孤独のキネマ
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【幕末ヒポクラテスたち】医学の実情と人間模様を歴史の大変革で味付けした豪華版
「京都府立医科大学創立150周年記念映画」である。通常、こうした教育機関にちなんだ映画はどこか説教臭く生真面目すぎて、退屈な仕上がりになるものだが、本作は面白い。劇中の古い医学に引き込まれてしまった。…
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【シンプル・アクシデント/偶然】拷問執行人を見つけたとき、人は理性を保てるのか?
イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督がメガホンを取り、第78回カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞。世界の映画祭で数々の賞を受け、第98回アカデミー賞の脚本賞・国際長編映画賞にノミネートされた。イラン…
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【ラプソディ・ラプソディ】勝手に入籍された男と女 謎解きの追いかけ劇
映画にせよ小説にせよ、物語は謎解きが面白い。本作を見て、そのことを改めて実感した。 横浜のレストランでランチをしている独身の夏野幹夫(高橋一生)と叔父の大介(利重剛)。「なんで結婚しないの?…
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【月の犬】子供を犠牲にするヤクザ社会、男女3人の破滅
ヤクザが登場する映画といえば「仁義なき戦い」(1973年)に始まる実録ものと「日本侠客伝」(1964年)などの任侠ものに大別できる。いずれもドンパチと切った張ったの修羅場を描いて、暴力にカタルシスを…
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【チェイン・リアクションズ】検証「悪魔のいけにえ」はなぜ不気味で怖いのか?
トビー・フーパー監督の「悪魔のいけにえ」(原題:The Texas Chain Saw Massacre)。ワンボックスカーで旅に出た若者グループが電動ノコギリの犠牲になる、低予算のホラー映画だ。映…
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【決断するとき】家族を想う寡黙な男が覗いた修道院の非道
ヒット作「オッペンハイマー」(2023年)で主演を務めたキリアン・マーフィーが、クレア・キーガンの原作小説に惚れ込んで映画化。アカデミー賞俳優はどんな物語を選んだのかな、と軽い気持ちで鑑賞したら、胸…
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【96分】猛スピードで疾走する新幹線を舞台にした“爆弾人情劇”
本作の惹句は「制限時間は96分、新幹線に仕掛けられた爆弾を止められるか⁉」。列車を舞台にしたテロを描いている。2025年の台湾映画で興行成績1位(約10億円)を獲得した注目作だ。 3年前の台…
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【しあわせな選択】失業中の男がライバルを狙うブラックコメディー
トロント国際映画祭で国際観客賞を受賞。ゴールデングローブ賞のミュージカル/コメディー部門の作品賞、主演男優賞、非英語作品賞にノミネートされている注目作だ。本作はコメディーの色彩が強いものの、その本質…
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【木挽町のあだ討ち】血まみれ果し合いの真相に迫る
昨年公開された映画のヒット作は興行収入200億円を記録した「国宝」。現代の歌舞伎の世界を舞台にしている。 一方、この「木挽町のあだ討ち」は江戸時代後期が舞台。歌舞伎小屋の人間模様から仇討ちの…
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【ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生】左足を切除したショッキング映像
筆者はこれまでピアノという楽器と無縁な人生を歩んできた。そのためピアノの鍵盤も触ったことがない。恥ずかしながら「猫踏んじゃった」も弾けない。クラシック音楽についてはチンプンカンだ。 だからス…
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『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』ダイエットと麻薬の依存症でもがく“不幸の親子どんぶり“
この「レクイエム・フォー・ドリーム」は2000年の作品。4Kリマスターで映像を鮮やかに磨き上げてリバイバル公開となった。筆者は25年前の日本公開時に見逃したので今回は試写で見学、面白さに圧倒された。…
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【安楽死特区】国が自殺する権利を認め、医師が死を幇助する近未来
「特区」とはおもに経済的な面で行政的、法的に特別な地位を与えられている地域や分野のこと。経済活動や事業を活性化させ、新たな産業を創出するため国が規制緩和などを行う。 映画「安楽死特区」は国家が…
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【ウォーフェア 戦地最前線】敵兵に完全包囲された兵士たちの血みどろ脱出劇
上映時間95分。2時間超えの映画が主流の時代に、本作は尺が短い。しかも冒頭が緩やかに流れていく。銃のスコープからイラクの町を見つめる狙撃兵らの会話が続く。このように上映時間が短く、のんびりと展開する…
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【五十年目の俺たちの旅】老境に達した男たちの友情が胸に染みる
カースケ、オメダ、グズ六……1970年代に青春時代を送った人はこの3人の名前に反応するはずだ。テレビドラマ「俺たちの旅」である。ドラマは75年にスタート。その後も10年ごとに特番ドラマが放送された。…
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【サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行】泥棒親子が障害者のキャンプに逃げ込んで良心に目覚める
この映画を見て菊池寛の小説「恩讐の彼方に」を思い出した。主殺しと辻斬りを犯した主人公が田舎の村に逃げ込み、善行に目覚める物語。洋の東西は違うが、その精神は本作に通じるものがある。本作はユーモアあふれ…
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【星と月は天の穴】バツイチ小説家の虚無的な性の日々
原作は吉行淳之介の同名小説(芸術選奨文部大臣賞受賞)、監督は「身も心も」「火口のふたり」の荒井晴彦。今度の男と女はどんな肉欲を突きつけてくるのかと興味津々だ。となれば見ないわけにはいかない。 …
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【エディントンへようこそ】コロナ騒動で現代アメリカの病理を描いた問題作
原題は「EDDINGTON」。日本の関係者は「エディントンへようこそ」という邦題を命名した。本作は新型コロナで右往左往する田舎町が舞台。ブラックジョークなストーリーゆえ「ようこそ」を追加したほうが分…
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【殺し屋のプロット】記憶喪失と闘うヒットマンが息子の犯罪に奔走
引退する殺し屋といえばリーアム・ニーソンのおはこだが、この男も負けてはいない。本作「殺しのプロット」のマイケル・キートンだ。記憶喪失と闘うヒットマンを重厚に演じている。 殺し屋のジョン・ノッ…
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「ナイトフラワー」極貧シングルマザーが売人に転落する血と暴力の世界
最近「シスターフッド」という言葉をよく耳にする。デジタル大辞林によると「①姉妹。また、姉妹のような間柄。②共通の目的をもった女性同士の連帯」の意味だ。本作「ナイトフラワー」は若い女2人のシスターフッ…
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【ドミニク 孤高の反逆者】ウクライナの女兵士が南米のワルどもをゲリラ戦で撃退
不思議なことだが、美女と拳銃のマッチングは映画映えする。か弱いはずの女が武器を手に取ると、男よりもカッコよく見えてくるのだ。この「ドミニク 孤高の反逆者」の主人公はピストルだけでなく機関銃をバンバン…
