35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

公開日: 更新日:

「大阪・関西万博」が10月13日に閉幕してから、はや2週間半。会場では、着々と解体工事が進められている。今後、大屋根リングは北東部約200メートルを現地で保存し、市営公園として整備する。万博の「レガシー」となる見込みだ。ただ、過去の国際博覧会には、レガシーの運用がうまくいっていないケースもある。1990年に大阪市で開催された「国際花と緑の博覧会」の跡地「花博記念公園鶴見緑地」(大阪市鶴見区、大阪府守口市)を歩き、そのあり方について考えた。

 記者が鶴見緑地を訪れたのは、万博閉幕前日の10月12日。小雨がパラついていたものの、日曜日だったこともあり、園内は家族連れやカップルなどで賑わっていた。緑地の総面積は約122ヘクタールで、広大な土地には豊かな自然が広がっている。

 花博は90年4月から半年間にわたって開かれ、83カ国、55の国際機関が参加。来場者数は約2300万人に上った。閉幕後、会場は再整備され現在の姿に。ほとんどのパビリオンは撤去されたが、迎賓館や、国内最大規模の屋内植物園「咲くやこの花館」は現在も営業している。

 そんな緑地内でひときわ目立つのが、花博会場のシンボル「いのちの塔」だ。高さ約90メートルで、大阪万博の「太陽の塔」よりも20メートルほど高い。園内のどの場所からも見えるランドマークだ。54メートル地点には展望台が設けられており、会期中には約120万人が訪れた。

 しかし、現在は廃虚同然になっている。市は閉幕後も有料で展望台を公開していたが、入場者は徐々に減少。老朽化も進み、花博から20年の2010年に閉鎖されてしまった。

 塔事務所の入り口のガラスには割れたような痕跡があり、テープで補修されている。普段は職員も立ち入らないのか、ドアには南京錠がかけられていた。塔の前にいた市内在住の20代男性はこう話す。

「塔に上ってみようと思ったら、閉鎖されていてビックリしました。ここには初めて来て、いい公園だと思ったのですが、ちょっと残念ですね」

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々