【ユートピア 狂宴】のどかな老人ホームに派遣された若者が直面する恐怖の実験
そのマックスに忠告する老女が不運に見舞われたあたりから物語は大きく展開し、恐怖のボルテージが全開になるのだ。マックスの脳裏に流れるフラッシュバックのような映像は何なのかと考えていたら、最後にすべてが帰結するという仕掛けが施されている。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、本作は一種のマッドサイエンティストものだ。秦の始皇帝が徐福を日本に派遣したように、人は不老長寿を求める。こうした願望におのれの研究を追究する独善的な科学者が絡むとどうなるのか。映画はそうした人間の欲望とエゴをあからさまに提示。ラストの大団円に突入する。
ジェームズ・デモナコ監督が「ラスト25分間は、私がこれまで撮った映画の中で一番好きな部分です。信じられないほど血生臭い」と語っているようにグロテスク。だけど筆者はそこにスカッとさわやかな爽快感を感じた。
劇中のテレビ放送で石油プラントのニュースや「地球温暖化は存在しない」というコメンテーターの言葉が流れる。うがった見方をすれば、これは温暖化対策を「史上最大の詐欺」と罵倒したドナルド・トランプへの皮肉をこめた反証ではないか。富める特権階級が弱い者を犠牲にするのが資本主義の宿命だが、新自由主義はさらに人間同士の軋轢を激化させている。その延長線上に現代版・秦の始皇帝が存在する……。エンディングロールを見ながら、そんなことを考えさせられた。読者の感想はどのようなものだろうか。
本作を鑑賞したあとで「ゲット・アウト」(2017年)、「わたしを離さないで」(10年)を見ることをオススメしたい。(配給=カルチュア・パブリッシャーズ)
(文=森田健司)



















