保阪正康 日本史縦横無尽
-
兵力差23対1で玉砕 ギルバート諸島マキンの日本海軍守備隊
玉砕についてもうすこし触れておこう。 アッツ島に続く玉砕はギルバート諸島のタラワ、マキン両島の戦いだった。ギルバート諸島というだけあって、タラワは10を超える環礁からなっている。その中で中心…
-
日本兵の捕虜は国民の命を救うためにアメリカ側に自白した
日本人兵士は、戦時期の捕虜がどのような扱いをされるかという教育を受けていない。軍事指導者は「捕虜にはなるな。死ね」と言うのだから、兵士を人間として見てはいない。まさに戦備品であった。だからアメリカ側…
-
アメリカは“殺せ”と喚く日本人捕虜に新しい戸籍を用意した
アッツ島の玉砕では全員が戦死したわけではなく、本隊から外れて最後のバンザイ突撃に参加できなかった兵士も存在した。結局アメリカ軍に捕虜となった兵士は、わずか29人だとされている。2500人の中の29人…
-
暴言の丸山代議士は戦争容認を主張する政党をつくるべきだ
「戦争で失ったものは戦争で取り返せ」発言の丸山穂高代議士は、幾つもの錯誤を犯している。そのうちの2つについて私は本欄で指摘している。 ひとつはこの政治家が戦間期の思想の虜になっているということ…
-
暴言の丸山穂高氏が持つ“戦間期の思想”とヒトラーの復讐戦
今日と明日の2回はテーマを変えて、現職代議士の呆れ返る発言を批判したい。 日本維新の会(その後、除名)の丸山穂高氏が今月11日に北方領土のビザなし訪問団に参加した折、団長らに「戦争で取られた…
-
飢餓状態も…アッツ島の日本軍はなぜ降伏できなかったのか
アッツ島守備隊の玉砕には大本営に見捨てられたという意味もある。増援を送ろうにも、軍部にはそれだけの兵力がなかった。東南アジア全域に兵士を送り込んだことのツケが回ってきたのである。山崎守備隊長は「自分…
-
大本営に見捨てられ最初の玉砕を命じられたアッツ島の戦い
太平洋戦争での軍事指導者の責任は、戦争を自らの栄達や充足感のために利用したことであった。戦闘で犠牲になるのは兵士たちだった。「戦陣訓」で捕虜になるな、家門の恥だ、と言って退路を断ち、食料の補給もせず…
-
軍官僚の手柄のための戦争 勲章のための大本営発表だった
ガダルカナルの戦いは、太平洋戦争の開始から8カ月ほど後のことだった。日本軍はすでにこの段階で、アメリカ軍との物量の差を見せつけられていた。従って3年8カ月にわたって続いたこの戦争の残り3年は、ひとつ…
-
何でも食す…餓死という戦死の始まりだったガダルカナル戦
昭和17年8月からのガダルカナル戦は、太平洋戦争が始まって初めての過酷な戦いになった。ソロモン諸島の南端にあり、面積は四国地方の3分の1程度。周辺には幾つもの島があり、とりたてて特徴のない島だった。…
-
強引に赤玉(毒)を飲ませて病人を殺した「戦陣訓」の教え
軍隊の兵士教育とは、兵士をいかに日常の生活から切り離して戦時のモラルに切り替えるかにある。将校の中には「いかに早く頭をおかしくするかということだ」と証言した者もいる。「そのためには物を考える人間にな…
-
「戦時のモラル」は平時に生きる上で苦しみや悩みに転じる
戦争体験世代が少数になるにつれ、戦争の真の怖さは拡散していく。一口に戦争体験といっても、戦場体験、引き揚げ体験、被災体験、飢餓体験など、その範囲はかなり広くなる。 個人の感情、立場などでも体…
-
過酷な戦場を体験した老人達が死の直前に見せた驚きの行動
太平洋戦争が終わってから74年が過ぎた。今や昭和20年8月15日以後の生まれの人たちが国民の8割近くになっているのではないかと思う。戦争の記憶を持つ世代が少数派になっているがゆえに、戦争そのものの本…
-
平成と令和 それぞれの天皇の「憲法観」の違いに注目を
新天皇の即位後朝見の儀の「おことば」には所信表明のような趣がある。ここに盛り込まれた内容が、いわば入り口のような役割を果たす。それだけにどのような方向の天皇を目指すのかが述べられているようにも思える…
-
平成の天皇とは違うもの 新天皇がお言葉で示した4つの配慮
令和という時代が始まったが、どんな時代になるかは予測がつかない。私はこの時代は人類史の上で大きな価値観の変化が起きる時代になるように思う。むろんこれは推測だが、3つのキーワードを並べるならば、「天皇…
-
お言葉から解釈…平成は「象徴」を具体化する旅だった
平成の天皇の退位時のお言葉は、さまざまな解釈ができるだろうが、私は即位時のお言葉を「入り口」に例えると、このお言葉は「出口」に当たると理解できた。 どういう意味か。 平成の天皇は即位…
-
平成の天皇と国民との間に回路、あるいは絆ができあがった
令和の時代がこの5月1日から始まった。新しい天皇のもとで、どういう時代になるのか、平成とはどのような違いがあるのか。どうあれ元号は天皇の性格や行動によってある程度の肉づけがされていく。4月30日の憲…
-
「兵站」無視で突き進んだ太平洋戦争 兵士の7割は餓死した
太平洋戦争で戦死した兵士のうち、7割は餓死だったという。戦わずして死亡したことになる。軍事指導者は戦線を一方的に拡大して兵士をあらゆる地域に送り込み、戦闘とその地の防衛を命じたが、「兵站」を考えてい…
-
「神兵には食料よりも精神力が全て」という愚かな思想
戦争時に国民を鼓舞するため、さまざまな伝承や伝説が作り出されることは決して珍しいことではない。そうした伝説の多くは、その国を救った英雄の物語である。同時に伝説や継承とは別に、なぜ国が今次の戦争を始め…
-
軍事思想や軍事哲学を持たない戦争指導者の空虚な言葉
軍官僚が決定した戦争が「哲理なき戦争」になるのは当然である。もともと日本の軍事教育は戦略、戦術主導の教育であり、軍事思想とか軍事哲学などは軽視してきた。陸軍大学校を卒業しているか、成績が上位にあるか…
-
国民意識を無視し戦争開始を方向づけた大本営政府連絡会議
東條英機に代表されるように、太平洋戦争時の指導者は極めて空疎な言辞で国民を欺いた。その空虚さはどこに因があるのだろうか。理由は簡単である。日本の政策決定のプロセスで国民の意識が反映する舞台がまったく…