“絶対に負けられない初戦”で板倉と冨安を温存、最弱チュニジア戦に先発 これこそW杯優勝への道筋だった
恐るべき冷徹なマネジメント
森保監督は、グループリーグの3試合を単なる「通過点」、いや、さらに言えば「決勝トーナメントに向けたコンディション調整の場」として使っていたのだ。
最強のオランダ相手に、無理をして万全ではない主力を使えば、怪我が悪化してその後の試合に出られなくなるリスクがある。それならば初戦は(引き分けの)勝ち点1でもいいと割り切り、決勝トーナメントという「本番」を見据えて戦力を温存し、調整しながら勝ち上がっていく。
それは間違いなく、ワールドカップで「優勝」するためのパスウェイ(道筋)から逆算された、恐るべき冷徹なマネジメントだった。
私はあの日、「どこかで負けることを前提にしながら」で質問をした自分を恥じた。彼は本気で、頂点からの逆算で駒を進めていたのだ。
試合後、私はその気付いたことを記事にした。 すると後日、森保監督から「あの記事に書いてあったことは正しいですよ」と声をかけられた。それまでのこちらの無理解を責めることもなく、ただ淡々と事実を認めるその姿に、私は背筋が寒くなるようなプロフェッショナルの凄みを感じた。
決して感情でメディアを威圧せず、最後には結果と采配で黙らせる。
そんな底知れぬ男の思考回路のすべてを「『森保ノート』の真実。」に詰め込んだ。
読めば必ず、あなたのビジネスや組織論にも通じる「気付き」があるはずだ。(第3回につづく/全3回)
▽森雅史(もり・まさふみ)サッカージャーナリスト。 佐賀県出身。久留米大学附設高から上智大。サッカーダイジェスト編集部を皮切りに多くのサッカー誌の編集に関わり、2009年の独立後も日本代表の国内外の活動に密着取材を続けている。決め細やかな取材と精緻な筆致に定評がある。日本蹴球合同会社代表。森保監督との共著「『森保ノート』の真実。」(幻冬舎)が話題を集めている。


















