「仏の森保」も選手への理不尽な攻撃は絶対に許さない…自らは批判の矢面に立つ“究極の防波堤”
部下へ向かう矢は最前線で叩き落とす
自分へのバッシングはどれだけ理不尽でも受け流す男が、選手への誹謗中傷や事実無根の批判に対しては、烈火のごとく怒り、最前線に立って断固とした防衛線を張るのである。
2024年1月のアジアカップ。鈴木彩艶ら一部の選手に対し、SNSで人種差別や誹謗中傷が相次いだ。この時、森保監督は会見の場で「法的措置」という強い言葉を使って牽制した。
「みなさん、顔が見えないから大丈夫だと思ってやるかもしれないですけど、法的措置を取れて責任を問われると思います。本当に傷つくところは、最後は法的措置を取れるということはいつでも持っておいて、その人の責任を問えるということは、言う側も気づいてほしい」
さらに記憶に新しい2026年9月。一部メディアが「選手間の不仲や衝突」を煽る動画を配信した際も、彼は許さなかった。
「ありもしないことを、言ってもいないことを『言った』ということで、選手自身が傷つくことになっている。選手たちに対してのリスペクトが欠けていると思いますし、その気持ちを削ぐようなことはぜひやめていただきたい」
悪意あるフェイクニュースに対し、誰よりも早くメディアの前に立ち、部下を守る盾となったのだ。
自分への矢はすべて無防備な胸で受け止め、部下へ向かう矢は最前線で叩き落とす。
口で言うのは簡単だが、極限のプレッシャーの中でこれを実行できるリーダーはどれだけいるだろうか。
「ご自身の思ったとおりのことを書いてください」──。
あの日、私にすべてを委ねた彼の余裕ある立ち居振る舞いは、自らを捨ててでも組織を守り抜くという確固たる信念に裏打ちされたものだった。
選手たちがなぜ、この監督のために体を張り、泥臭く戦うのか。その答えは、彼が体現し続ける「究極の防波堤」としての覚悟にある。
「『森保ノート』の真実。」には、そんな森保一という男の本当の凄みを、監督の言葉から細かに拾った。(全3回/おわり)
▽森雅史(もり・まさふみ)サッカージャーナリスト。 佐賀県出身。久留米大学附設高から上智大。サッカーダイジェスト編集部を皮切りに多くのサッカー誌の編集に関わり、2009年の独立後も日本代表の国内外の活動に密着取材を続けている。決め細やかな取材と精緻な筆致に定評がある。日本蹴球合同会社代表。森保監督との共著「『森保ノート』の真実。」(幻冬舎)が話題を集めている。


















