長野県小海町長は発見時に死亡…キノコ狩りで遭難事故が絶えない“名人”ならではの事情と文明の利器の盲点
10月9日、1人でキノコ狩りに出かけていた長野県小海町の黒澤弘町長が、山中で倒れて死亡している状態で発見された。今年は長雨が続いたためマツタケが大量発生するなど、近年にはないキノコが豊作だという。その影響で多発するのではないかとみられているのが、キノコ狩りに行った人たちの遭難事故だ。
キノコ狩りはいわゆる本格的な登山をするわけではない。急峻な山に登るわけでもないし、未踏の地のような難所に立ち入るわけでもない。むしろ、里山のような環境で行われることのほうが多いのだが、なぜ毎年のように遭難事故は起こってしまうのだろうか。
■キノコの生息場所を家族にさえも教えない
筆者は秋田県出身で、子供の頃からキノコ狩りに親しんでおり、マイタケやマツタケのようないわゆる商品価値が高いキノコもたくさん採取してきた。秋田県は日本でも有数のキノコ狩りが盛んな地域で、秋になると異様なほどテンションが上がる大人が周りにたくさんいたことことをよく覚えている。
そんなキノコ狩りの“名人”の世界は、かなり特殊だと思う。というのも、キノコが生えている場所を家族にも教えない人が多いのだ。特に、マツタケやマイタケを専門に採る人は、どんなに聞いても秘密のスポットは絶対に教えてくれず、人目につかない早朝に1人で入山することが多い。
こういった名人の行動は、遭難のリスクが極めて高いといえるだろう。万が一、クマなどの野生動物に襲われたり、足を滑らせて斜面から転落したら一大事だ。家族はそもそもどの山で遭難しているのか分からず、捜索願いを出すこともできず、発見が遅れてしまう。
今回の黒澤町長のケースは、入山した日の夕方に捜索が行われ、その日のうちに倒れている姿で発見されている。したがって、家族間で情報が共有されていた可能性があるが、それでも亡くなってしまった。いくらスマートフォンなど連絡手段が発達したとはいえ、家族には必ず行き先を告げるようにしたい。そして、できることなら単独で入山するのは避けるべきであろう。

















