AIで「声」をまねる動画はどこまで許されるのか?
「この声、あの有名声優にそっくり」
SNSを見ていて、そんな動画に出合うことも珍しくなくなりました。生成AIの進歩で、本人が話していない言葉を、本人そっくりの声で話させることもできる時代です。
人気声優の津田健次郎さんが、自身の声をAIでまねたとされる動画を巡ってTikTokの運営会社を訴えた裁判で、9月30日、東京地裁は、人の「声」もパブリシティー権で保護されるとの初めての司法判断を示しました。
パブリシティー権とは、簡単にいえば、有名人の名前や顔が持つ「人を引きつける力」を勝手に商売に利用されないための権利です。例えば、有名俳優の写真を無断で広告に使い、その人気を商品の売り上げにつなげるようなケースが典型です。裁判所は、声も顔と同じく「その人らしさの象徴」であり、もっぱら声によって人を引きつける力を利用する目的で無断使用した場合は、権利の侵害にあたるとの考え方を示しました。
もっとも、今回の津田さんの裁判では、問題となった動画はすでに削除されており、その動画自体がパブリシティー権を侵害するかどうかについては判断されませんでした。今回の判決は、「声」も保護の対象になり得ることを示した一方、AIで作られた声のどのような利用が権利侵害となるのか、その具体的な境界はなお明確ではありません。

















