病棟を備えるB病院に転院させる日がやってきた。当日は兄と共に迎えに行き、車で連れて行った。 「早く良くなるためのリハビリをするところ...
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(16)かたや面談で2160円、かたや無料…行って納得の病院の値段の差
入院14日目。おかんの腰椎圧迫骨折発症から30日が経過したところで「B病院、C病院共に受け入れ可能」と連絡が入った。回復期リハビリ病棟への転院の件だ。どちらも担当スタッフと患者家族が今後の方針などを確認しあう「面談」に来るよう求めら...
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(15)骨粗しょう症だなんて聞いてないよ! もっと早くわかっていれば…
おかんの入院付き添いは近隣に住む兄に任せ、当日昼には「完了した」との連絡が入った。その中に気になる報告が2つ含まれていた。1つは入院前日の早朝5時ごろ「足が痛い」とおかんが兄に電話していたこと。しかし昼にショートステイに行き尋ねると...
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最期の時間を支える「選択」と「納得」…在宅医療の基本
最期の時が近づいている、乳がん末期の88歳の女性の患者さんがいらっしゃいました。同居する息子さんが24時間付き添ってこられましたが、より手厚い介護を受けるため、私たちのサービスを受けつつ、ご家族も一緒に過ごせるホスピス施設へ移ること...
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(14)母が口にした…まさか、まさかのタンス預金
2日後から入院することが決まったおかんが、ひと呼吸おいて話しだした内容は驚くべきものだった。 「家に通帳やお金が置いてあるの。留守にしているとそれが心配で」 「それだったら俺と兄貴で預かっておくよ。どこに置いてあるの」 ...
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末期がんの88歳女性は突然の昏睡から回復…限られた時間を家族とともに
在宅医療を開始する患者さんの中には、がんを患っている方が少なくありません。その進行の程度もさまざまです。一般的に、がんの進行度を示す指標として「ステージ」が用いられます。 その代表的な判定基準が、「T(原発がんの大きさと浸潤...
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(13)腰椎圧迫骨折治療のコルセット作りは、思いのほか大変
MRI検査でおかんの腰椎圧迫骨折が確定した日、担当医が提案したのはコルセットの装着だった。治療法としてポピュラーなものらしく、後日しっかり採寸した後、義肢装具士に作ってもらう必要があるという。 そのため5日後に再び予約を取っ...
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(12)初めての要介護認定調査とMRI…昭和1ケタ女は強かった
回復期リハビリテーション病棟の候補を決めた翌朝は、ショートステイの居室で介護認定の訪問調査が行われた。入居初日に激しい抵抗があったことが頭から離れない息子としては、おかんが調査員に敵意を持たないか心配で仕方ない。 「何とか無事...
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(1)亡き夫が気持ちよく眠っているようで…
大切な人を亡くした直後、多くの人が強い心身の不調を経験する。眠れない、食欲が落ちる、動悸がする、涙が止まらない──。医療の現場では「急性悲嘆反応」と呼ばれることもある。深い喪失は、それほどまでに心身に影響を及ぼす。 「あのとき...
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(5)外国人であれ日本人であれ、「労働力」として評価される制度や経営が必要
先月、フジテレビ系列のドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」で、介護職の低い給料が理由で結婚できないという男性(久保さん=仮名)の婚活が紹介された。結婚相談所に登録し複数の女性を紹介されるが、久保さんはどの女性からも振られてし...
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(4)人手不足でサービス停止続出 “裸一貫”のアジア系人材で穴埋め
地方の人手不足もいよいよ極まってきた。東海地方の某市ではサービスを停止する介護施設が続出している。 介護施設Aはショートステイを廃止した。立派な建物をつくったものの、介護人材が不足し、結局のところ採算が合わなくなってしまった...
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最期まで自宅で過ごしたい…息子2人が支える老夫婦の覚悟
在宅医療を始めた患者さんのご家族の中には、生活を大きく変化させることを決断する方が少なくありません。 「できる限り自分たちで支えたい」という思いから、転職を決意したり、同居を始めたり、患者さんを近くに呼び寄せたり、あるいはご家...
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在宅医療を進めるうえで大切にしたい「家族と共に支える覚悟」
患者さん本人の希望を尊重し、その人らしい生活を続けていただきたい──。これは、在宅医療に携わるうえで、私たちが常に大切にしている思いです。 もっとも、その「希望」は、患者さんやご家族の療養に対する考え方や生活スタイルによって...
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(8)大丈夫と思い込んでいる親を説得するのは、専門家でも難しい
やっとの思いでおかんをショートステイに入居させた日の夜、旧知の管理栄養士から誘われていた「サルコペニア・フレイル」の勉強会に参加した。講師はこの分野では有名な先生で、以前から話を聞いてみたいと思っていたのだ。 ちなみにサルコ...
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肝硬変と肝細胞がんで予後数カ月…残された時間は家族と自宅で
肝硬変末期の70代の男性患者さんがいました。肝細胞がんも併発しており、私たちが在宅医療として関わり始めた時点で、既に予後は数カ月と判断されていました。残された時間を家族とともに自宅で過ごしたい──。その思いから在宅医療を選択されたの...
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(7)泣きながら抵抗を続け、罵声を浴びせかけられ…息子はへこんだ
「家に帰して。ここには絶対いたくない!」 ショートステイ初日。手続きを終え部屋に案内された途端、おかんは涙をボロボロ流しながら叫んだ。 嫌な予感は的中だった。ここまで強い拒絶になるとは思っていなかった。どう対処すべきか...
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(6)肩を震わせ、しゃくりあげるように泣き出した
ショートステイに連れていく日の朝。支度を進めていると、 「……行きたくないよ」 おかんがボソッと呟いた。聞こえないフリをしていると、今度は「行かなきゃいけないの?」ときた。いや、あのね。圧迫骨折の疑いが濃厚でまともに歩...
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おしっこがしたいのに出ない!
「おしっこがしたいのに出なくて、膀胱のあたりが痛いから、電話してほしいと言うんです。本人がそこまで言うのだから、本当に痛いんだと思います」 同居して介護をしている娘さんから、こんな緊急のSOSの電話が入りました。患者さんは、く...
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介護保険ではまかなえきれないサービスを上手に利用する方法
要介護認定されれば多くの介護保険サービスを受けることができ、利用料の自己負担分は所得により1~3割になる。内容は訪問介護(居宅)や通所介護(施設)、定期巡回(地域密着)などがあり、しっかり選ぶことで介護される人の生活QOLと介護する...
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たとえ不安定であっても本人や家族の望み通りの過ごし方を
お腹の中で小腸を囲むように位置している大腸。その大腸のうち、左わき腹あたりからまっすぐ下へ下り、最後にS字を描きながら肛門へと続く部分を「S状結腸」と呼びます。 そのS状結腸の末期がんの男性(80歳)は、がんが肺にも転移して...
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近づく“その時”に焦らず冷静に向き合う…看取る家族ができること
「昨日から内服ができず、オプソも口に含んでも飲み込めない状態です。肩呼吸が始まっているので、アセリオの検討もお願いできたらと思います。浮腫もたまっていて、急に落ちる可能性もあると思いまして」 毎日訪問してくださっている訪問看護...
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(53)慣れ親しんだ電話番号の消滅…どうしようもなく泣けてきた
母が退院し、施設に戻ることになった日、必要な手続きを行うため私はとんぼ返りで熊本の実家へ向かった。無人になって久しい家の郵便受けには、築45年目の外装と防水工事の点検案内のハガキが届いていた。 実家はパネル工法の鉄筋軽量気泡...
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物盗られ妄想の80歳女性「防犯カメラごと盗られたの」
在宅医療を始めたいという相談をされて来られる方には、認知症を抱える患者さんが少なくありません。認知症の症状は進行の度合いだけでなく、患者さんの個性によっても現れ方がさまざまです。 その中でもよく見られるのが「物盗られ妄想」で...
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(52)帰りたい、施設に帰りたい…救急搬送された母は言った
ある冬の夜、施設に入所している母がコロナウイルスに感染し、救急搬送された。東京にいる私が連絡を受けたのは、すでに搬送から数時間が経ってからだった。着信に私はまったく気づいていなかったのだ。 原因は、猫だった。仕事中、私のデス...
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在宅医療でよくある質問に答えます…誰に相談すればいい?
在宅医療を提供する私たちが一貫して大切にしているのは、どのような状況の患者さんでも、柔軟に診察するという姿勢です。 たとえば、ご家族との関係が途絶え、独居されている方、他の病院や施設での受け入れが難しい方、あるいは末期がんで...
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(51)それ私のセーターでしょ? 少し笑っているように見えた
施設に入って1年後、四肢マヒの寝たきりになり嚥下が難しくなってきた母に、ケアマネジャーの提案で言語聴覚士による嚥下訓練を導入した。週に1度、訓練が行われることになった。 効果が出るかどうかはわからなかったが、母のQOL(生活...
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(50)胃ろうを考える時期が来た…老人ホームに入居してから1年
母が民間の有料老人ホームに入居してから1年が経った。入所時の介護度は「要介護2」。レビー小体型認知症の症状のうちのひとつなのだろう、無表情で、言葉を発することもなく、こちらの話が通じているのかもわからなかった。ただ、そのときはまだ、...
