介護
-
最期が近い患者の家族から「点滴の栄養を増やしたい」と言われ…
在宅医療の現場でも患者さんへの点滴は必要に応じて行われます。水分摂取を口から行えている場合は必要はありませんが、嘔吐したり下痢などを起こすなど、何らかの理由により口からの摂取が難しくなった場合に実施されます。 そしてこの点滴...
-
(35)高齢家族がいれば誰でも、今、この瞬間、介護が始まる可能性
高齢者施設探しを始めた時、母は82歳になっていた。認知症専門医院に入院中に誕生日を迎えていたが、同年代で元気に生活している人も多い年齢である。施設を選ぶにあたって、周囲にはまだ介護施設の入所経験がある友人がほとんどおらず、相談できる...
-
地元ならではの「足」を活用し老親の外出機会を増やす
あなたの親は一日のほとんどを家の中で過ごしていないだろうか。病気やケガ、要介護状態ならともかく、健康なのに行動範囲が家の中か庭先くらいといった日々が続くと、筋力や認知機能低下のリスクが高まり、寝たきりや要介護状態を招く可能性が高くな...
-
70代男性は「床ずれ」がひどく、家でのケアを不安視していたが…
在宅医療を始める患者さんやご家族の多くは、それまで経験のない「自宅で療養する」という新しい生活スタイルに戸惑われることが少なくありません。 たとえ、在宅医療の開始前に時間をかけて医院側と打ち合わせを行い、介護ベッドやポータブ...
-
免許なしでも使える帰省中の便利な足…シェアサイクルが役立つ
親元に帰省した時、滞在中の足をどう確保するかは悩ましい問題だ。まず思い浮かぶのはレンタカーやカーシェアを活用することだが、店舗やステーションが限られるうえ、それなりの出費を覚悟しなければならない。最も安価な軽自動車を選んでも、48時...
-
(32)代わってくれる人はいない…私がやるしかない
母の入居先となる有料老人ホームの候補を、紹介業者に選んでもらっている間、地域包括支援センターから特別養護老人ホーム(特養=介護老人福祉施設)についての説明を受けた。特養は比較的費用が抑えられ、長期的な入所を前提とした公的施設だ。ただ...
-
延命治療を希望するか否か…本人や家族の意志も事前に確認
親を介護施設などに入所させた時、延命治療に関する意思確認書の提出を求められることがある。家族としては「縁起でもない」「まだ元気なのになぜ?」と戸惑ってしまうが、実は決して珍しいことではない。 施設としては要介護状態の高齢者を...
-
認知症の患者さんからのセクハラにどのように対応するか
「中国人の技能実習生の女性にセクハラ行為があり、彼女がとても怖がっているんです」 ある日、日頃から関わりのあるデイサービス事業所から、そこに通う89歳の男性患者さんについて相談の電話がありました。 この男性は軽度の認知...
-
(31)母の退院後の施設探し…費用は一体いくらかかるのか
認知症の母の退院後の施設を決めるため、私は地域包括支援センターから紹介された民間業者と電話でやりとりを始めた。施設選びには、希望する地域、予算、必要な条件を伝える必要があった。私は、できるだけ実家の近く、母の生まれ育った場所のそばで...
-
(30)どの施設ならいいのか…判断材料はほとんどなかった
父が亡くなり、残された猫たちを東京に引き取った私は、実家の整理と事務的な手続きに追われながら、限界に近い疲労を感じていた。こういう時に限ってなぜか仕事も忙しく、次から次に依頼や打ち合わせが相次いでいた。先行きのわからない不安から、私...
-
親の施設入所を決める前にチェックしたい「面会制限」事情
世界中をパニックに陥れた新型コロナウイルス感染症は人々の生活を一変させた。日本でもソーシャルディスタンスやリモートといった言葉が飛び交い、マスク不足や医療崩壊、飲食店の休業が長く続き、不安な日々を過ごしていたことは記憶に新しい。 ...
-
圧迫骨折で入院の80代女性は「病院食はまずい」と食事を拒否
病院にいることでかえって体調が悪化するのではないかと心配され、入院中の食事やリハビリを拒否して、ご主人と娘さんの待つ自宅に戻り、在宅医療を始めた80代の女性の患者さんがいらっしゃいます。 この方は、骨折によって背骨の神経の通...
-
(29)時はコロナ禍…東京ー熊本の行き来は絶対に誰にも言えない
父が残した猫4匹を東京に引き取ると決意した私は、叔母に一時的な世話を頼みながら、短期間で何度か東京と熊本を往復していた。父の死に関する事務処理を進めなければならなかったからだ。役所への死亡届、携帯電話の解約、廃車や保険の解約、そして...
-
「日常生活自立支援事業」を活用しよう…親の不安や疑問に対応
人は60歳を過ぎると認知機能が少しずつ衰えていく。人やモノの名前が思い出せず「あれ」や「それ」を連発するくらいならともかく、判断力の低下で日常生活に支障をきたし始めると思いがけないトラブルになりかねない。 もし親がそのような...
-
(28)実家に残された高齢猫4匹は東京へ連れて帰ることに決めた
だんだん私自身が精神的な疲れを感じるようになっていた中、もうひとつ急いで解決しなければならないことがあった。父がいなくなった無人の実家で、4匹の猫たちが生き延びていたのだ。 父の推定死亡日から発見されるまで約1週間。えさは食...
-
親のおむつを選ぶうえで知っておくべきこと…親の気持ちを理解する
高齢の親から「パンツを買ってきてくれ」と頼まれたら、あなたは何を確認するだろう。サイズと好みの形、あとは色柄あたり? とりあえずはければいいよね的な感覚で選ぶことだろう。 では、おむつだったらどうするか。実はこれがとてつもな...
-
自宅近くはタクシー利用が困難…配車アプリも使いこなせない
在宅医療を始めるきっかけはさまざまですが、次のようなケースが一般的です。入院中の方であれば、病院の退院支援・相談窓口を通じて、あるいは診療所の医師や看護師からの紹介を受ける。一方、自宅で介護サービスを受けている方であれば、担当のケア...
-
(27)介護、家の管理、相次ぐ出資…すべてが私一人の肩に
年が明けてすぐ、実家で父がひっそりと亡くなっているのが見つかった。まさかの出来事だった。私は仕事の手を止めて東京から急ぎ実家に向かい、喪主を務めなければならなくなった。自分の生活がすべて止まった。 母の主治医から、当面父の死...
-
精神・高次脳機能障害の治療に言語聴覚士の介入が重要なのはなぜか
高次脳機能障害や精神障害の治療には、言語聴覚士(ST)による介入がとても重要です。心のケア、つまりコミュニケーションによる寄り添いが大切であるためです。 そこで、われわれは「アフォーダンスの理論」を使います。米国の心理学者ジェームズ...
-
親のパンツがおむつになる覚悟…大人のおむつについて真剣に考える
人間は生まれて3~4年は排泄を自分でコントロールすることが難しく、おむつのお世話になる。小も大もそのまま出し、汚れれば誰かがきれいに拭いて新しいものに交換する。その誰かとはもちろん親だろう。 初産だと尿や便には戸惑いがあった...
-
在宅医療も外国出身の患者が増加…言葉の壁をどう乗り越えるか
近年、在宅医療の現場でも外国出身の患者さんが増えてきました。特に当院では、中国残留孤児やそのご家族が比較的多くいらっしゃいます。戦後80年を迎えた現在では、そうした方々のコミュニティーが存在しており、日本語と中国語の両方を話せる中国...
-
(26)意地を張らず、父ともっときちんと話をしていれば
要介護度の通知が届いたら年末年始に帰省し、母が実家に戻って今後必要なケアが受けられるよう準備を進めたいと考えていたが、病院の手続きが遅れ、年内に通知は届かなかった。そして新年。何度電話をしても父が出ないことに不安を覚え、叔母に実家を...
-
ホームヘルパーさんにやってもらえること、無理なこと
親が高齢になるほど、その日常生活を気にかける機会が増える。買い物や料理、入浴、掃除など安全にできているのか。何かあった時にサポートしてくれる人はいるのか。 そんな心配を解決するひとつの方法が訪問介護員(ホームヘルパー)の利用...
-
80歳女性は胃ろうを経て、初めてとんかつを2切れ食べられた!
在宅医療を始められた患者さんの中には、「食べること」に強いこだわりを持つ方がいらっしゃいます。 今回ご紹介するのは、くも膜下出血の手術と入院を経て、現在はご自宅で療養されている80歳の女性です。息子さんご夫婦と同居されており...
-
(25)父はひとりで死んでいた…つながらない電話に胸騒ぎ
その年は寒い冬だった。コロナ禍ではあったが、私は母の要介護度の通知が届いたら、年末年始に帰省して母が実家に戻ってくる算段をつけようと考えていた。その準備を始めれば、何カ月経っても母が退院してこないことに苛立ち、怒ってばかりいる父も納...
-
事故が心配…高齢な親の運転技術を安価に見極める方法
高齢ドライバーによる事故が大きく取り上げられるたび、親がいつまで車の運転を続けるのか不安を感じている人は多いはず。静かな田舎でのんびり運転しているとしても、うっかりミスで歩道や反対車線に入ったり、ブレーキとアクセルの踏み間違いで暴走...
-
訪問診療という「外部の目」がフレイルを食い止める
在宅医療を受けている高齢の患者さんの中には、大きな病気を患っているわけでもなく、それほど介護が必要なわけでもないものの、どこかしら弱っている、いわゆる「フレイル(虚弱)」状態の方がいます。 フレイルは大きく次の3つに分けられ...
-
(24)言い合いになるのが嫌で父への連絡は必要最小限となっていた
いずれ訪れる母の退院に備えて、地域包括支援センターとのやりとりが続いていた。最良の選択肢として看護小規模多機能型居宅介護(看多機)という制度を教えてもらい、実家の近くにその施設があることも知った。 介護度によって利用できるサ...
-
「高齢者の運転」どこまで許容する? 同乗して確かめる機会を持つ
東京や大阪などの都心に暮らしている限り、交通インフラで困ることはない。どこに行くにも豊富な選択肢があり、公共交通だけで十分に生活が成り立つ。それは都道府県別の自家用乗用車世帯当たり普及台数を見ても明らかで、全国平均が1.016なのに...
-
「処遇改善より選ばれる介護事業者に」…財務省の議論に批判殺到 岸田政権の最優先課題「介護職の賃上げ」はどうなった?
日本の将来の医療や介護、障害福祉、生活保護の在り方などについて審議した財務省の「財政制度等審議会(財政審)」の議論に対し、ネットで批判や悲観的な投稿が拡散している。 財政審の財政制度分科会は23日に「持続可能な社会保障制度の...