五木寛之 流されゆく日々
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連載9855回 八十過ぎて知ったこと <3>
(昨日のつづき) 「心の貧しい人は、幸せである」 この言葉は、ずっと私の意識の底に居坐って離れることがなかった。 「心が貧しい」とは、どういうことなのか。 「貧しき者は幸いなり」 という…
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連載9854回 八十過ぎて知ったこと <2>
(昨日のつづき) ギリシャがEUのお荷物となっている、というのは、私たち日本人のほとんどが持っている常識だ。それにもかかわらず、EUがギリシャを抱えているのは、なぜか。要するにヨーロッパ文明の土台…
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連載9853回 八十過ぎて知ったこと <1>
子供の頃から本を読んで育ってきた。職業として活字と縁のある仕事を、半世紀以上続けてきている。いろんな人と話もしたし、教わることも多かった。今でも一日に一冊程度の本には目を通している。 しかし、呆…
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連載9852回 耐寒活字ジャンキー日記 <5>
(昨日のつづき) 旧約聖書を苦労して読み、続けて新共同訳の新約聖書を読む。 イエスが、人々に語るときたとえ話ばかりするので弟子たちがその事をたずねるくだりが興味ぶかかった。 「なぜそんなにた…
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連載9851回 耐寒活字ジャンキー日記 <4>
(昨日のつづき) 今日も寒い。体感温度は零度以下の気配である。全国各地で豪雪が続いているらしいが、東京、横浜方面はなぜか雪が降らない。 打合わせの時に、 「きょうも寒いですね」 と言った…
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連載9850回 耐寒活字ジャンキー日記 <3>
(昨日のつづき) 圧倒的な情報量といえば、昨夜、読んだドン・ウィンズロウの『報復』がそうだった。 最初に二、三ページを読んで、ふとやめようかな、とも思ったのだが、我慢して読みだしたら、つい最後…
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連載9849回 耐寒活字ジャンキー日記 <2>
(昨日のつづき) ミステリーとかファンタジーなどの分野では、日本の小説もなかなかのものである。しかし、情報小説やルポルタージュ小説となると、とても太刀打ちできない感じがある。それは小説としての完成…
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連載9848回 耐寒活字ジャンキー日記 <1>
寒い。 日本列島を異常な寒波がおそっているらしい。アジアだけでなく、ニューヨークも大雪だそうだ。 寒さはきびしいが、関東にそれほどの雪は降らないのはなぜだろう。先日降った雪が道路脇にまだ残っ…
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連載9847回 今年の生活改善目標 <5>
(昨日のつづき) さて、この個人的テーマの短期的な結果をまとめてみよう。問題は2点である。睡眠時間のリズムの正常化と、食生活の改善だ。 きょうは、午後4時過ぎに目覚めた。めずらしく夕刻からの各…
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連載9846回 今年の生活改善目標 <4>
(昨日のつづき) 子供の頃から年頭には、いろんな計画を立てるのが常だった。そして残念なことに、その殊勝な計画が1年間持続したことは一度もなかった。1年どころか、2、3カ月、いやひと月もたたないうち…
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連載9845回 今年の生活改善目標 <3>
(昨日のつづき) 人は食べる動物である。そのことは間違いない。「考える葦である」以上に、食うことは大事だ。 それは十分にわかっている。だが、どういうわけか私は食べることに、それほど執着がないの…
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連載9844回 今年の生活改善目標 <2>
(昨日のつづき) 今年は生活のリズムを改善する。まず睡眠時間の調整から始める、と書いたら同業の作家に笑われた。 「何十年も続けてきたライフスタイルを急に変えるのは危険だぞ。そもそもその年で生活改…
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連載9843回 今年の生活改善目標 <1>
正月のあいだ、やたらと本を読みすぎたせいか、睡眠のリズムが大混乱をきたしてしまった。 もちろんこれまでも超変則的な暮らし方である。夜中の12時頃から書く仕事にとりかかって、午前5時前後に終了、6…
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連載9842回 正月休みに読んだ本 <9>
(昨日のつづき) 『歴史認識とは何か』(細谷雄一著/新潮選書) 〈戦後史の解放Ⅰ〉というシリーズ。〈日露戦争からアジア太平洋戦争まで〉という副題がついているが、最近、「戦後70年」というより、日露…
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連載9841回 正月休みに読んだ本 <8>
(昨日のつづき) 『日本書紀の世界』(山田英雄著/講談社学術文庫)を読む。 先日、奈良で日本書紀について話をしてから、妙に気になって『古事記』と『日本書紀』関係の本を読むようになった。『日本書紀…
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連載9840回 正月休みに読んだ本 <7>
(昨日のつづき) 疲れたときには、海外のミステリーを読む。チャンドラーや、ハメットや、ガードナーを読んだのは半世紀も昔の若い頃である。『ロング・グッドバイ』などは、まだ書店で見かけるが、ハメットに…
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連載9839回 正月休みに読んだ本 <6>
(前回のつづき) 私の父親は学校の教師だった。小倉の師範学校を出て、福岡でしばらく小学校に勤めたあと、当時の朝鮮に渡った。普通学校と呼ばれていた朝鮮人の小学校で校長をやっていた時代もあった。その後…
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連載9838回 正月休みに読んだ本 <5>
(昨日のつづき) 『3・11以後とキリスト教』(荒井献・本田哲郎・高橋哲哉著/ぷねうま舎刊) カトリック神父の本田哲郎さんの著作は、これまでも注意して読んできた。この本は3人の討議の部分が鼎談で…
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連載9837回 正月休みに読んだ本 <4>
(昨日のつづき) 正月の休みは、借金を返すに最適の時期である。と、いっても金の貸し借りのことではない。贈っていただいて、すぐに読むことのできなかった本が、うず高く積みあがっている。それが心に重くの…
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連載9836回 正月休みに読んだ本 <3>
(昨日のつづき) 前置きの雑談で道草を食いすぎてしまった。さて、この正月休みにパラパラと走り読みした本を、順不同にあげてみよう。丹念にメモをとって読んだ本もあり、駆け足で速読した本もある。はじめて…
