高知・土佐清水市の足摺海底館が解体へ…1年での取り壊しもある登録有形文化財の中途半端な文化的価値
開始から30年経っていても知名度が低い
文化庁のホームページによると、これまで200件以上の価値ある登録有形文化財が様々な事情で解体されているという。特に温泉旅館や個人住宅は、維持管理などの負担が所有者に重くのしかかり、解体に至るケースが多くみられる。そのため、登録有形文化財は文化財保護制度として中途半端なのではないかという指摘もあるほどだ。
登録有形文化財は、今年で制度のスタートから30周年という節目を迎え、1万5000件近い建造物が登録されている。しかし、30年経ったにもかかわらず知名度が低く、制度が浸透しているとは言いがたい。何より、登録有形文化財になっているからといって観光に行く人は、どれだけいるのだろうか。日本遺産と並ぶ認知度の低さが否めない。
また、「東京タワー」や「東京大学大講堂(安田講堂)」のように誰もが知る建造物も登録されている一方、「どうしてこれが?」というような地方の商店や蔵なども登録有形文化財になっている。日本の建築文化の多様性を物語る意味で魅力的ととらえる人もいるが、登録の審査がゆるいせいか、玉石混交になり過ぎていることも問題である。
さて、足摺海底館の展望塔はどこまで維持できるだろうか。そもそも海風にさらされ続けているため、保存が難しい環境に建っている。しかし、SF映画に出てきそうな未来的な造形の建造物は取り壊されたものも多く、現存するだけでも貴重である。残すためには資金がもちろん必要だが、関係者の愛情がカギになりそうだ。
2028年に放映されるNHK大河ドラマは、土佐清水市出身のジョン万次郎が主人公と決まった。観光客がこの地を多く訪れることで、再注目される可能性もある。地域の宝としてなんとか守っていってほしいものだ。
(文=山内貴範)

















