介護
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(12)初めての要介護認定調査とMRI…昭和1ケタ女は強かった
回復期リハビリテーション病棟の候補を決めた翌朝は、ショートステイの居室で介護認定の訪問調査が行われた。入居初日に激しい抵抗があったことが頭から離れない息子としては、おかんが調査員に敵意を持たないか心配で仕方ない。 「何とか無事...
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(1)亡き夫が気持ちよく眠っているようで…
大切な人を亡くした直後、多くの人が強い心身の不調を経験する。眠れない、食欲が落ちる、動悸がする、涙が止まらない──。医療の現場では「急性悲嘆反応」と呼ばれることもある。深い喪失は、それほどまでに心身に影響を及ぼす。 「あのとき...
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(5)外国人であれ日本人であれ、「労働力」として評価される制度や経営が必要
先月、フジテレビ系列のドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」で、介護職の低い給料が理由で結婚できないという男性(久保さん=仮名)の婚活が紹介された。結婚相談所に登録し複数の女性を紹介されるが、久保さんはどの女性からも振られてし...
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(4)人手不足でサービス停止続出 “裸一貫”のアジア系人材で穴埋め
地方の人手不足もいよいよ極まってきた。東海地方の某市ではサービスを停止する介護施設が続出している。 介護施設Aはショートステイを廃止した。立派な建物をつくったものの、介護人材が不足し、結局のところ採算が合わなくなってしまった...
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最期まで自宅で過ごしたい…息子2人が支える老夫婦の覚悟
在宅医療を始めた患者さんのご家族の中には、生活を大きく変化させることを決断する方が少なくありません。 「できる限り自分たちで支えたい」という思いから、転職を決意したり、同居を始めたり、患者さんを近くに呼び寄せたり、あるいはご家...
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在宅医療を進めるうえで大切にしたい「家族と共に支える覚悟」
患者さん本人の希望を尊重し、その人らしい生活を続けていただきたい──。これは、在宅医療に携わるうえで、私たちが常に大切にしている思いです。 もっとも、その「希望」は、患者さんやご家族の療養に対する考え方や生活スタイルによって...
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(8)大丈夫と思い込んでいる親を説得するのは、専門家でも難しい
やっとの思いでおかんをショートステイに入居させた日の夜、旧知の管理栄養士から誘われていた「サルコペニア・フレイル」の勉強会に参加した。講師はこの分野では有名な先生で、以前から話を聞いてみたいと思っていたのだ。 ちなみにサルコ...
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肝硬変と肝細胞がんで予後数カ月…残された時間は家族と自宅で
肝硬変末期の70代の男性患者さんがいました。肝細胞がんも併発しており、私たちが在宅医療として関わり始めた時点で、既に予後は数カ月と判断されていました。残された時間を家族とともに自宅で過ごしたい──。その思いから在宅医療を選択されたの...
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(7)泣きながら抵抗を続け、罵声を浴びせかけられ…息子はへこんだ
「家に帰して。ここには絶対いたくない!」 ショートステイ初日。手続きを終え部屋に案内された途端、おかんは涙をボロボロ流しながら叫んだ。 嫌な予感は的中だった。ここまで強い拒絶になるとは思っていなかった。どう対処すべきか...
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(6)肩を震わせ、しゃくりあげるように泣き出した
ショートステイに連れていく日の朝。支度を進めていると、 「……行きたくないよ」 おかんがボソッと呟いた。聞こえないフリをしていると、今度は「行かなきゃいけないの?」ときた。いや、あのね。圧迫骨折の疑いが濃厚でまともに歩...
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おしっこがしたいのに出ない!
「おしっこがしたいのに出なくて、膀胱のあたりが痛いから、電話してほしいと言うんです。本人がそこまで言うのだから、本当に痛いんだと思います」 同居して介護をしている娘さんから、こんな緊急のSOSの電話が入りました。患者さんは、く...
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介護保険ではまかなえきれないサービスを上手に利用する方法
要介護認定されれば多くの介護保険サービスを受けることができ、利用料の自己負担分は所得により1~3割になる。内容は訪問介護(居宅)や通所介護(施設)、定期巡回(地域密着)などがあり、しっかり選ぶことで介護される人の生活QOLと介護する...
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たとえ不安定であっても本人や家族の望み通りの過ごし方を
お腹の中で小腸を囲むように位置している大腸。その大腸のうち、左わき腹あたりからまっすぐ下へ下り、最後にS字を描きながら肛門へと続く部分を「S状結腸」と呼びます。 そのS状結腸の末期がんの男性(80歳)は、がんが肺にも転移して...
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近づく“その時”に焦らず冷静に向き合う…看取る家族ができること
「昨日から内服ができず、オプソも口に含んでも飲み込めない状態です。肩呼吸が始まっているので、アセリオの検討もお願いできたらと思います。浮腫もたまっていて、急に落ちる可能性もあると思いまして」 毎日訪問してくださっている訪問看護...
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(53)慣れ親しんだ電話番号の消滅…どうしようもなく泣けてきた
母が退院し、施設に戻ることになった日、必要な手続きを行うため私はとんぼ返りで熊本の実家へ向かった。無人になって久しい家の郵便受けには、築45年目の外装と防水工事の点検案内のハガキが届いていた。 実家はパネル工法の鉄筋軽量気泡...
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物盗られ妄想の80歳女性「防犯カメラごと盗られたの」
在宅医療を始めたいという相談をされて来られる方には、認知症を抱える患者さんが少なくありません。認知症の症状は進行の度合いだけでなく、患者さんの個性によっても現れ方がさまざまです。 その中でもよく見られるのが「物盗られ妄想」で...
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(52)帰りたい、施設に帰りたい…救急搬送された母は言った
ある冬の夜、施設に入所している母がコロナウイルスに感染し、救急搬送された。東京にいる私が連絡を受けたのは、すでに搬送から数時間が経ってからだった。着信に私はまったく気づいていなかったのだ。 原因は、猫だった。仕事中、私のデス...
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在宅医療でよくある質問に答えます…誰に相談すればいい?
在宅医療を提供する私たちが一貫して大切にしているのは、どのような状況の患者さんでも、柔軟に診察するという姿勢です。 たとえば、ご家族との関係が途絶え、独居されている方、他の病院や施設での受け入れが難しい方、あるいは末期がんで...
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(51)それ私のセーターでしょ? 少し笑っているように見えた
施設に入って1年後、四肢マヒの寝たきりになり嚥下が難しくなってきた母に、ケアマネジャーの提案で言語聴覚士による嚥下訓練を導入した。週に1度、訓練が行われることになった。 効果が出るかどうかはわからなかったが、母のQOL(生活...
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(50)胃ろうを考える時期が来た…老人ホームに入居してから1年
母が民間の有料老人ホームに入居してから1年が経った。入所時の介護度は「要介護2」。レビー小体型認知症の症状のうちのひとつなのだろう、無表情で、言葉を発することもなく、こちらの話が通じているのかもわからなかった。ただ、そのときはまだ、...
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「障害者手帳」嫌がる親を説得してでも申請すべき理由
高齢者の矜持は時として周囲の人々を困らせることがある。要介護・要支援認定の申請を拒否する姿勢などは、その典型かもしれない。筆者の介護経験でも最初に立ちはだかった困りごとがこれだった。何度も制度の説明をし、「介護保険料を天引きされてい...
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(49)悩んだ末に母の車を手放す決断をした…単なる道具ではなかった
母が施設に入って1年後、悩んだ末、残っていた車を手放した。父が亡くなり、母が施設に入ってからも、無人となった実家の駐車場にはずっとその車が残されていた。 帰省するたびにバッテリーが上がっており、エンジンをかけるのに苦労したが...
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定年退職後スキルを活かすなら…高齢者歓迎のシルバー人材センター
地域の人たちの健康を守り、さまざまなイベントを企画している人といえば市区町村の保健師だ。自営業者など国保を対象とした健診とそのフォロー、妊婦さんのケア、子育て支援、精神保健など幅広い層に関わっている。 いずれも難しい仕事だが...
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末期がんの85歳男性「死ぬ思いでお惣菜を買ってきて、お粥をなんとか食べたけど…」
在宅医療は、患者さんのご自宅に上がり込み、時に生活全般にわたってサポートを行う医療です。だからこそ、患者さんやご家族が私たちを信頼し、受け入れてくださって初めて成り立ちます。 医師をはじめとした在宅スタッフは常に患者さんやご...
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最期まで自宅で介護したい…現実との葛藤
在宅医療を始める患者さんの中には、積極的な治療を望まず、自宅で残された時間を自然に過ごし、最期を迎えようとする方がいらっしゃいます。 そのような患者さんを介護するご家族は、不治の病に対する焦りのようなものは落ち着くものの、物...
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(47)父との思い出話も、私の幼い頃の記憶も、もう共有できないのだ
親が亡くなると、手続きの多さに驚く。例えば相続には「3カ月以内に承認か放棄を決める」「10カ月以内に相続税を現金で納める」といった期限がある。 私の場合は幸か不幸か、父が税金の対象になるほどの財産を残しておらず、実際の手続き...
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薬剤師の何げない言葉からわかった患者家族の意外な状況
在宅医療を導入すると、それまで見えなかった患者さんのご家庭が抱えるさまざまな問題が明らかになることがあります。 問題の内容は、患者さんの病状に関することだけにとどまりません。患者さんの性格に起因するトラブル、経済的な問題、ご...
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(46)年金だけではまかなえない。「生きる」のはあと何年──
母の83歳の誕生日、鉢植えのシクラメンを抱えて施設を訪れた。母は「ありがとう」と言ったきり黙って外を眺めていた。何を思っていたのか、何か言いたいことがあったのかわからない。ただ、確かに「ありがとう」は聞こえた。 後日、介護費...
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末期がんで余命わずかの65歳男性…緩和ケア病棟か自宅療養か
「S状結腸がん末期」の65歳の男性患者さんは、「歩行器を使ってでも、最期まで自分の店に立ちたい」という強い思いから、BSC(ベスト・サポーティブ・ケア)を選択し、私たちのクリニックで在宅医療を始めました。BSCとは、がんに対して積極的...
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(45)死への道のりを心地よくする手配しか、私にはできないのだ
実家が荒れ果てていくのとは逆に、母の施設での生活は少しずつ安定しつつあった。ケアマネジャーというプロが介護のスケジュールを組み立て、医療やリハビリはそれぞれの専門家が担い、職員が24時間態勢でケアをしてくれる。要介護度に応じて介護保...
